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地銀の販売ランキングで半導体株を抑えて売れ筋なのは? リターン57%超の低コスト分配型投信もランクイン

Finasee / 2024年7月1日 16時0分

地銀の販売ランキングで半導体株を抑えて売れ筋なのは? リターン57%超の低コスト分配型投信もランクイン

Finasee(フィナシー)

地方銀行の取り扱い投信の品ぞろえは、地域住民の資産形成をサポートするという使命感からゲートキーバー(門番)の役割が感じられる商品が多いことが特徴だ。それだけに、ベストセラー商品を長期にわたって提供し続けるという傾向も強く、必ずしも時流をとらえた商品の販売が多いというわけでもない。2024年5月の売れ筋では、千葉銀行や広島銀行の売れ筋上位にあがっている「日経平均高配当利回り株ファンド」や福岡銀行で上位にあがっている半導体株に投資する投信は、ゲートキーパーの役割を感じさせる時流を捉えた商品といえる。一方で千葉銀行の3位にランクインしている「MHAM物価連動国債ファンド(愛称:未来予想)」などは、ネット証券やメガバンクなどでは売れ筋に入ってこない商品だが、2004年の設定から20年以上の運用実績のある商品をコツコツと販売し続ける地方銀行ならではの売れ筋といえそうだ。

※図をクリックで拡大表示

  ◆高配当株や半導体株などリターンをしっかり取れる商品を厳選

「日経平均高配当利回り株ファンド」は、日本を代表する企業で構成された日経平均株価の採用225銘柄のうち、予想配当利回りの上位30銘柄を抽出してポートフォリオを構築するというシンプルな仕組みで「高配当株」に投資するファンドだ。2024年5月末時点で過去1年間のトータルリターンが57.2%という高い収益を実現しているにも関わらず、信託報酬率は年0.69%(税込み)とアクティブファンドとしては抑えた運用コストになっている。

また、福岡銀行の売れ筋に入っている「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」や「世界半導体関連フォーカスファンド」などは、現在の世界の株式市場をけん引しているともいえる米エヌビディアをはじめとした半導体関連を主要な投資対象としたファンドだ。「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」は5月末時点で過去1年間のトータルリターンが90.40%とレバレッジ型のファンドを除くと全公募投信の中でナンバーワンのパフォーマンスをたたき出している投信だ。「世界半導体関連フォーカスファンド」は、設定が2023年9月と運用期間が1年に満たない投信だが、5月末時点での設定来のトータルリターンが38.9%と好調なパフォーマンスになっている。

地方銀行は都道府県において地域でもっとも多くの支店を構え、それぞれの地域において大きな存在感を発揮する金融機関だ。それぞれの銀行がネット証券のように数千本という膨大な品ぞろえをしているわけではない。数十本など厳選した商品を提供し、その提供する商品については、行員に十分な研修を行って個々の商品について顧客にしっかり説明することができるよう訓練もしている。高いリターンを実現するファンドを取りそろえているのは、商品を選び抜く「目利きの力」が発揮された成果といえる。

◆物価連動国債やバランス型の人気も根強く

「MHAM物価連動国債ファンド(愛称:未来予想)」は、日本の物価連動国債(元金額や利払い額が物価の動きに連動して増減する国債)を主要な投資対象としたファンドだ。1990年代後半以降に日本経済が「バブル崩壊」といわれ、国内インフレ率(消費者物価指数)が前年比でマイナスになることが常態化し、「失われた30年」などといわれる間には、「物価連動国債」の価値が意識されることがない時代が続いてきた。ようやく異次元の金融緩和策の解除が始まり、インフレリスクが意識されるようになった。地域一番店である地方銀行にあっては、「インフレから顧客の資産を守る」ことは重要な役割といえる。5月末時点での過去1年間のトータルリターンは1.8%。安定的にインフレに負けないパフォーマンスが期待される。

そのような安定的なパフォーマンスを提供するという観点では、北洋銀行の売れ筋に入る「のむラップ・ファンド」や広島銀行の「りそなラップ型ファンド」などといったラップ型ファンドも地方銀行の売れ筋として特徴的な部分だ。メガバンクでもラップ型商品の提供は主要な業務になっているが、株式や債券、REIT(不動産投信)などグローバルにさまざまな資産に分散投資することによって、市場の変動にかかわらず一定水準のリターンを提供し、安定的な収益の獲得をめざす商品だ。預貯金から投資商品への資金シフトを進める役割を担い、投資初心者に初めての投資商品を提供するという観点から、顧客のリスク許容度に合わせたラップ型ファンドが選択されているのだろう。

◆「インド株」は地銀でも売れ筋に定着するか?

一方で、地方銀行の売れ筋の中にも「インド株」が入っている。顧客が自分の意志で購入するネット販売の上位ファンドの一角にも「インド株」が食い込んできている。新興国市場は価格変動率が大きくなりやすく、リスク水準は比較的高い商品になる。今後、「インド株」が地方銀行の売れ筋として定着するかどうか見守りたい。

執筆/ライター・記者 徳永 浩

Finasee編集部

「インベストメント・チェーンの高度化を促し、Financial Well-Beingの実現に貢献」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAやiDeCo、企業型DCといった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。

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