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「老後破産するよりはマシ…」家賃と生活費以外“全部投資に回したい”男性が失った「2度と取り返せないもの」

Finasee / 2024年6月3日 17時0分

「老後破産するよりはマシ…」家賃と生活費以外“全部投資に回したい”男性が失った「2度と取り返せないもの」

Finasee(フィナシー)

大川雄太さん(仮名)は、都内の大手企業で働く、33歳で年収800万円の独身男性。趣味らしい趣味はありませんでしたが、日頃は節約を徹底して資産形成に励んでいました。

ただ、周囲が結婚をし始めたことで結婚願望が芽生え、婚活を始めたところ、すぐに、松岡愛美さんという、年収400万円の29歳女性に一目ぼれしました。

そして交際1年で結婚したのですが、彼女は雄太さんに相談することもなく、突然専業主婦になってしまいます。「結婚後は共働きして2人で資産形成を」と考えていた彼は、少しでも運用計画を戻そうと、生活費を月10万円しか渡さないうえ、頻繁に投資の話をしました。そうして節約に力を入れてもらいつつ、あわよくば再就職してほしかったのですが……。

●前編:年収800万円、金融資産3000万円の“非モテ”男性が「アプリ婚」―結婚直後に妻が起こした「驚きの行動」

溝は埋まることなく、ついには離婚…

「もういい加減にして!こんな生活耐えられない!」

結婚して2年後、愛美さんが思いを爆発させました。彼女からすれば、雄太さんは高年収なうえに、投資で相応の利益も出している“お金持ち”ですから、結婚したら専業主婦になれるのは当然で、さぞ豊かな暮らしができるだろうと考えていたといいます。ところが実際は想像とかけ離れた節約生活のうえ、話すことといえばよく分からない投資のことばかりです。もう、こんな生活はうんざりとのことでした。

しかし彼からすると、彼女の不満はどうもピンとこなかったといいます。彼からすれば今でも普通に暮らせていますし、資産形成だって先々のためになる「良いこと」のはずです。目先で多少の不満や我慢があっても、最終的には彼女のためにもなるはずと思っていました。その後、何度か話し合ったものの、2人の溝が埋まることはなかったといいます。

そして最終的に、2人は離婚することとなりました。子供ができなかったのはある意味、幸いですが、まだ愛情が残っていた彼にはつらい結果だったといいます。それに結婚したからこそ、独り身の孤独がつらく感じるようになったうえ、同じ失敗が怖くて再婚活もできていないとのことでした。

「マンションを買い、子どもの教育に老後……先々を考えれば資産形成はすごく大事なことですし、それに力を入れることの何が悪いのでしょうか。“老後破産”になるよりはマシでしょうし、悠々自適とまでいかなくても、お金を気にせず過ごせる老後を目指すのって、いまや“普通”ですよね……どうして彼女には、それが分からなかったのでしょうか。結婚前はあれだけ褒めてくれていたのに……」

いつの日か、理解のある女性と出会えるといいですね。

資産形成は国さえ推奨する行為。しかし考え方、程度は人それぞれ

正直、いろいろと残念な男性でしたね。

確かに資産形成は悪いことではないですし、「資産運用立国」と打ち立てて新NISA開始やiDeCo改正と国さえ推奨している行為です。先々を考えれば、力を入れるのは素晴らしいともいえます。少なくとも独り身のままなら、そのまま大いに力を入れ続けて良かったでしょう。

……ただ、その捉え方・考え方は人それぞれです。どんなに大事と説明されても理解できず、目先の生活を豊かにしたい方もいます。そして望む生活水準も人それぞれです。そのあたりの重要性への理解、そして考え方のすり合わせが不十分だった点が本当に残念に思います。

今回はマネー観でしたが、よくあるのは、家族のためを思って仕事をがんばったものの、実は家族からはないがしろにされていると思われていたようなケースでしょうか。本当に家族のため、愛美さんのためを思うなら、まずはどうしてほしいかの話し合いが必要だったと思います。そうして先にライフプランと先々の目標を共有していれば、彼女の受け入れも相応に違ったはずです。

野村総合研究所の2022年「生活者一万人アンケート」によると、投資経験者は32%、現在投資中の方は25%となっています。つまり投資を理解している方は世間全般でみれば、まだ少数派です。どんなに自分が良いことと考えていても、相手もそうとは限らない前提で接するよう心がけましょう。

高年収=豊かな生活とは限らない。貯蓄とは少額の積み重ね

一方で、本件は愛美さん側も残念に思います。

確かに一般的には、高年収の人ほど生活水準も高い傾向です。誰だって困窮生活よりは豊かな生活のほうがうれしいでしょうし、高年収の人との結婚ほど、豊かな生活が送れると考えても不思議はないと思います。

しかし、知るぽると(金融広報中央委員会)の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、高年収の人ほど「貯金額も多い」傾向です。つまり高年収の人ほど、お金を使わず貯金に回している傾向でもあります。総じて、高年収の人ほど生活水準も高い傾向ですが、それはあくまで一般の方に比べればの話であり、一般の方が思うほどには高くないことが珍しくありません。

そして貯蓄とは「少額の積立」が基本です。一般の方が思う「少しくらい」をコツコツ、絶えず貯蓄に回し続けたことで、大金の貯金に成功しています。「少しくらい」を使ってしまう人には、十分な貯蓄はできません。仮に、愛美さんの望むままに雄太さんがお金を使う人だったら、まさに彼の言うように先々で困窮していた可能性があります。

教育費や老後資金を筆頭に、人生の先々で必要になるお金はなかなかの大金です。また彼女のように専業主婦になったうえで離婚すれば、「30代無職女性」となってしまいます。目先の生活を豊かにしたい気持ちも分かりますが、先々の可能性を考えての行動を心がけましょう。
 

婚活FP山本(山本 昌義)/ファイナンシャルプランナー

商品先物会社、税理士事務所、生命保険会社を経て、2008年に「山本FPオフィス」を東京・赤坂にて開業し、独立。2020年にオフィスを滋賀県栗東市に移転。現在は日本初の「婚活FP®(商標番号:6652878号)」として、婚活パーティ開催や結婚相談所との提携を元に、主に婚活中の方や新婚夫婦などから相談を受けている。「マネー現代」にて不定期連載中、レインボータウンFMにて「子育てとお金」をテーマに不定期出演中、結婚相談所や行政での婚活セミナーも随時活動中。マイアドバイザー®、CFP®、一級FP技能士。

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