日経平均の最高値更新で沸く株式への投資 株価の上昇背景と今後の投資方針は?
Finasee / 2024年7月11日 7時0分
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Finasee(フィナシー)
今回は日経平均株価の4万円回復のメカニズムについてお話しします。このメカニズムは、これまで話してきた金融政策やファンダメンタルデータ、業績などではなく、相場自身が持つ力学のようなものです。具体的には、オプションマーケットで取引されている価格から逆算したボラティリティや、マーケット自身が持つ価格変動のメカニズムに基づいています。
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まず、3月22日の高値40,880円からマーケットが下落し、その後回復する動きを見てみましょう。この間、マーケットで取引されているオプション価格のボラティリティは上昇しました。これは予想が外れ、元の状態に戻るのではないかという懸念が広がったためです。しかし、その後ボラティリティは下がり始め、それに伴って株価が上昇しました。
この動きは極めて普通のものです。つまり、下落したから上昇したという単純な動きなのです。40,000円に達したことを大騒ぎする必要はありません。大きな変化や金融政策の変更などがあったわけではありません。
3月22日までの株価上昇と今回の40,000円回復は全く意味が異なります。その違いを説明しましょう。年初から3月までの株価上昇時、マーケットは33,000円から40,000円方向へ上昇しました。この間、ボラティリティも上昇しました。これは大きな変化を示しています。
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このような動きは、「想定外の上昇だ」「世の中が変わった」「今までと全然違うことが起きている」といった心理を反映しています。これが本当の意味でのレジームチェンジです。しかし、現在の動きはそれとは異なり、普通の動きです。
したがって、現在は慌てて市場に飛び込む必要はありません。トランプ氏が勝ちそうだと思えばトランプラリーに少し乗ってみる、金利が上がりそうなら銀行株を増やすなど、日々の経済指標や四半期ごとの決算を見て物色すればよいでしょう。
昨年の4月から6月にかけても同様の現象がありました。30,000円に乗っていく時期で、20,000円台に戻ることはありませんでした。これはデフレ時代の終わりをマーケットが感じた瞬間でした。株価が上昇する中、ボラティリティも上昇し、この時も市場に飛び込む必要がありました。
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今年1月の33,000円から40,000円への上昇、そして37,000円への下落、再び40,000円への回復は、これらの大きな変化の時期とは異なります。多少待っても問題ありません。ゆっくりと循環的に動くでしょう。変化が激しすぎれば売られるでしょうし、アメリカの経済統計や業績が悪ければ下がるでしょう。そういったタイミングを拾っていけばよいのです。
このようなボラティリティと株価の関係は、ある程度順繰りに現れる現象です。2023年からの動きを見ると、ボラティリティはかなり循環的に上昇と下降を繰り返しています。ただし、上昇と下降のリズムと、上昇と横ばいのリズムには若干の違いがあります。
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これらの動きを整理すると、以下のように分けることができます。
①株価上昇・ボラティリティ上昇
②株価横ばい・ボラティリティ低下
③株価下落・ボラティリティ上昇
この1から3のサイクルが繰り返されています。現在は2の状態でボラティリティが低下し、株価が元の位置に戻ろうとしている段階です。
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今後、再び1の状態が来る可能性はありますが、大きな相場の変化は概ね年に1回程度のペースです。大統領選挙や金融政策の変更など、大きな出来事が待ち構えているため、次の大きな変化はもう少し先になるでしょう。
したがって、現時点で慌てて市場に飛び込む必要はありません。むしろ、下落したところをじっくりと買っていく戦略が良いでしょう。
さらに、上昇速度(60営業日平均上昇率を年率化)という観点からも市場を見ることができます。年初からの日経平均株価の動きを見ると、30,000円から40,000円に近づく過程で、株価の上昇スピードが非常に速くなりました。
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40,880円まで到達した際、このスピード指標は年率225%程度という非常に高い水準に達しました。これは明らかに「スピード違反」の状態でした。その後、株価は下落してスピード指標も低下し、最終的にはマイナスにまで落ち込みました。
つまり、今は再びゆっくりと相場に参加し始めても良い時期に入ったと言えます。ただし、一度スピード違反を経験しているため、しばらくは自制的な調整が続くでしょう。急激な上昇があれば、自然とブレーキがかかるはずです。
したがって、ここからは一気に相場が動くことはないと予想されます。じっくりと投資判断を行っていくのが良いでしょう。
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岡崎良介氏 金融ストラテジスト
1983年慶応義塾大学経済学部卒、伊藤忠商事に入社後、米国勤務を経て87年野村投信(現・野村アセットマネジメント)入社、ファンドマネジャーとなる。93年バンカーストラスト信託銀行(現・ドイチェ・アセット・マネジメント)入社、運用担当常務として年金・投信・ヘッジファンドなどの運用に長く携わる。2004年フィスコ・アセットマネジメント(現・PayPayアセットマネジメント)の設立に運用担当最高責任者(CIO)として参画。2012年、独立。2013年IFA法人GAIAの投資政策委員会メンバー就任、2021年ピクテ投信投資顧問(現・ピクテ・ジャパン)客員フェロー就任。
マーケット・アナライズ編集部
「マーケット・アナライズ Connect」全国無料放送のBS12 トゥエルビで隔週土曜あさ6時~放送中金融ストラテジストの岡崎良介と、証券アナリストの鈴木一之が、毎週、株式市場や金融トピックスに精通したゲストを迎えて、投資未経験者から上級者まで、投資情報を必要としたあらゆる人たちを対象にマーケット情報をお送りします。
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