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「無断欠勤とは何事か!」円満両立めざす“子持ち様”が同僚の策略で陥った、まさかの“地獄”

Finasee / 2024年7月16日 12時0分

「無断欠勤とは何事か!」円満両立めざす“子持ち様”が同僚の策略で陥った、まさかの“地獄”

Finasee(フィナシー)

副島愛美(37歳)は、共働きで2人の子供を育てている。子供の将来を考えて新NISAで積み立て投資を始めた。子供たちが18歳になった時、その資産を自由に使って自分の意志と力で将来を切り開いてほしいと思っていた。ある日、愛美は職場の部門長である稲山学(53歳)から受けた電話を切ると、冷や汗で背中に張り付いたブラウスを強く意識した。電話の途中からしびれるように震えだした手は、まだ、震えが止まらなかった。愛美は、自分が会社のルールを破って欠勤の連絡を稲山に直接行っていなかったことについては、言い訳のしようもないと思っていた。ただ、決して無断欠勤したわけではなかった。欠勤の連絡はしていたのだが……。

長女の時は上手くいったのに…予想外の「2人目の壁」

愛美は、長男の優斗(5歳)がたびたび発熱して会社を休まなければならなくなってしまうことに、困り果てていた。長女の結乃(7歳)の時は、風邪をひくことがあっても、年に数回で、愛美が会社を休まなければならないようなことはほとんどなかった。ところが、優斗は1カ月の間に何度が発熱して保育園を休むことになった。保育園に通い始めた子供が病気がちになることは良くあることだが…。

保育園に通い始めて半年を経過した頃、よく熱を出す優斗に、夫の隆弘(39歳)も心配して小児科で有名な大学病院で本格的な検査を受けさせた。しかし、病気らしいところは見つからなかった。「精神的なものでしょうから、しばらく様子を見てください」といわれ、それからすでに1年あまりが経過しているのに、優斗の様子は一向に変わりがなかった。

子供の病気を理由に、たびたび会社を休む愛美は、徐々に会社での居場所を失くしていった。後輩の若い女子社員の間では、愛美は「子持ち様」と呼ばれているようだった。愛美は同期入社の佐藤沙知(38歳)から、愛美のチームの若い女子社員の数名が工場長の稲山に対して、愛美の配置替えを要求したということも聞いた。たしかに、愛美が勤めるアパレル会社の縫製工場では、ベテランになった愛美らの世代は、グループのリーダーとして勤務のシフトや作業スケジュールの調整などを任されていた。そのリーダーが突然、欠勤ということになると、その日の作業の割り振りが混乱することになった。このため、愛美は優斗がたびたび体調を崩すようになってから、翌日の仕事の段取り表をノートに書いてから帰宅するようにしていた。

そのノートは、グループのサブ・リーダーの吉田美代(31歳)とともに同僚の沙知にもわかるようにして、翌朝、万一にも優斗が発熱して休むようなことがあったとしても、その日の作業が滞ることのないようにしていた。沙知は、愛美の苦労を理解してくれ、愛美の休みの時には、愛美のグループにも目配りをしてくれていた。

「私に任せて」。同僚の言葉にほっとしたが…。

それは、大きなオーダーが入った日のことだった。その日は職場に緊張した雰囲気があった。翌日の仕事の段取りは、よほど慎重に計画しないと、当日中に業務が終わりそうになかった。愛美は、翌日の段取り表を慎重につくった。万が一にも休めないと思いながら、優斗の発熱は間の悪い時に起こりやすかったことを思い出していた。そのため、胸騒ぎがして仕方なかった。愛美は、帰り際に沙知に頭を下げて万が一の時には、フォローをよろしくお願いしますと拝むようにした。沙知は、「さすがに、明日休まれたらフォローしきれないと思うよ」と笑いながら、「取り越し苦労だよ」と言ってくれた。

その日、夫の隆弘は仙台への日帰り出張だということで、暗いうちから出かけた。子供たちを起こしに行くと幸いなことに2人とも何事もなく起きだしてくれた。結乃を小学校に送り出して、優斗を保育園に連れて行こうと手を握った時に、優斗の体温の高さに驚いた。優斗の呼吸は速く、明らかにぐったりしている。この状態では、とても保育園では預かってもらえなかった。愛美は震えるような思いがした。大きなため息が出たが、もはやどうすることもできなかった。会社に電話して出社できないことを伝えた。電話を取った稲山は、明らかに機嫌が悪くなった。沙知が出社する頃合いを待って、沙知にも欠勤のことを伝えた。沙知は絶句したが、「子供のことだから仕方ないね」と言ってくれた。

翌日、早めに出社して稲山に重要な日に欠勤してしまったことを詫び、沙知にもグループのメンバーにも欠勤して迷惑をかけたことを詫びた。結局、愛美のグループは2時間程度の残業になったということだった。その日は1日、針の筵に座っているような心地で過ごした。沙知が昼食に誘ってくれ、いつもと変わらないように接してくれたのが救いだった。愛美が、これ以上、稲山に欠勤の連絡をするのが辛いと言うと、沙知は「そんなに嫌なら、私に連絡してくれれば工場長には私から伝えるようにする」とまで言ってくれた。

社内の“子持ち様”を誰が支えてくれるのか?

そして、それから10日も経たない金曜日の朝に、優斗がまた発熱した。隆弘が出社し、結乃も小学校に向かった後で、驚くほど優斗の身体が熱かった。この日は、少し咳も出ていた。いつもの発熱ではなく、風邪をひいているように感じられた。愛美は、沙知に電話して事情を伝えると、優斗を抱き上げて病院に向かった。

その日の昼に、病院から帰って風邪薬を飲ませた優斗を寝かしつけていると、稲山から電話があったのだ。稲山は、「子供の病気で会社を休むのは仕方ないが、無断欠勤は困る」と言って、愛美をなじった。愛美は、「連絡はしました」という言葉を飲み込んだ。それとともに、身体に震えが走った。ついに、会社でたった一人いた自分の味方がいなくなったという思いに襲われたからだった。沙知は会社に欠勤の連絡をしてくれていなかったのだ。

●沙知の裏切りに追い詰められた愛美はついにある決意するが……。後編【同僚の非情な仕打ちでドン底に陥った“子持ち様”を救った意外な人物とは!?】にて、詳細をお届けします。

※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

 

風間 浩/ライター/記者

かつて、兜倶楽部等の金融記者クラブに所属し、日本のバブルとバブルの崩壊、銀行窓販の開始(日本版金融ビッグバン)など金融市場と金融機関を取材してきた一介の記者。1980年代から現在に至るまで約40年にわたって金融市場の変化とともに国内金融機関や金融サービスの変化を取材し続けている。

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