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「あの時ちゃんと作っておくべきだった…」元夫の養育費未払いに悩む女性が後悔している「ただ1つのこと」

Finasee / 2024年7月9日 11時0分

「あの時ちゃんと作っておくべきだった…」元夫の養育費未払いに悩む女性が後悔している「ただ1つのこと」

Finasee(フィナシー)

<前編のあらすじ>

結婚9年目の志保さんは、ある日突然夫の雅人さんに離婚を切り出された。雅人さんの趣味はギャンブルで、それを良く思わない志保さんからことあるごとに責められることに不満を感じていたのだった。

当初志保さんは離婚に反対したが、2人は10カ月の別居を経て正式に離婚することになった。離婚時の取り決めは養育費は毎月5万円。そして財産分与として雅人さんから志保さんへ300万円を支払うというものだった。

しかし、雅人さんからは離婚時に財産分与の300万円が支払われたきりで、離婚から1年たっても養育費の支払いは不安定だという。そこで志保さんから「養育費が支払われないので契約書の内容で強制的に払わせることができないか」と相談があった。

●前編:【結婚9年目の子持ち夫婦が離婚…養育費を払わない元夫が言い放った「無責任すぎる一言」】

雅人さんへの差し押さえがかなわない理由

残念ながら離婚協議書はそれ自体に強制力はない。離婚協議書のような法的書面を作成すれば、相手が任意に支払わなくとも強制的に支払わせられると考えられがちだが、実際はそうではないのだ。

離婚協議書があったとしても、強制的に相手方に支払わせるには裁判を経て差し押さえの手続きをする必要がある。そのため、専門家や少々法律に詳しい人の中では「実質的に離婚協議書は作っても意味がない」という意見も出るほどだ。

実のところ書面作成時、私は志保さんに対してそのことを告げていた。「離婚協議書は作成してもそれ単体では差し押さえなど、いわゆる強制的に取り立てることはできません。支払いが滞ることを考えると即時に差し押さえが可能な公正証書としておくべきです」と。

それに対して志保さんからは「協議書の形で書面が残っていれば普通は支払うと思うので大丈夫です」と言われていた。私は依頼通り一般的な離婚協議書を作成したが、やはり懸念した通りの結果となったわけだ。

志保さんに作成を勧めた公正証書とはどんなものなのか

私が志保さんに勧めた公正証書とは、前述した「強制的にお金を取り立てることができない」という懸念を払しょくするものだ。

公正証書は公証人という国の役人から強制力が与えられるため、一度作成してしまえばその通りの内容で強制執行ができる。つまり本来は裁判を経てからでなければできない手続きにおいて、その点をすっ飛ばして速やかに差し押さえをし、金銭の支払いを受けられるわけだ。

「離婚協議書という証拠がある以上、裁判で勝てるのだから裁判すればいい」と思うかもしれないがそれは甘い。裁判には法的な知識と平日の昼間に裁判所へ出向く時間と労力が必要になる。それらをカバーするために弁護士を雇うとなれば莫大(ばくだい)な金額がかかる。

裁判をして養育費を請求するというのはおよそ一般的ではない。お金が必要だから養育費の支払いを求めているのにそこでお金を使って裁判というのは矛盾するからだ。

こういった面から、離婚協議書を公正証書とすることは、支払いの滞ることの多い養育費の支払いと相性が良いと言っていいだろう。

もし離婚協議書を公正証書で作成できていたら…

志保さんは雅人さんからの養育費について、今もきちんと支払いを受けることができていない。あれからも養育費は支払われたり支払われなかったりと安定しないようだ。何度か志保さんから依頼を受けて雅人さんに裁判外で書面を送付してはいるが、多少支払われることもあるものの、無視されてしまうこともあり焼け石に水状態だ。

もし、仮に志保さんが私の助言を受け入れ、公正証書にて離婚協議書を作成できていたら。裁判を経ることなく速やかに雅人さんの口座にあるお金を差し押さえ、養育費の支払いを強制的に実現することができていたはずだ。志保さんは今のように養育費の問題で苦悩することもなかったはずだろう。

「あの時、公正証書でちゃんと作っておけばよかった……」

志保さんは私に相談へ来る都度そう漏らす。

離婚時に志保さんのように離婚協議書を作成することは珍しくない。しかしながら、普通に作っただけではたとえ専門家が作成したものであっても差し押さえができず、ただのお約束が書かれただけの紙切れになることもある。

離婚協議書をただの紙切れにしたくないのであれば、可能な限り公正証書で作成しておくべきだろう。それによって、相手への強制力だけでなく自身にもたらされる安心感も格段に上がるはずだ。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。
※登場人物はすべて仮名です。

柘植 輝/行政書士・FP

行政書士とFPをメインに企業の経営改善など幅広く活動を行う。得意分野は相続や契約といった民亊法務関連。20歳で行政書士に合格し、若干30代の若さながら10年以上のキャリアがあり、若い感性と十分な経験からくるアドバイスは多方面から支持を集めている。

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