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インデックスファンド選び…信託報酬も重要だが、「総経費率」も必ず確認するべき“理由”

Finasee / 2024年7月2日 8時0分

インデックスファンド選び…信託報酬も重要だが、「総経費率」も必ず確認するべき“理由”

Finasee(フィナシー)

<!--td {border: 1px solid #cccccc;}br {mso-data-placement:same-cell;}-->今注目の書籍の一部を公開して読みどころを紹介するシリーズ。今回は、投資信託の基本的な知識と投資するファンドの選び方について解説した濱島成士郎著『証券会社が勧めた投資信託で100万円損しています! ハマシマさん、資産運用のコツを教えてください』の一部を特別に公開します(全4回/本記事は第4回)。

●第3回:もしアクティブファンドを買うなら…「まず最低、この年数運用されているものを」をプロがいう“期間”は…

※本記事は濱島成士郎著『証券会社が勧めた投資信託で100万円損しています! ハマシマさん、資産運用のコツを教えてください』(ビジネス社)から一部を抜粋・再編集したものです。

選択基準6  総経費率の低いものを選ぶ

これについては前述した通りです。投資信託のコストのうち、信託財産から差し引かれるものに信託報酬があります。資産運用はできるだけ低コストで行うほうが良いので、信託報酬もその料率が低いものを選ぶのが投資信託選びの常道です。

また、投資信託には信託報酬以外のコストもかかります。たとえば、監査費用や海外資産の管理費用、固定費などです。投資信託によっては各種資料の印刷費用や、インデックスファンドであれば連動目標とする株価指数のライセンス費用などが信託報酬と別でかかる場合もあるのです。

信託報酬は純資産総額に対して年率で決められるため、純資産総額の大小に関係なく負担率は同じです。

ところが固定費は定額負担になるため、純資産総額が小さいと相対的に負担割合が重くなります。

純資産総額100万円で固定費5万円だと負担率は5%になるのに対して、純資産総額が20万円なら5万円の負担率は25%にもなってしまいます。

こうした信託報酬率だけではわからないコスト負担を把握するためには、「総経費率」をチェックする必要があります。総経費率は運用報告書に掲載されているので、目を通すようにしてください。なお、2024年4月以降、交付目論見書に総経費率も記載されています。

インデックスファンドの場合なら、連動目標である株価指数が同じであれば、純資産総額と信託報酬を含めた総経費率で選んでおいて間違いありません。

対してアクティブファンドは、信託報酬率が下がればリターンの向上につながるものの、最終的に大事なのは経費を控除した後の運用成績です。多少、信託報酬率が割高だったとしても、経費控除後の運用成績がよければ許容されるはずです(ただし、過去の運用実績が良かったから今後も良いという保証はありません)。

前述したように、アクティブ運用は企業リサーチなどに人員を割く必要があり、コストを下げるにしても限度があります。したがって、「アクティブファンドは、同じ資産クラスに投資する似たような運用コンセプトのファンド同士でコスト比較をする、でも参考程度にしかならない」と考えてください。

選択基準7  テーマ型は避ける

投資信託にはさまざまなタイプがあります。そのなかでも避けてほしいタイプがあります。「テーマ型」と呼ばれている投資信託です。

マーケット、特に株式市場においては、その時々で話題になるテーマがあります。

過去を振り返ると、「IT」「バイオテクノロジー」「ヘルスケア」「地球環境」「水」「資源」「SRI」「AI」「ロボット」、といったテーマがありました。「SDGs」や「ESG」なども話題になりました。

この手のテーマが株式市場で話題に上ると、それに関連した企業の株式に投資する「テーマ型」が相次いで新規設定されてきました。

テーマ型投資信託を買わないほうがいい理由のひとつに、選択基準3でお伝えした通り、新規設定されたばかりだと運用実績がない点があります。

もちろん、長期間運用が続けられていれば、運用実績をチェックして買うかどうかを判断できます。ところがテーマ型投資信託は、一時的なマーケットでの話題に乗じて新規設定されるケースが多いため、テーマに新鮮味がなくなると人気がなくなり、成績も悪くなって解約が相次ぐ場合があります。解約が続いた末に繰上償還されてしまうこともあり、長期保有には適さない投資信託といっていいかもしれません。

「ITファンド」が人気化した当時、しばしば喧伝されたのは、「ITは第二の産業革命で今後100年という非常に長い時間をかけて世の中の構造を変えていく可能性があるから、長期投資に向いています」という殺し文句でした。

現実はどうなったでしょうか。ITバブルは2000年のことでした。それから20年以上が経過し、インターネットは私たちの生活に欠かすことのできないインフラになっています。インターネットを通じてモノがつながるIoTも現実化してきました。おそらくこれからも、ITを通じて世の中が大きく変わっていくでしょう。確かに、その意味では革新的かつ長期的なテーマだったと言えます。

しかしそれは現実社会における話であって、株式市場ではまったく異なる時間軸で、この手のテーマが消費されていきます。実際、ITバブルが2000年春先に崩壊した時、関連銘柄の株価は暴落しました。それを受けてITファンドの運用実績も、投資した元本が半分、あるいは3分の1くらいまで目減りするほどの下落となったのです。当然、ITファンドの多くが運用実績の悪化と急増した解約に耐え切れず、償還されていきました。

当時、運用が開始されたITファンドで今も運用が継続されているのは、おそらく2、3本くらいではないでしょうか。

そもそもテーマ型投資信託は、そのテーマが株式市場において話題になり、関連する企業の株式がどんどん買われてから設定されます。販売する証券会社は、テーマ型投資信託は「売りやすい」ので企画しますが、実際に販売、運用がスタートするまでは相応の時間がかかります。

その結果、テーマに即した企業の株式を組み入れる時点で、すでに株価は大きく上がっています。そんな時に設定される投資信託が大きく値上がりすることは難しいでしょう。

むしろ、大きく買い上げられた株価は下落リスクが高まっていると考えたほうが自然です。

もしかすると下げ方は、非常にきついものになるかもしれません。先のITファンドは、まさにその典型的な事例といってもいいでしょう。

もしテーマ型投資信託を買うのであれば、極めて逆説的な考え方ですが、新規設定時に購入し、短期的に利益を狙う手があります。株式市場で話題になっている間に購入し、人気が離散する前に解約してしまうのです。

ただ、どうせ短期で利ザヤを狙うのであれば、投資信託よりも個別株式を狙ったほうが良いでしょう。日々の株価を見ながらより機敏に投資できると思います。

***

『証券会社が勧めた投資信託で100万円損しています! ハマシマさん、資産運用のコツを教えてください』(ビジネス社)

濵島 成士郎/Wealth Lead 代表取締役

1965年、兵庫県生まれ。信州大学経済学部卒業後、新日本証券(現みずほ証券)に入社。資産運用や法人営業に従事し、横浜西口支店他4店舗の支店長を務めた後、独立。真にお客様の役に立つ金融サービスの提供を目指し、株式会社WealthLeadを創業。富裕層向けの資産運用を行なう金融資格の中でも、最難関の「シニア・プライベートバンカー」資格を保有。「お金のパーソナルコーチ」として、経営者や富裕層から絶大な信頼を得ている。近年は、人生100年時代を豊かに生きるをコンセプトに、お一人お一人に合わせたオーダーメイドの資産運用プランの提供にも尽力。

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