「投資信託はインデックスファンドが一番!」と聞きますが、それはなぜ? アクティブファンドは考えなくてもよいのでしょうか?
Finasee / 2024年7月2日 18時0分
Finasee(フィナシー)
投資に関心を持って情報を集めていると、「投資信託は大別するとインデックスファンドとアクティブファンドの2種類があるが、投資を始めるのならインデックスファンドがおすすめ」といった話を聞く機会があるかもしれません。
おすすめに従ってそのまま投資するのも一つの方法ですが、納得のいく投資を行うにはなぜそのような話がよく言われているのかを理解しておくことも大切です。
この記事では、「なぜインデックスファンドがよいと言われるのか?」「アクティブファンドについて検討しなくてもよいのか?」について解説します。
インデックスファンドを選ぶべきと言われる「理由」まずは、そもそも「インデックスファンド」や「アクティブファンド」とはそれぞれどのようなもので、どんな違いがあるのか整理しておきましょう。
・インデックスファンド……特定の指数と「同じ」値動きをすることを目指す投資信託
・アクティブファンド……特定の指数を「上回る」値動きをすることを目指す投資信託
両者はいずれも投資家から集めたお金をまとめて元手として、運用の専門家が株式や債券などに投資する「投資信託(ファンド)」ですが、運用を行う上で目指しているところが違います。
インデックスファンドは、TOPIX(東証株価指数)やS&P500などの特定の指数と同じ値動きを目指しているため、投資先や資金の配分はその指数の構成内容とほぼ同じになります。
指数に沿って機械的に運用できるため、運用上の手間がかかりにくく、信託報酬(投資信託を保有している時にかかる手数料)が低くなりやすいという特徴があります。
一方、アクティブファンドは特定の指数よりも良い成績を狙う必要があるため、一つひとつ運用のプロが目利きをして独自の判断をしています。そのため、信託報酬などのコストが高くなりやすい傾向があります。また、「新NISAで買える」と条件を絞りこんだとしても、アクティブファンドは1300本超 もあり(新NISAナビを参照 ※2024年4月時点)、どの銘柄を選べばいいのかという問題もあります。
一方、インデックスファンドもさまざまな商品がありますが、連動する指数が同じであれば、パフォーマンスに大きな差は生まれません。例えば「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」と「SBI・V・S&P500インデックス」は、ともに「S&P500」という米国株式を投資対象とする指数への連動を目指すファンドであるため、指数が同じである以上、パフォーマンスもほぼ一緒、といった具合です。
(ただし同種のインデックスファンドでもパフォーマンスに差が生じることはあり、その大部分はコストによるものなので、長期投資のうえではコストを吟味することは重要になります。前回の記事『資産形成は「インデックスファンドから」と言うけれど、種類がありすぎ…どれを選んでも同じ? それとも違いがある?』にて詳説しています)
このような特徴から、投資初心者には大きな失敗を避けやすく、また指数に連動するという“わかりやすさ”のあるインデックスファンドがおすすめと言われることが多いのです。
さらに過去10年のパフォーマンスを比較してみても、国内株式に投資するアクティブファンドの約3分の1しか、TOPIXを上回れていない現実もあります(出所:金融庁『資産運用業高度化プログレスレポート2023』)。
ここまで読むと、「やはりインデックスファンド一択でよいのでは?」と思うかもしれません。ただ、アクティブファンドにはアクティブファンド“ならでは”の魅力があります。
アクティブファンドの魅力は「個性の豊かさ」
アクティブファンドはそれぞれ個性があり、投資先を選ぶ基準もリターン目標もさまざまです。独自の運用手法によってベンチマークとする指数以上のパフォーマンスを追求したり、ユニークなテーマに着目したり、成長が見込める地域や業種に集中投資するようなアクティブファンドもあります。
例えば、「One国内株オープン(アセットマネジメントOne)」は、「自由演技」という愛称の通り、経済環境の変化に応じて、投資スタイルを適宜変更するユニークなアクティブファンド。ベンチマークとしているTOPIXに、過去10年、パフォーマンスが上回っています。
また、テーマ型でいえば、日本の半導体技術に関心が寄せられている中、半導体関連企業に投資する投資信託でその成長を享受するのも面白いかもしれません。代表的な存在として、「情報エレクトロニクスファンド(野村アセットマネジメント)」、「ジャパン半導体株式ファンド(日興アセットマネジメント)」といった投資信託が挙げられます。もし日本の半導体関連企業にポテンシャルを感じているのなら、検討してみてもよいでしょう。
このようにアクティブファンドは非常に「個性豊か」ということができます。そのため、たとえば「インデックスファンドをコアに投資しながら、アクティブファンドにもサテライト的に投資する」など、バランスよく組み合わせて、自分にとってのオンリーワンなポートフォリオを組むのも、投資の醍醐味です。
あえてアクティブファンドを資産形成に取り入れる選択肢もありちまたでよく言われているとおり、インデックスファンドは忙しく働く現役世代が投資を始める際に選ぶのに適しているといえます。例えば、人気の「オルカン」こと「eMAXIS Slim全世界株式」のような商品を一つ持っておけば、非常に低いコストで世界経済の成長をまるまる享受できますし、何より複雑な銘柄選定をする必要がありません。「ほったらかし」にしておけば、投資にかける時間も手間も最小限ですみます。
しかし、インデックスファンドは低コストでシンプルである半面、良くも悪くも市場全体にまるごと投資する仕組みであるため、「平均点」以上のリターンが望めないことには留意しておくべきでしょう。加えて、仮にリーマンショックやコロナショックといった株式市場全体が暴落する局面では、一定期間、指数そのものが大きくマイナスリターンとなってしまうことも過去には幾度となくありました。
そうしたインデックスファンドの特徴を補完する位置づけとして、あえてアクティブファンドを一部組み入れるというアイデアもあります。もちろん、市場平均以上のリターンを長期にわたって安定的に獲得できるファンドは限られますし、過去の成果が将来にわたって再現される保証はありません。アクティブファンドを選ぶ際は、先述した信託報酬や過去の実績に加えて投資方針、ファンドマネージャー(誰が運用しているのか)、資産残高など開示されている情報を踏まえてよく検討したうえで、自分にあったものを選ぶようにしましょう。
Finasee編集部
「インベストメント・チェーンの高度化を促し、Financial Well-Beingの実現に貢献」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAやiDeCo、企業型DCといった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。
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