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不動産運用大手AEWが解説 2024年プライベートデット市場の投資機会

Finasee / 2024年7月5日 7時0分

不動産運用大手AEWが解説 2024年プライベートデット市場の投資機会

Finasee(フィナシー)

AEWキャピタルマネジメント
プライベートデット部門責任者
ジョナサン・スティーブンス氏 Jonathan Stevens
 

――まずはグローバル経済の現状と今後の見通しについて教えてください。

グローバル経済は非常に複雑かつ流動的な状況です。ウクライナ情勢や中東問題などにより地政学的リスクは高まっていますし、米国大統領選挙をはじめ各国で重要な選挙も控えています。

今後の見通しとしては、米国・欧州でどこかのタイミングで利下げが始まると見られますが、具体的なタイミングを判断するのは非常に難しいでしょう。そのため投資家は、6~18カ月といった短期目線ではなく、5~10年といったよりボラティリティの影響の少ない中長期的な目線で金利動向を捉えることが重要だと考えています。

――市場を見通すことが難しい状況の中、御社はどのような投資先に注目しているのですか。

景気やグローバル市場の方向性に対する見通しがそれほど重要ではなく、株式のように投資タイミングを考えなくて良いという点から、投資先としてのPDの魅力があると考えています。

また債券発行といった公募市場を通じた企業の資金調達手法と比べ、PDは当社のようなファンドが直接引き受けを行うことから、債券・株式といった伝統的資産に対し、公開されていない情報に対するプレミアムの獲得が狙えます。

そして社会に必要不可欠でサービスの継続的な利用が見込まれる様な資産へ投資するPDは、経済動向との相関の低さが魅力です。とりわけ足元のようにグローバル経済が混迷する中にあって、公募市場の動きにリターンが左右されにくいことは大きな強みとなるでしょう。

さらに金利変動がリターンに即座に反映されることの多いPDは、上記の様な景気変動に対する耐性や情報プレミアムの存在から、相対的に魅力的なリスク調整後のリターンを提供していると考えています。

――PDのなかで注目しているセクターを教えてください。

投資先のセクターは、PDは流動性が低く、満期まで保有することが前提で満期時のリファイナンスのリスクも考慮しなければならないため、不透明な経済状況であっても一定のレジリエンス(強靭性)が見込めることが重要です。

そうした中、具体的に注目しているのは、①脱炭素化、②デジタル化、③人口動態の変化(高齢化)、④脱グローバル化といった、長期的かつ大きなグローバル経済のトレンドに関わるセクターです。政治動向や規制の変化といったリスク要因はありますが、社会的に必要不可欠なインフラ資産であれば、こうした中でも投資機会を見出すことができると考えています。

――特に「脱炭素化」に関する投資に着目しているそうですね。

経済の脱炭素化はPD、とりわけインフラへの投資を考える上で重要です。気候変動問題を巡る世界的目標を定めた「パリ協定」では、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」が盛り込まれました。カーボンニュートラルを実現するにはエネルギーに関するインフラ整備に膨大な資金が必要になりますから、投資先としてこれからも有望と言えます。

脱炭素化への注目度の高まりは、PD投資におけるインフラの定義が時とともに変わっていることからもうかがえます。10~15年前は交通や公共セクターに対するPPP(Public Private Partnership=官民連携)を通じたものがインフラ投資でしたが、現在では、経済の脱炭素化やエネルギー移行、デジタル化に関するものが主流になってきています。

――経済のデジタル化を巡っては、今年4月にも国内向けに新たなインフラデットファンドを設定されています。

欧州のインフラ市場における急成長分野であり、魅力的な投資リターンを提供するために、SBI新生銀行の自己運用部門向けに「SSキャピタル・デジタル・デット・ファンド」を設定しました。当ファンドは光ファイバー網や携帯基地局、データセンターといった欧州の通信インフラ・プロジェクトに投資するものです。

再生可能エネルギーは非常に安定的で質の高い投資先ですが、リターンの水準が相対的に低くなります。一方で、欧州のインフラ・デット全体に占める通信分野の割合は過去5年間で10%から35%に拡大しており、今後もデジタル化の需要が続くことが見込まれています。そのため、通信インフラは投資機会が非常に豊富であるとともに、リスク対比のリターンが魅力的な水準となっています。

――PDにはさまざまな運用会社が注目していますが、AEWならではの強みは何ですか。

AEWの強みは、インフラや不動産、航空機、企業ファイナンスなど多種多様なセクターをカバーしており、セクターごとの専門家を統合したデット投資の専門チームを作っている点にあるでしょう。また業界経験の長いシニアメンバーが多いのも特長で、一緒に15年以上にわたって仕事をしている者も珍しくありません。

――最後に読者へ向けてメッセージをお願いします。

PDにおける投資機会は、過去数年間と比べてもリスク・リターンの魅力度が増しています。また混迷する経済動向や市場の価格動向に左右されにくい安定的なリターンの獲得、企業の負債構造にマッチしたソリューション的なリターンをお探しの投資家にとって、PDは戦略的なアセットアロケーションを支える重要な投資先になり得ると考えています。様々な投資家のニーズに応えてきた弊社にご関心を持っていただければ幸いです。

オルイン編集部

「オルイン」は、株式・債券といった伝統資産はもちろん、ヘッジファンドやプライベートエクイティ、不動産といったオルタナティブもカバーする、国内随一の機関投資家向け「運用情報誌」。2006年の創刊以来、日本の年金基金や金融法人、公益法人といった機関投資家の運用プロフェッショナルに対し、その時々のタイムリーな話題を客観的かつ独自の視点でわかりやすくお伝えしています。

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