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「オルカン」「S&P500」だけじゃない! アクティブ3強はインデックスを凌駕するか!? 5月投信概況

Finasee / 2024年7月3日 18時0分

「オルカン」「S&P500」だけじゃない! アクティブ3強はインデックスを凌駕するか!? 5月投信概況

Finasee(フィナシー)

三菱アセット・ブレインズがまとめる2024年5月の公募投信(ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信除く)の資金流入額ランキングでは「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が2014億円の流入額で引き続きトップになった。第2位も「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の1612億円で、「eMAXIS Slim」シリーズを代表する2本のファンドへの資金流入が止まらない。直近3カ月間の資金流入額は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」で5748億円であるため、「オルカン」の資金流入額が加速しているようにもみえる。ランキングの12位までを全て外国株式型が占め、前月は「日経225ノーロードオープン」や「楽天日本株4.3倍ブル」など日本株の値上がりに期待するファンドがトップ10に入っていたが、今月はトップ20からも姿を消した。

一方、5月に新規設定された「三井住友DSワールド・ボンド・フォーカス2024-05(限定追加型)」が流入額606億円で第4位、「HSBCインド・インフラ株式オープン」が流入額540億円で前月の第11位から第6位へと大きくランクアップしているのが目立った。

※図をクリックで拡大表示

 ◆市場をリードする「オルカン」「S&P500」

資金流入額上位を外国株式型が占めるのは、近年の傾向として定着している。2020年3月のコロナ・ショック以降の市場回復期において、DX(デジタル・トランスフォーメーション)ブームをけん引し、大型グロース株の株価上昇によって世界の株式市場を引っ張ったのは米国株式であったことは事実だ。このため、過去4年にわたって投信市場への資金流入は外国株式型が中心になってきた。そして、その外国株式型の中でも「S&P500」と「全世界株式(MSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)」に連動するインデックスファンドが市場の人気を集めてきた。このインデックスファンドへの人気は、2024年1月にスタートした新NISAによる積立投資ブームの追い風も受けて一段と加速しているのが現状だ。

◆外国株アクティブ3強人気は継続、いずれも1兆円超えの規模

また、外国株式型アクティブ投信の人気上位ファンドは、米国株を対象とした「アライアンスバーンスタイン・米国成長株投信」と、グローバル株式を対象にした「インベスコ世界株式厳選オープン<世界のベスト>」と「フィデリティ・世界割安成長株<テンバガー・ハンター>」の3本が突出している。これら投信には為替ヘッジのあり・なし、また、分配頻度によっていくつかコースがあるが、それぞれ純資産残高がマザーファンドベースでは1兆円を大きく超えるファンドに成長している。
 

◆新興勢力の「インド株」は定番ファンドとして根付くか?

ここに、新たに加わりつつあるのが、「インド株」にフォーカスしたファンド群ということになる。5月のランキングでは、「HSBCインド・インフラ株式オープン」が第6位に、第16位の「インド小型厳選株式ファンド」、第20位の「ダイワ・ダイナミック・インド株ファンド」などが台頭してきている。インド株投信としては、代表的なインド株インデックスである「Nifty50」や「SENSEX30」に連動するインデックスファンドの品ぞろえも進んでいる。

◆株高基調の中、下落に備えるファンドが新規設定

5月の新規設定ファンドは16本(ETF、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信)。設定額で最大だったのは、5月17日に設定された「三井住友DSワールド・ボンド・フォーカス2024-05(限定追加型)」の479億円だった。先進国を中心に世界の金利がピークアウトする見通しが強まる中、現在の高い金利水準を運用に取り入れるため償還まで購入した債券を持ち切りで運用するファンドだ。限定追加型であるため、今後は残高が増えない。

第2位の設定額だった「スマート・コントロール世界株式戦略ファンド」は、「株式市場が下落する局面において、インデックス対比で下落リスクを抑制することで、安定したリターンの積み上げを目指す」という、従来の人気ファンドである成長株投資とは真逆のポートフォリオ構築を目指すファンドになっている。実際に6月5日現在のポートフォリオの内容が情報開示されているが、生活必需品、ヘルスケア、公益事業などが「MSCIワールド指数」と比較してオーバーウエイトになり、情報技術や金融、一般消費財といったセクターはアンダーウエイトしている。先進国株価が日米欧ともに史上最高値を付けた今年、一本調子の株価上昇に警戒感を感じる投資家にアピールできるだろう。また、「S&P500」や「全世界株式(オール・カントリー・ワールド・インデックス)」のインデックスファンドを保有する投資家の分散投資手段としても活用が期待される。

執筆/ライター・記者 徳永 浩

Finasee編集部

「インベストメント・チェーンの高度化を促し、Financial Well-Beingの実現に貢献」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAやiDeCo、企業型DCといった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。

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