円安はいつまで続くのか、アメリカの金利が下がるきっかけをFRB高官の発言から探る
Finasee / 2024年7月4日 7時0分
![円安はいつまで続くのか、アメリカの金利が下がるきっかけをFRB高官の発言から探る](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/finasee/finasee_13817_0-small.jpg)
Finasee(フィナシー)
FRBに関して、潮目が変わったと思われる点が見つかりました。これまでアメリカの中央銀行であるFRBは、インフレが下がるまでは利下げしないと頑なな姿勢を示していましたが、金融緩和に近づく可能性を示唆する発言が出てきました。
6月24日、サンフランシスコ連銀のデイリー総裁が意味深なコメントをしました。ロイターによると、「リスクはインフレだけではない」と述べています。景気が悪化すれば問題であり、引き締めすぎてはいけないという認識を示しました。
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デイリー総裁は、需要抑制の必要性を語りながらも、失業率について言及しました。現在の失業率は4%まで上昇し、ボトムの3.4%から0.6%上昇していますが、長期的に持続可能な水準を下回っているとのことです。FRBが考える長期の失業率見通し(自然失業率に近い概念)は4.2%であり、現在の4%はまだそれを下回っています。
デイリー総裁は、将来的な労働市場の減速が失業率の上昇につながる可能性を認めています。インフレがゆるやかに低下し、労働市場がゆっくりと「再均衡化」していく可能性を示唆しました。
デイリー総裁は、インフレの低下と失業率の上昇を「心強い」としながらも、持続可能な物価安定に向けてはまだ不確実性があるため、金融引き締め政策を続ける意向を示しました。しかし、インフレだけでなく失業率の上昇にも注目していることが明らかになりました。
前回6月のFOMCでは、失業率に対してかなり冷淡な見方をしていました。FRBは自然失業率を約4.2%と見ており、3月の見通しでは今年末4.0%、来年末4.1%、再来年4.0%としていました。しかし6月の見通しでは、今年末は変わらず4.0%ですが、来年末は4.2%まで上昇し、再来年は4.1%となっています。
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実際の失業率は、昨年4月を底に確実に上昇を続けています。来週発表される6月の雇用統計で、今年末までにFRBの予想である4.0%を上回る可能性があります。
失業保険統計も注目されています。新規失業保険申請件数は、最近やや減少したものの、失業保険受給を継続している人の数は増加しています。これは失業者の増加を示唆しています。特に4月頃から失業保険の継続受給者数が確実に上昇し始めています。
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デイリー総裁が管轄するサンフランシスコ連銀の地域である西海岸の失業率は、他の州に比べて悪化しています。カリフォルニア州の失業率は5.3%まで上昇し、その後5.1%に若干低下しましたが、上昇トレンドは続いています。ワシントン州も同様に上昇しています。
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一方、テキサス州は4%で横ばい、フロリダ州は上昇傾向にあります。西海岸やニューヨークなど、先進的なビジネスが集中する地域では、インフレだけでなく失業率にも注目する傾向が強まっています。
失業率の上昇幅を過去の景気交代期と比較すると、現在の0.6%の上昇は決して小さくありません。過去の景気交代期では、0.3%から0.8%の上昇で景気の転換点となっていました。今回の0.6%の上昇は、自然失業率には達していないものの、かなりの失業者が出ていることを示唆しています。
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このような状況から、そろそろ金融緩和に向かう可能性が考えられます。これは世界経済にとっても、特に日本にとっても重要です。円安によって日本はインフレの影響を受けており、アメリカの金融緩和が待たれています。
地区連銀総裁の意見がFRB本部にどの程度影響するかについては、数値化は難しいものの、一定の影響力があります。地区連銀は「ベージュブック」という形で地域の経済状況を報告し、それがFOMCの議論の基礎となります。また、アメリカには大規模なマクロ経済モデルがあり、これらのデータと地域の声を合わせて政策が決定されます。
次のベージュブックの担当地区によっては、金融政策の方向性に影響を与える可能性があります。サンフランシスコやニューヨークが担当すれば比較的ハト派的な内容になる可能性がありますが、中部の地区が担当すれば、タカ派的な内容になる可能性もあります。
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岡崎良介氏 金融ストラテジスト
1983年慶応義塾大学経済学部卒、伊藤忠商事に入社後、米国勤務を経て87年野村投信(現・野村アセットマネジメント)入社、ファンドマネジャーとなる。93年バンカーストラスト信託銀行(現・ドイチェ・アセット・マネジメント)入社、運用担当常務として年金・投信・ヘッジファンドなどの運用に長く携わる。2004年フィスコ・アセットマネジメント(現・PayPayアセットマネジメント)の設立に運用担当最高責任者(CIO)として参画。2012年、独立。2013年IFA法人GAIAの投資政策委員会メンバー就任、2021年ピクテ投信投資顧問(現・ピクテ・ジャパン)客員フェロー就任。
マーケット・アナライズ編集部
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