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事実婚を検討したカップルが「最大のデメリット」を痛感。ふたりが行き着いた衝撃の結末は…

Finasee / 2024年5月15日 11時0分

事実婚を検討したカップルが「最大のデメリット」を痛感。ふたりが行き着いた衝撃の結末は…

Finasee(フィナシー)

<前編のあらすじ>

井口涼子さん(44歳・仮名)はメーカー勤務で営業職として働いています。独身生活を満喫しており生涯結婚はしないと考えていました。しかしあるとき、田沢博さん(46歳・仮名)と出会って交際を始めたことが大きな転機に。次第に結婚を意識するようになりました。

しかし、ネックだったのは名字の変更です。営業職の涼子さんは名字を変更することの仕事への影響が大きすぎることに悩んでいました。そこで博さんは自分が名字を変えることを提案します。

しかし、ふたりの結婚に立ちはだかったのは、博さんの両親。「なぜうちが名字を変えなきゃいかんのだ!」と猛反対されてしまいます。

●前編:【結婚直前のカップルが「男性側の名字変更」を決断…その時突き付けられた「厳しすぎる現実」】

事実婚を選択したふたり

博さんのご両親の猛反対によって、一度は結婚をあきらめかけたふたりでしたが、友人から「事実婚ならどちらも名字を変えずに済む」と聞き、さっそく博さんの自宅で同居を始めました。

事実婚は、「婚姻届は出していないが、事実上は夫婦と同じような関係性を持ち同居している」状態のこと。確かにこれなら、涼子さんが気になっていた仕事への影響も出ずに済みます。

ただ、事実婚は法律婚ではないため、ときと場合によっては家族とは認められないことが最大のデメリット。たとえば、急病や事故で病院に搬送された際、ごく近い親族しか面会できなかったり、入院や手術のときに立ち会えなかったりと、大切な人の緊急事態に関われない可能性があります。

また、保険の見直しの際も、事実婚では死亡保険金の受取人や、「指定代理請求人(被保険者が特別な事情により保険金・給付金等を請求できないときに、被保険者に代わって保険金・給付金等を請求できる人)」として指定することは難しいでしょう。

そこで、筆者は対策の1つとして、「婚姻届」ではなく「住民異動届」を提出してはどうかと提案しました。世帯主をどちらかに決める必要はありますが、住民票に「妻(未届)」または「夫(未届)」と記載することで、ふたりの関係や事実婚の期間を公的に証明できます。

「いいアイデア!」と喜んだ涼子さんでしたが、一方、博さんは全く予想外の反応を見せました。

行き着いた衝撃の結末。その原因は?

博さんの決断は、なんと「友達に戻ろう」。驚く涼子さんに、「君はワガママだ」と告げ、いきなり帰り支度を始めたのです。

いつも穏やかな博さんが怒った理由は、結婚して名字を変えることを涼子さんが「負け」だと主張したことでした。

「あなたを大切に思うから、両親の反対を押し切ってでも名字を変えようと思ったのに、そんな僕の気持ちも負けになるの?」

「なんでもひとりで勝手に決めて。結論だけ押し付けてくるのはワガママでしかない!」

そう冷静に、しかしとても強い口調で言い放ったのです。そして、言うだけ言ったらスッキリしたらしく、帰るときにはいつもの穏やかな表情に戻っていました。

夫婦別姓を求めることは当然の権利だと信じていた涼子さん。「選択的夫婦別姓(夫婦のどちらも姓を変えずに、結婚する前の姓を名乗ることを選べる)」を求めて、国を相手にした裁判が行われていることもあって、「いま結婚したら負けだ。いつかは希望が通る。それまでは事実婚でいよう!」と考えていました。ただ、博さんにちゃんと説明しなかったことは悪かったかもしれない。

「残念だけど……。でも、それがワガママだと言われるなら仕方ないですね」

めったにないことですが、博さんと涼子さんのように個別相談の席で言い合いをしてしまう方がいます。「どちらが正しいかジャッジしてください!」と言われることもありますが、ほとんどの場合どちらも間違っていません。だから、目の前で繰り広げられる論争には、できる限り口出しすることは避け、クールダウンできるように心がけています。

別れを選択したふたりのその後

しばらくして涼子さんから、「また、実家や友人に愚痴をこぼす生活に戻っちゃいました~」と連絡がありました。

今回のことで、自分の圧の強さに気づいたとのこと。「仕事で必要な部分ではあるけれど、私生活まで強気で押し通しちゃいけないよね」と反省しきりです。博さんとはどうするの? と尋ねると、「向こうが友達に戻ろうと言っていたので、時間をおいて何事もなかったように連絡してみます」と笑っていました。

何十年と一緒に生活している家族とだって、意見の相違はあるものです。事実婚であろうとなかろうと、ふたりの関係に良い着地点が見つかることを願っています。

辻本 由香/つじもとFP事務所代表・一般社団法人WINK理事

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、相続手続カウンセラー、50代からのくらし(医・職・住)と資産を守るファイナンシャルプランナー。おひとりさま・おふたりさま×特有の課題・お金の問題の事例などが得意分野。企業の会計や大手金融機関での営業を経て、2015年に、保険や金融商品を販売しないFP事務所を開業。個別相談の他、企業・病院・大学などでの講演も行っている。

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