賃上げ、女性活躍、定年延長の実際―規模・業種によって温度差も―人事施策に関するアンケート調査から探る―
Finasee / 2024年5月24日 12時0分
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Finasee(フィナシー)
【賃上げ動向】2023年は7割の企業で実施、24年も6割が賃上げの意向
デフレもあって長らく横ばいが続いた日本の賃金。しかし円安による物価上昇や深刻な人手不足、さらには政府の賃上げ要請などの後押しもあって、連日企業の賃上げ報道が世間を賑わせたのは記憶に新しいところです。
三菱UFJ信託銀行が2024年5月に発表した、「第 5 回人事・退職給付一体サーベイ(人的投資編)」の調査結果(詳細版)では2023年に賃上げを実施したと回答した企業が従業員規模を問わず7割にのぼるなど、それを裏付ける結果となっています。こうした傾向は2024年も続くようで、実に6割近い企業が賃上げ実施意向を示しています。
その内訳をみると、大企業のほうが賃上げ実施意向の割合が10%以上低く、さらに製造業と非製造業でも10%以上差がつくなど、持続的に賃上げを行うかは規模や業種によって温度差があるようです。
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こうした規模や業種の違いは賃上げの仕方にもあらわれています。同調査では「一律の引上げ」を志向する製造業に対し、非製造業では「新卒者の初任給や若手層への重点的な引上げ」を優先する声が多く挙がっています。
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出所:三菱UFJ信託銀行と MURC「第 5 回人事・退職給付一体サーベイ(人的投資編)~調査結果(詳細版)」
【人的資本経営】最も優先度が高い施策は「女性の活躍推進」
人材を資本と捉えて、その価値を最大限に引きだすことで、企業価値向上につなげようという「人的資本経営」。2023年3月期決算から有価証券報告書で「人的資本・多様性に関する情報開示」が義務づけられるなど、近年、企業でもその重要性がますます高まっています。企業は具体的にどのような人事施策を重視しているのでしょうか。
同調査によれば、規模を問わず優先度が高かったのは「女性の活躍推進」。また大企業は既に女性従業員の割合がある程度高いこともあってか、従業員とのつながりを強めて意欲向上を促す「社員のエンゲージメントレベルの把握・改善」を挙げる声が最も多い結果となりました。
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続いて超売り手市場が続く従業員の採用についてはどうでしょうか。同調査からは「新入社員の採用が難しくなっている」という割合が規模・業種を問わず最も高く、採用が難しいという点では中途採用でも事情は同様でした。
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また新入社員の「3年で3割離職」問題もあってか、「若手社員の定着に課題がある」という声も大企業や非製造業を中心に多く、新入社員の定着・戦力化をサポートする取り組みが求められているようです。
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【定年延長】65歳以上定年の企業は1割強、求められる役割には変化も
労働力の減少を背景に企業ではシニア層の活用が急務となっています。以前は定年といえば60歳でしたが、今や大企業を中心に65歳以上定年を採用するところが1割強を占めることが同調査からあきらかになっています。一方で製造業に比べて非製造業のほうが65歳以上を定年とする割合が高く、シニア層でも働きやすい業務内容であるかがポイントとなりそうです。
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また、企業が65歳以上定年を採用する理由として「従業員の確保」以外では、業務的に知識や経験の蓄積が求められる製造業だと「技術ノウハウの伝承」、シニア層でも働きやすい業務が比較的多くを占める非製造業では「シニア層のモチベーション向上」を挙げる声が多くありました。
従来は若手層に技術ノウハウを伝えることがシニア層の主な役割でしたが、今後はそれに加えて、引き続き戦力として企業業績に貢献する役割も求められていることが同調査から読み取れます。
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企業課題の解決には現状の客観視が欠かせません。同調査からは多くの企業にとって取り組むべきヒントが伺えます。
■【アンケート調査概要】 第 5 回人事・退職給付一体サーベイ「人的投資編」
実施期間 : 2023 年 10 月 2 日~11 月 10 日
対象企業 : 三菱UFJ信託銀行の企業年金取引先
回答企業 : 245 社(昨年 253 社)
実施方法 : Web アンケートへの回答
設問数 : 40 問(業種・従業員数等の基本属性の設問を含めて)
Finasee編集部
「インベストメント・チェーンの高度化を促し、Financial Well-Beingの実現に貢献」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAやiDeCo、企業型DCといった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。
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