「顔面蒼白になりました」実家で“お宝”を発見して大喜び…散財が止まらない夫婦が青ざめた「一通の書類」
Finasee / 2024年5月31日 11時0分
Finasee(フィナシー)
佐藤要さん(仮名)は東北地方の出身です。2年半ほど前に郷里で一人暮らしをしていた母親が亡くなり、ひとり息子の佐藤さんが実家を相続しました。実家に住むつもりはなかったので、“問題空き家”になる前に処分しようと早々に片付けに取り掛かりました。
片付けは想像以上に時間がかかってしまったそうですが、そうした中で佐藤さんは「開かずの蔵」に眠っていた“お宝”を発見します。それは年代物の金の延べ棒でした。
佐藤さんの奥さまが都内の買い取り商に持ち込むと、なんと500万円近くになりました。すっかり気が大きくなった佐藤さん夫妻は、想定外の臨時収入を自宅のリフォームや最新家電、沖縄旅行などであっという間に使い果たしてしまいます。
しかし、翌年の1月、佐藤さんの下に「確定申告のお知らせ」が届いたのです。「たまたま見つけたお宝にまで税金がかかるなんて」と憤懣(ふんまん)やる方ない佐藤さんに、その際の経緯を話してもらいました。
〈佐藤要さんプロフィール〉
東京都在住
49歳
男性
運輸会社管理部課長
パートの妻と妻の両親の4人家族
金融資産700万円(世帯)
コロナ禍の2021年末に郷里で一人暮らしをしていた母が亡くなり、実家は空き家になりました。私が生まれ育った家ですが、今や、築50年の広いだけが取りえのボロ家です。放置空き家が社会問題化していることもあり、母の死後は月に1~2回、妻と実家に通い、少しずつ片付けをしてきました。
都内の妻の実家で暮らす私たちは郷里に戻るつもりがなく、いずれは更地にして売るか、買い手がつかなかったら2023年から始まった相続土地国庫帰属制度で引き取ってもらうことも視野に入れていました。
「開かずの蔵」で見つけた予想外のお宝先祖代々が暮らしてきた家は異常なまでに物が多く、片付けは遅々として進みませんでした。しかも、大半はいつの時代のものか分からないようなガラクタばかりです。それでも1年半後には家の中をひと通り整理し、後は別棟の蔵だけというところまできました。
とはいえ、私が子供の頃から「開かずの蔵」と言われたこの蔵がなかなかくせ者で、実際に開けてみると、古いたんすや虫食いだらけの着物、昭和の頃の大工道具、ぼろぼろの玩具、ひからびた漬物桶など、これまで以上に強烈なガラクタが次々と出てきて気持ちがなえました。
しかし、そこで私たちは思いがけない“お宝”を発見しました。蔵の奥の方に無造作に積んであったつづらの1つから、なんと、金の延べ棒が出てきたのです。年代物らしく、表面は変色していました。少なくとも私の父母から金を持っているという話を聞いたことはないので、祖父母の時代のものかもしれないと思いました。
妻は最初「偽物じゃないの?」と疑っていましたが、私は手に取った時のずっしりとした重みで「間違いなく金だ」と確信しました。
これは、片付けを頑張った私たちへのご先祖さまからのご褒美だと思いました。金価格が上がっていたこともあり、家に持ち帰って間を置かずに妻が都内の買い取り商に持っていくと、なんと500万円近くになりました。
それまで宝くじや競馬などのギャンブルで勝った試しのなかった私は、「棚からぼた餅」的に降って来た大金で、すっかり気が大きくなりました。
夫婦が青ざめた税務署からの書類ちょうど妻の実家も築30年を超えてあちこちがガタつき、リフォームを検討していたタイミングでした。当初は300万円程度で抑えるつもりだったリフォーム費用に200万円を追加してトイレやバスルームに最新の機器を入れ、さらに100万円で冷蔵庫やテレビも新しい物へと買い換えました。
妻の両親も誘って、妻が行きたがっていた沖縄の新しいリゾートホテルにも出掛けました。他にも外食やお互いの服飾品を買うなどして、半年もしないうちに500万円もの大金をほぼ使い切りました。ぬれ手で粟(あわ)で手にしたお金ですから、貯蓄しておこうなどという気はこれっぽっちもなかったのです。
そんな私たちのもとに税務署から「確定申告のお知らせ」が届いたのは翌年1月のことでした。そこには、換金した金の利益について確定申告をするよう書いてありました。青天のへきれきでした。
妻が換金した買い取り商に問い合わせたところ、電話口に出た店員から「金の売却益は譲渡所得になりますので、特別控除50万円を超えた分は申告、納税が必要です」と伝えられ、顔面蒼白になりました。
金投資になど縁がなかった私たちは知りませんでしたが、金やプラチナの取引には支払い調書制度というものがあって、1回の取引が200万円を超えると、業者は税務署に調書を提出することになっているのだそうです。
つまり、私たちが500万円分換金したことは税務署に筒抜けだったわけです。これは大変だと思いました。そして、慌ててネットで調べた税理士事務所に駆け込んだ私たちを、さらなる衝撃が待ち受けていたのです。
●佐藤さん夫妻が駆け込みで相談した税理士から告げられた「衝撃の事実」とは? 後編【「お宝を換金しただけなのに」“棚ぼた”で手に入れた500万円を使い切った夫婦の「信じられない結末」】で詳説します。
※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。
森田 聡子/金融ライター/編集者
日経ホーム出版社、日経BP社にて『日経おとなのOFF』編集長、『日経マネー』副編集長、『日経ビジネス』副編集長などを歴任。2019年に独立後は雑誌やウェブサイトなどで、幅広い年代層のマネー初心者に、投資・税金・保険などの話をやさしく、分かりやすく伝えることをモットーに活動している。
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