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ブラック企業で身体を壊し退社…働く事に嫌気がさした男性を救った「禁断の投資手段」とは?

Finasee / 2024年6月27日 18時0分

ブラック企業で身体を壊し退社…働く事に嫌気がさした男性を救った「禁断の投資手段」とは?

Finasee(フィナシー)

柴山達也(28歳)を絶望から救ってくれたのは、「投資」だった。ブラック企業に就職してしまったつまずきから、働くことに前向きになれなかった柴山は、たまたま始めたFX(外国為替証拠金取引)にのめり込んでいく。わずかな資金を25倍に膨らませて投資することが可能になるFXのレバレッジ(テコの原理)は、簡単に資産を作る魔法の手段のようだった。しかし、その行き先は……。

ホワイト企業の処遇を求めて転職した結果…

柴山は、新卒で入社した会社が、毎日の労働時間は15時間を超え、働いた時間に見合う残業代もつかないというブラック企業だった。石の上にも3年と考えて3年頑張って働いてみたが、結果的に身体を壊し、仕事を続けられず退社して今の会社に移った。週休2日で、残業はなく、ノルマもない。わからないことや失敗したことは同僚が親切に教えてくれる絵にかいたようなホワイト企業なのだが、そこで3年近く働いてきて、ある日突然、朝起きるのがつらくなった。この3日間は病欠の連絡をしていたが、どうしても出社しようという気持ちになれなかった。

柴山は、自分自身が怠け者でまともに働いて食べていくことができない人間なのではないかと思い知らされたことで絶望した。一日中、布団の中でゴロゴロしていたが、空腹に耐えられなくなって近所のコンビニに弁当を買いに行った。弁当を食べながら習慣で流し見していたSNS動画で「1万円から始める億り人への道」があった。

誰でも簡単にお金を増やす方法

その動画ではFXを使ってお金を増やす方法を教えていた。FXを使うと「レバレッジ」というテコの原理が使えて、手元資金を25倍にして使うことができるから効率的だと力説していた。1万円があれば、それを25万円として投資ができるので、5%利益が出れば1万円の元本が2倍になる。2万円は50万円、4万円は100万円として投資ができる。大きな資金を使って小さな収益をコツコツ積み上げていくことが成功のコツだという話は柴山には納得できた。銀行に100万円以上の預金があった。特に使う予定のない資金なので、取りあえず50万円を使ってFXをやってみようかと考えた。25倍のレバレッジを使えば1250万円の資金ということになる。1250万円あれば、100万円くらい稼ぐのは難しくないように思えた。

それから、柴山はFXにのめり込んだ。取りあえず、米ドルと円を使って「ドル高」をイメージして、ドルが安くなるのを待って買って、値上がりしたら売却するという売買を繰り返した。1万ドル単位で注文していると、数万円の収益を得ることは難しくなかった。毎日出社して朝から晩まで働いても手取りで20数万円という収入に比べれば、自宅に座っていてちょこちょこと売買注文を出すだけですぐに数万円がもうけられるFXは。ずいぶん効率的に思えた。FX市場は平日ほぼ1日24時間、寝る間もなく投資し続けることができる。数日は病欠を偽っていたが、3日後には会社に退社することを伝えた。

投資で「勝ち」を重ねて…

柴山は、順調に「勝ち」を重ねていった。勝ち続けることで自信を持ち、柴山を苦しめていた「自分はダメ男だ」という絶望は感じなくなっていた。ところが、そんな調子のよいことは長く続かなかった。FX投資で思わぬ損失に見舞われた柴山は……。

●柴山の思わぬ損失とは? FX投資で成功することは可能なのだろうか……。後編FXにのめり込み会社を辞めて失敗…どん底から再出発できた資産を増やすための「斬新な発想」にて、詳細をお届けします。

※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

風間 浩/ライター/記者

かつて、兜倶楽部等の金融記者クラブに所属し、日本のバブルとバブルの崩壊、銀行窓販の開始(日本版金融ビッグバン)など金融市場と金融機関を取材してきた一介の記者。1980年代から現在に至るまで約40年にわたって金融市場の変化とともに国内金融機関や金融サービスの変化を取材し続けている。

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