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「私の好きだった人はもういない」30代女性が“自己中すぎる夫”と別れを決意した「決定的な瞬間」

Finasee / 2024年5月9日 11時0分

「私の好きだった人はもういない」30代女性が“自己中すぎる夫”と別れを決意した「決定的な瞬間」

Finasee(フィナシー)

<前編のあらすじ>

中国地方在住の鳥羽公恵さん(仮名・30代)は、大学生の頃に交際が始まった同級生と、社会に出て3年後に結婚した。

結婚して1年たった頃に妊娠が発覚。鳥羽さんは産休・育休中の生活費について夫に相談するも、サポートする気が一切ない様子に困惑する。何とか一部の生活費を負担してもらえることになったが、出産準備費用はほとんど鳥羽さんのポケットマネーから補てんした。

娘を出産後も、夫の非協力的な態度は変わらなかった。夜勤のある夫は、いつ夜勤があるかのスケジュールを教えてくれないばかりか、飲み会に行く日も連絡さえしてくれない。そのような状況の中、ついに不倫疑惑まで出てきたのだった。

●前編:【「俺、やることあるからよろしく」妻あぜん…結婚後に判明した夫の「ありえない態度」と「金銭感覚」】

再構築できるのか

「別宅借りてるよね?」「第三者をつけて話し合おう」と鳥羽さんが言うと、「まずは2人で話し合おう」と言って夫は聞き入れなかった。

深夜、不機嫌な様子で帰宅した夫は、「なぜ別邸があるとわかったんだ?」と問い詰め始めた。

すると鳥羽さんは、ばか正直にメールをパソコンから見たことを言ってしまい、夫は「勝手に人のメール見るなんてありえない!」と激昂。

もう鳥羽さんが「Nって誰?」と聞いても、「お前には関係ない」。「電話してみて」と言っても、「する必要はない」。「ただお前と離れたかったから別宅を借りたんだ」と言い張り、逆に鳥羽さんへのダメ出しが始まる。

「部屋の掃除がなってない。朝ごはんを作ってくれない。……作っても『食べる暇ない』って言って食べなかったのは夫ですが、『なら弁当にしとけよ』と言われました。夜帰ってきても出迎えもない。……娘を寝かしつけて、そのまま寝ちゃってたんですが、なぜか説教されていました」

説教は延々と小一時間続き、鳥羽さんは眠さと疲れのため、「ごめん、改善するところは改善するから」と謝ってしまう。

「じゃあ、もう1回やっていこう」

満足気に夫が言い、再構築の流れになった。

「今思えばまともな精神状態じゃなかったと思います。Nの電話番号がわかっていたので電話してみましたが誰も出ず。その夜、『お前、相手に連絡したりするなよ。関係ない人なんだから』と夫に言われたので、Nが夫に私から電話があったことを言ったんだろうと思いました」

不倫疑惑返し

再構築する流れになってからというもの、夫は連日仕事で遅かったにも関わらず、びっくりするほど早く帰ってくるようになる。

しかし夫は娘には優しく接するが、鳥羽さんのことは無視。

「朝早起きして夫の朝ごはん用の弁当を作って、子育てして、仕事行って……。保育園の送迎はもちろん私。帰ってご飯作って片付けして……大変すぎました。復職してから家計も半分ずつに戻されて、これで復縁できるのか? 復縁が私にとって良いことなのか? と悩む日々が続きました」

ある晩のこと。娘が寝たタイミングを見計らうかのように、夜勤中の夫から電話がかかってきた。

出ると、「お前、何か俺に隠してることあるよな? 201☓年(約5年前)の☓月☓日、誰と何してた? 忘れられない夜だったんじゃないか? 暇だったから俺もお前のメールをパソコンで見たんだ」とあざけり笑う。

「201x年の当時、私と夫は付き合っていましたが、遠方から遊びに来る大学時代の男友達に頼まれて、私がネットでホテルの予約をした履歴が残っていたのです。夜に会って飲みに行きましたが、私は実家暮らしだったので泊まっていませんし、自分が泊まるなら自分の名前で予約しますよ。おそらく夫も浮気じゃないことはわかってて、自分が責められた腹いせだと思います。あら探しするために5年も人のメールさかのぼる行為も恐怖だし、この人と夫婦っていうのがもうむなしくなりました……」

大学院へ行く

この頃の夫は、職場の人間関係に悩んでいた。口を開けば、「慕っていた上司が退職し、今の上司とうまくいっていない」と愚痴を言う。

「そんなにつらければ転職すれば?」と鳥羽さんが言うと、「今退職するとその上司に負けたことになる」とかたくな。

しかし、しばらくして夫は慕っていた上司に相談したらしく、「仕事を辞めて大学院へ行けばいい」との助言を受け、あっさり退職した。

そして夫は、「仕事辞めたから家に入れるお金減らしていい? まだ別宅の支払いもあるんだよね」と言い出す。

鳥羽さんは、まず別宅を解約すること。夫が現在家計に入れている10万は、全部夫の生命保険料と医療保険料で、受取人は義両親になっているため、支払いが厳しいなら解約すればいいことを説明。

すると夫はしぶしぶ別邸を解約し、鳥羽さんはほっとした。

時短勤務中の鳥羽さんは、いずれはフルタイムに復帰する予定だったため、「自分の職場がある県内の大学院にしてほしい」と言うも、「いや、絶対自分の出身大学の院に入る」と聞かない。

「なら、娘の面倒は今までよりみてね」と譲ると、「単身赴任みたいな感じで大学のそばに家を借りて生活したい」と言う夫。

結局夫は大学院の近くに住み、鳥羽さんと娘は鳥羽さんの職場の近くで暮らすことに。

新生活への準備が進む中、今度は突然、「俺が住むマンションが狭すぎる。資産にもなるし、もっと広いマンションを買いたい」と言い出す夫。

鳥羽さんはびっくりしたが、「賃貸だと家賃がかかるし、大学院が終わったら賃貸に出せばいいか」と思い、中古の500万くらいのワンルームマンションのサイトを見せて、「こんな感じ?」と尋ねると、夫が求めているのはファミリータイプのマンションだった。

そして家族3人で、夫が欲しいと言うマンションのモデルルームを見に行き、営業とローンの話になったとき、鳥羽さんは夫と半分ずつのペアローンシミュレーションをしてもらおうとした。しかし営業は、

「ご主人は仕事を辞めて大学院生になるのですね? その場合、ご主人はローンが通らないかもしれません……」と言った。

帰りに鳥羽さんが、「私のフルローンにする気じゃないよね?」と尋ねると、「何その嫌そうな顔。ここは家族で頑張るときだろ?」と平然と言う夫。

驚いた鳥羽さんが、「フルローンで払った場合、名義は私になるのよね?」と食い下がると、「いや、名義は俺にしたいんだけど? お前は自分のことしか考えてないよな」と夫は言い放った。

不公平

結局夫とのペアローンは通らず、夫はマンション購入を断念。

しかし夫は、突然鳥羽さんに「口座を全部開示しろ」と言い出し、株や投資信託、iDeCoでもうけていたことがバレてしまう。

「私には開示させて、自分はしないんです。だんだん高圧的になっていく夫に、私は逆らえなくなっていました」

夫は「不公平だ! 夫婦で貯金額を平らにしろ!」と言い出した。

そこで鳥羽さんが、「じゃあ、財布を1つにしよう!」と言うと、それは嫌な夫。

「じゃあ、車を買うから半分出してくれたら許す」

2シーターのスポーツカーが欲しいと言う。「私たち3人家族ですけど?」と言うと、「家族での外出はお前の車で行けばいいじゃん」と言い、300万円要求される。

この頃の鳥羽さんはもう、正常な判断ができなくなっていたのだろう。「金銭が満たされたら、この人は正常に戻るかもしれない」と思い、300万円渡してしまう。

夫は、鳥羽さんから300万せしめておきながらも、残価設定ローンで購入した。

それからしばらくしたある日、今度は、「スポーツカーは大学付近で使用し、週末は電車で帰ってくるので、帰って来たときに使う車が欲しい」と言い出す夫。

「軽自動車でも買う?」と鳥羽さんが言うと、「軽自動車なんて乗れるか! お前は俺を軽んじている!」と怒り出す。

結局夫のツテのあるディーラーに行き、国産車の乗用車を買うことに。そこでまた残価設定ローンにしようとするため、もう借金を増やしたくないと思っていた鳥羽さんは、全額自腹で出して購入した。

そして単身赴任のように一人暮らししながら大学院に通い始めてから2カ月がたったある週末、帰ってきた夫は言った。

「生活格差がある。自分は狭い家で暮らしているのに、お前たちは広い家で暮らしていて、家族なのにおかしい!」

あぜんとして鳥羽さんは返す。

「その選択したのは自分では?」

すると夫は、

「自分は貯金が少ない、車のローンがある、夫婦で格差があるのはおかしい」

と言う。

「じゃあ、財布を一緒にする?」

「いや、お前は株を持ってるし、それでは平等にならない」

「どうすれば平等なの?」

「お前の貯金が俺と同じくらいになったら」

鳥羽さんが妊娠した頃と同じことを言う夫。さすがの鳥羽さんも堪忍袋の緒が切れた。

「じゃあ、私のお金を渡したら満足なの? お互い財布は別で、私が貯金したお金なのに? そのお金をどう使うの? 私は将来のこと考えて貯蓄したいんだけど!」

それに対し夫は、信じられない言葉を吐いた。

「子どもを産むために休業してブランクがあるお前が、俺に口答えする権利はない!」

私の好きだった人はもういない

「私は夫の部下でも何でもなく、夫との子どもを産んで育てたのに、キャリアが滞ったら口答えする権利も失うのか……。今まで言われたことの中で一番悲しかったです。多分、出産でキャリアに後れをとって焦っている女性はたくさんいます。出産にはタイムリミットもあります。いろんなことを加味して、焦る気持ちを抑えつつ、子育てに専念したり、兼業したりしているのが現状です。相手が傷つく言葉はまともな精神状況なら吐く前にわかるはず。それを何のてらいもなく言える人は、私の好きだった人ではないなと思い、お別れする決意ができました」

結婚から5年後のことだった。

友だちたちからは、別邸の存在が発覚した頃から離婚を勧められていた。にもかかわらず、なぜ鳥羽さんはここまで夫の身勝手を許してしまったのだろう。そのヒントは、以下の鳥羽さんのコメントにありそうだ。

「貧乏な家庭で育った父は、とにかく勉強して、がむしゃらに働いて経営者まで上り詰めた人間でした。父は若い頃、周りの同級生たちが教育にお金をかけられていたのがうらやましかったようで、私の教育にお金をかけてくれたと思います。度が過ぎていて、教育虐待レベルでしたが、そのおかげで今があると思うと、ありがたい面もあります」

筆者は別媒体で、これまで毒親に育てられた50人近くの人を取材してきたが、もしかしたら“教育虐待レベル”の熱心さで子どもを教育する父親に対して培われた鳥羽さんの従順な性格が、お金に対してずる賢い夫によって悪用され、エスカレートしていったのかもしれない。

両親にはマンション購入でもめていた頃に相談し、「お前が離婚すると決めたなら応援する」と言われ、勇気づけられた。「とにかく早く別れたい」と思っていた鳥羽さんは、不倫については問題にせず、娘が成人するまで毎月3万円の養育費を入れてもらうことで決着し離婚。

現在鳥羽さんは10歳の娘と2人、悠々自適に暮らしている。

旦木 瑞穂/ジャーナリスト・グラフィックデザイナー

愛知県出身。アートディレクターなどを経て2015年に独立。グラフィックデザイン、イラスト制作のほか、終活・介護など、家庭問題に関する記事執筆を行う。主な執筆媒体は、プレジデントオンライン『誰も知らない、シングル介護・ダブルケアの世界』『家庭のタブー』、現代ビジネスオンライン『子どもは親の所有物じゃない』、東洋経済オンライン『子育てと介護 ダブルケアの現実』、毎日新聞出版『サンデー毎日「完璧な終活」』、日経ARIA「今から始める『親』のこと」など。著書に『毒母は連鎖する〜子どもを「所有物扱い」する母親たち〜』(光文社)がある。

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