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職場も家庭も! 本音を言えない関係性を打ち破る「心理的安全性」とは?

Finasee / 2024年7月4日 12時0分

職場も家庭も! 本音を言えない関係性を打ち破る「心理的安全性」とは?<br />

Finasee(フィナシー)

心理的安全性とは、信頼関係があり、安心して発言や行動ができること

心理的安全性とは簡単にいうと「信頼関係があり、安心して発言や行動できること」です。そのためには基本的な食事や睡眠(生理的欲求)、身を守る場所があること(安全欲求)が満たされていることが前提となります。

図表① マズローの欲求5段階説

出所:第一生命経済研究所

「土台となる心理的安全性(図表①の生理的欲求、安全欲求)が十分満たされないと、その先の成果を出す(社会的欲求)、認められる(尊厳欲求)といった段階にはつながらないのです」と第一生命経済研究所の髙宮咲妃氏。

企業であれば、まずは土台の心理的安全性が満たされ、モチベーションへとつながり、組織に対する貢献意識が高まり、自己の成長、そして企業の成長へとつながっていくイメージです。

「そのキーマンとなるのが上司、リーダーです。組織風土や企業文化に関わらず、リーダーがきちんとチームの心理的安全性を作れていれば、メンバーにその土台がしっかりと構築されるという研究結果が出ています」と髙宮氏。

逆に心理的安全性のないリーダーのもとに異動してしまうと、せっかくメンバーに構築された土台がリセットされてしまうため、「組織としては心理的安全性を構築できるマネージャーを増やす育成が重要です」(髙宮氏)

メンバーを活かすリーダーに必要なこととは? 

図表② 心理的安全性を確立するために必要なリーダーの行動

出所:エイミー・C・エドモンドソン(2021)『恐れのない組織―「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす』より第一生命経済研究所作成

チームの心理的安全性を高めるためにリーダーに求められる役割は3つあります(図表②)。具体的には、失敗は当たり前、発言を歓迎する、感謝を表すなどメンバーに対する前向きな姿勢が求められます。

逆にNGなのが威圧的なリーダーシップです。「威圧的なリーダーシップは短期的には生産性を向上させられますが、長期的に見ると下降してしまいます。上司に対する部下の不安反応は、脳科学的にも分析的思考や想像的洞察、問題解決能力などに影響を与えることが明らかになっています」(髙宮氏)。

心理的安全性を高める実践例としては、大規模な実証実験を行ったことでも知られるGoogleの取り組みが参考になります。Googleでは、re:Work というサイトで同社を始めとするさまざまな組織における働き方の先進事例や研究、アイデアを公開しています。「マネージャーにできる具体的な施策として、“傾聴”といわれる内容が多くリストアップされています」(髙宮氏)

傾聴とは、相手の話に耳を傾け、共感しながら理解すること。職場だけでなく、家庭や夫婦間などでも重要な姿勢です。特に家庭での心理的安全性は子どもの成長に不可欠。どんな自分でも受け入れてくれるのが家庭というコミュニティだとの安心感につながり、何事にも好奇心をもって挑戦する自信へとつながります。「家庭できちんと傾聴ができていれば、職場にも応用ができると思います」(髙宮氏)

一方、職場のチームメンバーも、上司やリーダーの指示命令をこなすだけの存在に徹するのはNGです。「4つの不安(無知、無能、邪魔、ネガティブ)」(図表③)がない環境づくりに進んで貢献していくことが必要とされます。「自ら積極的に発言する、さまざまな意見を歓迎するといった姿勢が大切です」(髙宮氏)

図表③ 心理的安全性を損ねる4つの不安

出所:厚生労働省「パワーハラスメント防止対策説明会資料」

心理的安全性というキーワードには国も注目しており、民間企業との新たな関係構築のために取り入れています。技術革新が進み世の中が目まぐるしく変わる中、従来のルールにのっとってトップダウンで規制する関係から、対話を通じた柔軟な対応への転換が必要となっているからです。

新しい世の中に対応したより良いルールメイキングにつなげるためにも、対話ができる関係性を築く土台となる心理的安全性が重要視され始めています。

心理的安全性は人材難、生産性向上にも有効

言いたいことが言えない関係では必要な情報が共有されず、問題解決につながりせん。変化が激しい環境下、組織やチームで成果を出す重要性はより高まっています。一方で、多くの企業にとって離職の問題は大きな悩みの種ではないでしょうか。厚生労働省の調査では、若者が会社を辞めた理由の1位が労働時間・休日・休暇の条件、2位が人間関係と続きます。

図表④ 最終学校卒業後初めて勤務した会社をやめた主な理由(満15歳~34歳の労働者)

出所:厚生労働省 「平成30年若年者雇用実態調査の概況」

この点に関しても心理的安全性の構築が有効な解決策の一つとなります。心理的安全性を保ちながら、「高い業績基準や目標を設定することでメンバーが責任感を持ち協働し合い、高いパフォーマンスを挙げる結果につながることが研究からも分かっています」(髙宮氏)。

一方で、心理的安全性を単なる仲良しグループやぬるま湯環境と捉え違えてしまうと、良いパフォーマンスにはつながらない点に注意が必要です。あくまでも目標達成に向かうための健全な心理的安全性を土台に、チームの一人ひとりが協力して成果を成し遂げることに意味があります。7月11日公開予定の連載第4回では、その具体策について掘り下げていきます。

連載:今と未来のために知っておきたい「お金と幸せ」のウェルビーイングな関係
第1回 「4000万円貯めるのと同じ幸せ」を得るためにできるたった1つの大切なこと 

第2回 実は上がっている?「日本の幸福度」―世界幸福度ランキングからひも解く「お金と幸せ」のシンプルな解決策 

Finasee編集部

「インベストメント・チェーンの高度化を促し、Financial Well-Beingの実現に貢献」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAやiDeCo、企業型DCといった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。

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