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「30%」実現なるか? 女性役員比率が高い企業ランキング! 上位は意外な協会や国立大学も

Finasee / 2024年7月1日 18時0分

「30%」実現なるか? 女性役員比率が高い企業ランキング! 上位は意外な協会や国立大学も <br />

Finasee(フィナシー)

「女性役員比率ランキング」1位はジョイフル本田

女性役員比率が高い企業を、厚生労働省 女性の活躍推進事業「女性管理職比率の高い企業ランキング」から見てみましょう。「企業規模5001人以上」という条件でのランキングは次のような結果となりました。

出所:厚生労働省 女性の活躍推進事業「女性管理職比率の高い企業ランキング」 (2024年6月時点)

1位は関東圏でホームセンターを展開するジョイフル本田で33.3%。2位のLIXILは31.3%、3位のアインホールディングスは30.7%と、上位3社は30%を超えています。4位以降は20%台の数字が並び、20位のベルクは23.5%。およそ4人に1人の割合です。

役員というと会社法上では取締役と監査役、会計参与を指しますが、同ランキングでは執行役員も含まれます。

近年では女性社外取締役を登用する企業が増えました。たしかに外部の知見を取り入れることは有意義ですし、女性役員比率も上がります。ただし女性の活躍推進の観点からは、社内でキャリアを積み、執行役員、そして役員へと昇進する女性社員を増やすことが今後の課題と言えそうです。

そこでこの記事では、ランキングから女性執行役員を積極的に登用している企業に注目し、女性活躍を促すためにどのような工夫をしているかを探りました。主な取り組みを紹介します。

LIXILは女性の人材発掘に尽力

2位のLIXILは、建材や住宅設備機器を提供するLIXILグループの中核事業会社です。同社では有望な人材を探し出すために、各事業部門のリーダーと執行役が人材発掘を行っています。2022年にはD&I※の観点を組み込んで、女性人材にも注目。その結果、後継者候補のうち女性が27%を占めています(2023年3月末時点)。

※「ダイバーシティ&インクルージョン」の略。多様な人材を活かして、個々の能力が十分に発揮できるようにする取り組み

研修制度も充実しています。たとえば選抜型の次世代人材育成プログラム「NEXT」において、有望な女性従業員の育成に取り組むほか、女性新任管理職を対象とした研修も実施。女性管理職の上司を対象に、女性リーダーの成長を支援する行動を学ぶ研修も行っています。

育児への支援も手厚く、2023年からは時短勤務が「小学校6年生になるまで」に延長されています。

アインホールディングスは労働時間や勤務地が選びやすい

3位のアインホールディングスは、調剤薬局「アイン薬局」やコスメ&ドラッグストア「AINZ & TULPE(アインズ&トルペ)」などを運営する会社。女性従業員が多く、全体の約80%を占めています。

同社では1週間あたりの労働時間を、「32時間・40時間・その他」の3区分から選択可能。育児や介護などの事情に合わせて、柔軟に働ける環境を整えています。

社員区分に関しても、全国で活躍する「ナショナル社員」、選択したエリア限定の「狭域・広域エリア社員」(薬剤師のみ)、「自宅通勤社員」の3種類を用意。ライフプランやキャリアを計画できる環境を提供しています。

キャリア開発にもつながるとして、2021年からは副業や兼業も許可。柔軟な働き方ができる環境整備を進めることで、幅広いキャリア形成へのニーズに応えています。

NHKは育児休暇が2歳まで、相談もしやすい

NHK(日本放送協会)の女性役員は、全員が社内でキャリアを積んだ生え抜き(2024年6月時点)です。

育児休暇は満2歳まで取得可能。小学校3年生の年度末まで、1日あたり最大1時間30分の時短勤務が可能です。ベビーシッターを利用した場合、一部費用の援助もあります。

また仕事と育児の両立を支援する相談窓口があり、全国の放送局に育児サポート担当者が在籍。実際に両立している先輩職員から、実践的なアドバイスをもらうセミナーも開催されています。

8位に国立大学2校がランクイン!

国立大学の2法人がランキングに登場。岡山大学と九州大学が同率8位です。国立大学法人における役員とは、学長と理事、監事を指します。理事は法人ごとに数を設定、監事は2人置く決まりです※。

※文部科学省「国立大学法人法の骨子

学長・理事・副学長の女性比率について国は、「2025年までに20%以上」という目標を掲げています※。各大学もその方針を受け、積極的な女性登用に着手。次表のとおり、着実に女性参画が進んでいます。

出所:一般社団法人 国立大学協会「国立大学における男女共同参画推進の実施に関する第20回追跡調査について(概要版)

たとえば岡山大学では女性を対象に、講義やセミナー、実践を組み合わせた「リーダー育成プログラム」を実施しています。同プログラムは5段階。たとえばフェーズ3では、国際共同研究や国際会議への派遣を通じて、研究力やマネジメント力向上を図ります。そしてフェーズ5においては、組織運営やリスクマネジメントといった管理運営力を養うことに重点が置かれています。

九州大学では、「SENTAN-Q(ダイバーシティ・スーパーグローバル教員育成研修)」を行っています。同研修は将来有望な女性を対象に、世界トップレベルの研究や教育に挑戦する機会を提供するもの。“世界と伍して戦えるダイバーシティ・スーパーグローバル教員”を掲げ、取り組みを行っています。

長期的な視点で育成することが大切

ランキング上位の企業で目立つのは、戦略的に人材を発掘し、長期的な視点で育成するという姿勢です。役員を育てるためには時間もコストもかかります。キャリアを諦めることなく働き続けられる環境を整備して、将来への道が開ける仕組みをつくることがポイントと言えそうです。

国はプライム市場上場企業を対象に、「2030年までに女性役員比率30%以上」という目標を掲げています※。今後も上場企業を中心に、女性の社外取締役を登用する動きが強まることでしょう。

※男女共同参画局「男女共同参画

ただし目標先行で単なる数合わせになってしまっては、女性登用の意味が薄れてしまいます。長期的なプランを練って着実に女性幹部を育成し、役員に登用するための取り組みが鍵を握りそうです。

Finasee編集部

「インベストメント・チェーンの高度化を促し、Financial Well-Beingの実現に貢献」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAやiDeCo、企業型DCといった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。

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