慕っていた先輩にバーへ呼び出され…まんまと500万円を奪われた女性が「猛烈に後悔していること」
Finasee / 2024年7月11日 12時0分
Finasee(フィナシー)
坂口結菜さん(仮名)は子供の頃から“しっかり者”と評判で、ご両親からは「結菜は石橋をたたいて壊す」と言われるほどだったそうです。しかし、その坂口さんが今年、投資詐欺にあってしまいます。被害額は500万円。ご両親から借金までしていたそうで、悔やんでも悔やみきれないと言います。
坂口さんをだましたのは、昨年秋の投資セミナーで出会った自称保険代理店勤務の女。メディアで報道されている有名人の名前をかたった詐欺や、SNSを使った投資詐欺なら警戒したけれど、女のあまりに自然なアプローチにほとんど疑いを抱かなかったとか。
「最近、Z世代やY世代が詐欺にあう件数が増えていると聞きました。私のような思いをする人が1人でも増えることがないよう、私の体験を参考に気を付けてほしい」と訴える坂口さんが、詐欺にあった経緯を話してくれました。
〈坂口結菜さんプロフィール〉
東京都在住
30歳
女性
IT企業事務
シングルでひとり暮らし
金融資産▲200万円(親からの借金)
今でも自分が詐欺にあったということが信じられません。詐欺の被害者と言えば、お金持ちのお年寄りとかのイメージがありますよね? 私なんて普通の会社員だし、貯金がたくさんあったわけでもないし……。
それに、自分で言うのもなんですが、子供の頃から「結菜ちゃんはしっかり者だね」と言われ続け、小学校から高校までずっとクラス委員でした。堅実過ぎて両親からは「結菜は石橋をたたいて壊すタイプ」と笑われたくらいです。
そんな私がまんまと詐欺グループの罠(わな)にはまったのは、今思えば大きな要因が2つあったように思います。1つは投資ブームに流されたこと、そしてもう1つは過信というか、おだてられて自分を見失ってしまったことです。
すべては投資セミナーでの出会いから始まった新NISA(少額投資非課税制度)が始まることを知り、学生時代の友人と女子限定の投資セミナーに参加したのは昨年の秋のことでした。将来のライフプランを考えることに加えて、少子高齢化で私たちの世代が受け取る年金は大幅に減ってしまうため、今から老後に備えて少しずつお金を増やしておくことが大切だという話は説得力がありました。
講師を務めたのは私たちから見るとお姉さん世代のファイナンシャルプランナー(FP)の方で、アットホームな雰囲気の中、参加者からも質問や発言がたくさん出て、会場は盛り上がりました。それもあって、普段はあまりやらないのですが、会場で初めて会った数人の方とLINEの交換をしたのです。
そのうちのひとりが金井さんでした。保険の代理店に勤務しているという金井さんは仕事柄私よりもはるかに金融リテラシーが高く、会場でも講師の方に私にはよく分からないような難しい質問をしていました。
LINE交換後、その金井さんから頻繁に連絡が入るようになりました。LINEでの会話は新NISAの口座開設をどこの証券会社にするかとか、どんな投資信託に投資するかといったことが中心で、金井さんはその都度、投資信託の情報はこのウェブサイトが詳しいとか、カリスマ投資家の誰々さんの動画が参考になるといった有益な情報をもたらしてくれました。
それもあって、私は2歳年上の金井さんのことを「投資に詳しい先輩」としてすっかり信用していたのです。
ワインバーに呼び出されて始まった保険勧誘その金井さんから「飲みに行かない?」と声がかかったのは年が明けて間もなくのことでした。私はちょうど新NISAの「つみたて投資枠」で金井さんから紹介された全世界株式型の投資信託への積み立てを始めたばかりでした。
それもあって金井さんに何かしらお礼をしなければという思いがあり、その週の金曜日の夜に2人で飲むことになったのです。
金井さんが指定したのは、私がほとんど足を踏み入れたことのないようなおしゃれなワインバーでした。
「すごいなぁ。いつもこんなお店に来ているんですか?」とうらやましがると、「お客さまを接待することが多いから、SNSやグルメサイトで日頃からいいお店を探しているの」と教えてくれました。いかにも仕事ができる女性という感じで、ますます尊敬してしまいました。
香りのいいシャンパンで久しぶりの再会と私の新NISAデビューを祝した乾杯をし、互いの近況や仕事の話などをした後、金井さんがおもむろに「ところで、結菜ちゃんは保険に興味ない?」と尋ねてきました。
「実は全然入ってなくて、そろそろ入った方がいいかもとは考えてるんですけど……」
金井さんにはお世話になったので、金井さんが営業する保険を契約するくらいのことはしてもいいと思っていました。
しかし、そこで金井さんから聞かされたのは意外な話でした。
●金井さんの目的が保険勧誘であることに、うすうす気付いていた坂口さん。しかし勧誘の内容は保険だけではありませんでした。後編【「信じてもいいのかな」かき集めて預けた500万円が水の泡…女性の警戒心をなくした詐欺師の「魔法の言葉」】で詳説します。
※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。
森田 聡子/金融ライター/編集者
日経ホーム出版社、日経BP社にて『日経おとなのOFF』編集長、『日経マネー』副編集長、『日経ビジネス』副編集長などを歴任。2019年に独立後は雑誌やウェブサイトなどで、幅広い年代層のマネー初心者に、投資・税金・保険などの話をやさしく、分かりやすく伝えることをモットーに活動している。
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