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「俺の人生って何なんだろう」ある日突然“借金地獄”に陥ったエリート会社員の悲痛な胸中

Finasee / 2024年4月25日 11時0分

「俺の人生って何なんだろう」ある日突然“借金地獄”に陥ったエリート会社員の悲痛な胸中

Finasee(フィナシー)

<前編のあらすじ>

富永さんは昇進したばかりで仕事に追われ、息子との時間も確保できないほど多忙な生活を送っていた。そんな中、父親の守さんが突然亡くなってしまう。葬儀まではなんとか時間を見つけて出席したものの、相続手続きは後回しにしてしまった。

父親の死から8カ月後、富永さんは別件で筆者と面会した際に、相続手続きに期限の10カ月が迫っていたことに気が付いた。慌てて手続きを始め、税理士の助けも借りてなんとか期限内に申告を完了させることができた。

無事に手続きを終えたかに見えた富永さんだったが、この後あることがきっかけで“ある重大な手続き”を忘れていたことが発覚する。

●前編:【「今は忙しいし…」40代男性が相続の手続きを放置。“期限ギリギリ”の対応が引き起こした大惨事】

発見された膨大な負債

案の定とも言うべきだろうか。具体的な時期と出来事は伏せるが、富永さんにある人物からコンタクトがあり、父である守さんにそこそこの額の借金があったことが発覚した。

守さんは亡くなる少し前に事業を廃業していたのだが、その一環で借り受けていたお金になるようだ。会社として借りていればよかったのだが個人として借りていたようで、その負債は当然富永さんに相続で移転する。

負債の額はおよそ3000万円。簡単に返せるわけではない。それもこれから子供の高校進学、大学進学と学費にお金がかかる現状だ。この3000万円という額は富永さんにとって金額以上のインパクトを与えている。とはいえ、先に述べた通り、相続放棄や限定承認は相続から3カ月以内だ。今更どうすることはできない。

富永さんから私に相談が来る。

「今からでも相続放棄や単純承認はできないのか!?」

「ネットで調べたら過去の裁判では認められたケースもあるみたいだぞ!?」

彼もバカではない。必要なことは最低限調べるだけの知識はある。だが、現実は甘くない。

確かに彼の言う通り、ごく一部の例外的なケースで相続から3カ月を経過して単純承認したとみなされていても、相続放棄や限定承認が認められたこともある。しかしそれは本当にごくごく一部の例外中の例外とも言えるケースだけだ。単に「負債の存在を知らなかった」という程度では認められないだろう。

そもそも国や行政を相手取って行う訴訟自体勝率が高くない。つまりは現実的にはもうどうしようもないのだ。富永さんには、仮に訴訟を起こしたとしても認められない可能性が高いことを伝えた。

“借金地獄”に陥った富永さんの悲痛な胸中

あれから数年たった現在、今でも彼は相続した借金を返済している。年間の返済額は200万円。返済が終わるまではまだ10年近くあるようだ。

「俺はあと10年は借金を返し続けるだけの生活になるのか……俺の人生って何なんだろうな」

偶然地元の八王子駅でばったり私と再会した富永さんは遠い目でそうつぶやいた。

詳しく話を聞いていけば、富永さんはこの件がきっかけで奥さんとは離婚。子供とも離れ離れの生活を送っている。子供は現在高校生だが、大学進学にあたっては奨学金を利用するとのこと。

私は今回の話を記事にする許可をいただくにあたり富永さんから1つの条件が提示された。それは「相続で借金を背負う可能性があることの注意喚起をする」ことだ。

富永さんの父・守さんは事業を行っていたとはいえ苦しいそぶりを見せていなかった。にもかかわらず3000万円もの膨大な負債を抱えており、それが死後まで発覚しなかった。

このように、額の大小はあるかもしれないが、昨今の社会情勢を踏まえると誰しもがひっそりと負債を抱えている可能性は十分にある。つまり相続によって後々予期せぬ額での負債が発覚して、今更相続放棄もできず時間をかけて返していかなければならないということは誰の身にも起こりうるのだ。

相続は人生でそう何度も経験するものではない。大抵の場合2回前後だろう。だからこそ、しっかりと手続きをしなければならない。また、相続は誰しもが不慣れな手続きだが、どんなに忙しく、どんなに大丈夫だろうと思っても絶対はないということを忘れてはならない。

隠れた負債が後々発覚しても、相続放棄も何もできず自らが返済していくほかない。そんな状況にならないためにも、相続時には3カ月内に徹底的な調査を行うようにしていただきたい。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。
※登場人物はすべて仮名です。

柘植 輝/行政書士・FP

行政書士とFPをメインに企業の経営改善など幅広く活動を行う。得意分野は相続や契約といった民亊法務関連。20歳で行政書士に合格し、若干30代の若さながら10年以上のキャリアがあり、若い感性と十分な経験からくるアドバイスは多方面から支持を集めている。

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