「インフレ収まるまで家買うの待つか…」「 ええっ! これから金利上昇?」試練を迎える「マイホーム派」の苦悩
Finasee / 2024年7月4日 18時0分
Finasee(フィナシー)
賃上げが追いつかない! 物価と賃金で半端ないギャップ
まずはインフレから。調査はリサーチ&マーケティング支援を行う株式会社ネオマーケティングが全国の20歳以上の男女1000人を対象に、直近1年程度の物価と賃金について聞きました。同調査によれば、物価の上昇を感じている人(「とても上がっていると思う」「まあ上がっていると思う」の合算)は全体の95%と圧倒的な結果に。
それに対し賃金の上昇を感じていない人(「あまり上がっていると思わない」「全く上がっていると思わない」の合算)は75.7%と、物価とは正反対の結果でした。賃上げがインフレに追いつかないという報道が相次いでいますが、改めてその実態を裏付ける結果となっています。
図表1 直近1年程度で、物価・賃金の上昇を感じるか
出典:ネオマーケティング 「マイナス金利に関する調査」値上げが続くあの費用が節約トップ! 節約上位には意外な費用も具体的にどんな費用でインフレの影響が出ているのでしょうか。調査によれば、以前より支出が増えた費用の1位は「食費」で71.3%と断トツ。もともと日本の食料自給率はわずか38%。多くの食料を海外から調達しないといけないため、昨今の円安の影響を受けやすいことが背景にありそうです。2位「光熱費」、3位「交通費」は、いずれも発電や輸送で燃料をたくさん使うことから、燃料価格高騰の影響を受けていると見込まれます。
また、以前より支出を控えている費用の1位は、こちらも食費。定番の節約ネタとして取り上げられることが多く、度重なる支出増を受けて何らかの対策を迫られているのかもしれません。
一方で2位「衣服費」、3位「飲食費」は支出増とは異なる顔ぶれ。他にも支出がそれほど増えていない「娯楽費」「趣味・嗜好品費」が比較的高い割合です。節約すると生活に支障が出やすい光熱費や交通費に比べて、これらの費用は出費をコントロールしやすいことが理由かもしれません。
図表2 家庭で以前より支出が増えた・支出を控えている項目
出典:ネオマーケティング 「マイナス金利に関する調査」世の中は意外と金利を気にしていない?
次は金利上昇について。市場参加者の間では大きな話題になっている日銀のマイナス金利解除ですが、一般的な認知度はどうなのでしょうか。
調査によれば、少なくとも実施されることを知っている人(「影響まで知っている」「実施されることは知っている」の合算)は69.8%にのぼるものの、影響まで知っている人はそのうち3分の1以下でした。長年の超低金利から普段の生活で金利を実感する機会が減ったこともあってか、意外と気にしている人が少ない印象です。
図表3 日銀のマイナス金利政策の解除について、どの程度知っているか
出典:ネオマーケティング 「マイナス金利に関する調査」マイホームといえばどっち? 一戸建て VS マンションマイホームといえばなんとなく一戸建てというイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか。調査によれば、マイホームを既に所有しているのは全体の62.5%。この傾向は男女とも年代が上がるにつれて顕著でした。その内訳は一戸建てが48%と、分譲マンションの3倍強に達し、マイホームとしては一戸建てが主流であることを改めて裏づける結果となりました。
図表4 自宅の住居形態
出典:ネオマーケティング 「マイナス金利に関する調査」こんな逆風下でマイホームを買いたい人なんているの?
本格的な金利上昇局面が予想されるなかで、住宅ローン金利を引き上げる銀行も少しずつ出てきています。マイホームの購入には逆風といえますが、それでも購入したい人はどれくらいいるのでしょうか。
調査では、前問でマイホームを所有していない人を対象に、今後のマイホームの購入方針を質問。婚姻状況別で集計したところ、マイホーム購入に後ろ向きな人(「全く購入したくない」「あまり購入したくない」の合算)は46.9%と半数近くに達し、やはり逆風を反映した結果に。
しかしそんななかでも購入に前向きな人(「とても購入したい」「やや購入したい」の合算)は28.8%と、一定数いるようです。人生最大の買い物なだけに、その方針にはいろいろな考慮があるはず。家族の人生設計など、経済だけでは語れない理由があるのかもしれません。
図表5 今後、持ち家を購入したいと思うか
出典:ネオマーケティング 「マイナス金利に関する調査」早く買うべき VS 待つべき 購入タイミングで割れるマイホーム派の本音マイホームで頭を悩ませるのが購入時期。もちろん人によって異なり、絶対の正解はないのでしょうが、金額の大きな買い物だけにタイミングを誤れば将来の負担増にも。デフレ・低金利だった頃は購入チャンスだったといえるかもしれませんが、今後マイホームを買いたい人の本音はどうなのでしょうか。
調査では、前問でマイホームの購入に前向きな人(「とても購入したい」「やや購入したい」の合算)を対象に、マイホームの購入時期を早めたい/遅らせたい、いずれの気持ちに近いかを聞きました。
その結果、早めたい人(「とても近い」「やや近い」の合算)は43.5%。さらに今後の金利上昇に不安だ/不安はない、いずれの気持ちに近いかでは、不安だという人(「とても近い」「やや近い」の合算)は45.2%でした。
このように金利上昇を気にする人が半数近くいる一方で、2問とも「どちらともいえない」という人がやはり同程度の割合に。土地代や建築費が上がり、以前からマイホームの購入価格は上昇が続いていました。当初は「インフレが収まるまで家を買うのは待つべきか」と考えていた人が、今度は「金利上昇前に家を買うべきか」という新たな難問が加わった結果、結論が出なくなってしまった。そんな事情もあるかもしれませんね。
図表6 マイナス金利政策の解除を受けての気持ち
出典:ネオマーケティング 「マイナス金利に関する調査」【調査概要】
調査名:マイナス金利に関する調査
調査方法:株式会社ネオマーケティングが運営するアンケートシステムを利用したWEBアンケート方式で実施
調査の対象:全国の20歳以上の男女のうち、有職者
有効回答数:1,000人
調査実施日:2024年4月10日~2024年4月11日
Finasee編集部
「インベストメント・チェーンの高度化を促し、Financial Well-Beingの実現に貢献」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAやiDeCo、企業型DCといった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。
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