eMAXIS Slim「オルカン」と「S&P500」が流入額と純資産総額でワンツーフィニッシュ! 不動の人気の理由は?
Finasee / 2024年5月23日 16時0分
Finasee(フィナシー)
4月の資金流入額1位は「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」(1812.6億円)
投資信託の純資産残高は前月比で増加した。日米主要株価指数は下落したものの、投信積立を通じた買いや押し目買いによる資金流入などが寄与したと考えられる。
そして、資金流出入は約1兆3760億円の資金流入超となった。前月は約1兆1630億円の流入超であった。資産別では、「外国株式型」が約7410億円と最も多く、次いで「国内株式型」が約3550億円、「エマージング株式型」が約2010億円となった。前月と同様に「外国株式型」が首位となったものの、流入額は減少。資金流出では、「外国債券型」が約170億円、「不動産投信型」が約110億円の流出超であった。また、4月のダウ平均株価は、6カ月ぶりの下落となった。月間の下げ幅は2022年9月以来の大きさで、1991ドル下げている。そして、機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数や、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数も、6カ月ぶりの下落となった。
ただ、資金流入上位ファンドの顔ぶれに大きな変化はない。個別ファンドでは、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」が約1810億円の流入超で首位となった。2位は「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の約1510億円、3位は「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信 Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分背筋提示型」の約980億円であった。
4月の投資信託の新規設定本数は17本と、前月の24本から減少したものの、設定額は約1140億円と前月の約850億円から増加した。個別ファンドの設定額では、「フィデリティ・新興国中小型成長株投信」(フィデリティ)が約770億円でトップとなった。同ファンドは、新興国経済の成長の恩恵を受ける中小型株式を主要投資対象とし、徹底的な銘柄調査・分析に基づいて幅広く分散投資を行う。2位は「みずほサステナブルファンドシリーズ-LO・サーキュラー・エコノミー」(アセマネOne)で、約190億円の設定額であった。このファンドは、世界の企業の中から、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現に貢献し、成長が期待される企業の株式に投資。ポートフォリオは、約40銘柄~60銘柄で構成される。
以上のように、4月の新規設定ファンドでは、新興国やサーキュラー・エコノミーなど、多様な投資テーマのファンドが投資家から関心を集めたことが分かる。そして、4月の純資産残高1位は、引き続き「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」だった。同ファンドは、S&P500に連動するインデックスファンドの中でも最安クラスの信託報酬を誇り、純資産総額も4兆円を突破している。インデックスファンドで純資産総額4兆円を超えているのは当ファンドのみで、多くの投資家から絶大な支持を集めている。同ファンドは新NISAつみたて投資枠にも対応しており、今後S&P500インデックスファンドに投資を検討している投資家にとって、最適な選択肢であると言えるだろう。
4月の資金流出額1位は、「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」だった。国内の投資信託において、かつて主流であった「毎月分配型」ファンドのシェア低下が続いている。国内公募の追加型株式投信における毎月分配型の純資産総額は、ピーク時の2011~13年ごろの7割超から大幅に落ち込み、現在は2割を下回っている。毎月分配型ファンドの衰退の主な要因は、分配金の減額である。金融庁が問題視したことを受け、2016年秋ごろから主要な「海外REIT型」ファンドが相次いで分配金を引き下げた。その結果、高い分配金利回りに惹かれていた投資家からの資金流出が続いている。一方で、インデックス型を中心に年1回決算型のファンドが台頭し、毎月分配型のシェアを奪いつつある。
さらに、今年スタートした新しい少額投資非課税制度(NISA)では、長期の資産形成に不向きな金融商品が投資対象から除外されたため、毎月分配型も対象外となった。このため、毎月分配型ファンドのシェアが急回復する可能性は低いと考えられる。今後も、ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)からの資金流出が続く可能性は高いだろう。
山下 耕太郎/金融ライター/証券外務員1種
一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は金融ライターをしながら、現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。ツイッター@yanta2011
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