好調の外国株式、4位に急浮上は「S&P500」を凌ぐ収益率の成長株ファンド! 6月投信概況
Finasee / 2024年7月17日 7時0分
Finasee(フィナシー)
三菱アセット・ブレインズがまとめた2024年6月の公募ファンドの純資産残高は103兆1773億円で前月比5兆4240億円増額した。2023年11月以来、8カ月連続の残高増で、増加額は23年11月の5兆804億円を上回り過去1年で最大になった。資産別には「外国株式型」が54兆9695億円で残高が前月比7.73%増加したが、増加率では「エマージング株式型」が前月比11.94%増加して5兆6484億円になった。
「国内株式型」は、残高こそ12兆1542億円と「外国株式型」に次ぐ残高があるが、月間の残高の伸び率は1.81%だった。資金流出入では月間で約 1兆2710億円の資金流入があり(前月は1兆1950億円の資金流入)、資金流入額を資産別にみると「外国株式型」が最大で約1兆470億円(前月は8510億円)、ついで、「エマージング株式型」の約2560億円(同約2200億円)だった。一方、資金流出は「不動産投信型」が約530億円(同約450億円の資金流出)で最大だった。前月は約1000億円の資金流入だった「国内株式型」は約170億円の資金流出に転じた。
◆「世界半導体株投資」が資金流入額でも収益率でも躍進個別ファンドの資金流入額で、「外国株式型」のトップは「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の約1962億円、そして、2位が「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の約1682億円、3位が「アライアンスB・米国成長株投信D」の約1299億円の順で前月と変わらなかった。第4位に「野村世界業種別投資(世界半導体株投資)」が躍進している。同ファンドの前月の流入額は約229億円で、「外国株式」の流入額ランキングで第10位だったが、6月は流入額が約567億円と倍増している。月間収益率では、「eMAXIS Neoクリーンテック」の17.77%がトップ。次いで、「テーマレバレッジクリーンテック2倍」の14.81%、「野村世界業種別投資(世界半導体株投資)」の12.49%となった。
「エマージング株式型」では、前月に続いて「HSBCインド・インフラ株式オープン」が約655億円の資金流入(前月は約540億円)でトップ。続いて「ダイワ・ダイナミック・インド株ファンド」の約379億円、「インド小型厳選株式ファンド」の約202億円など、流入額上位15銘柄のうち、14銘柄をインド株ファンドが占めた。唯一、「フィデリティ・新興国中小型成長株投信」が流入額約117億円で第8位に入ったが、前月の約275億円から流入額が減額しており、インド株人気に存在感を消されている。月間収益率では「ニッセイ新興国テクノロジー関連株式ファンド(資産成長型)」が7.03%でトップ。「エマージング株式型」で2ケタの収益率はなかった。資金流入額トップの「HSBCインド・インフラ株式オープン」は4.29%で「エマージング株式型」の中で第14位だ。
また、「国内株式型」では、トップが「日経平均高配当利回り株ファンド」(流入額:132億円)、第2位が「三井住友DS・ジャパン・ハイ・コンビクション・ストラテジー」(同約122億円)だったが、流入額が100億円を超えたのは、この2銘柄だけにとどまった。月間収益率のトップが「ミュータント」の9.78%と2ケタに届かないあたりが、「外国株式型」や「エマージング株式型」と比較して人気が続かない要因になっているようだ。
◆定着したインド株ファンド人気。トルコ、ベトナムは今後次第6月の資金流入額が目立って大きくなった「エマージング株式型」は、流入額の大きさではインド株ファンドが他を圧倒しているが、月次の収益率ではインド株以外の国の台頭もある。たとえば、「トルコ株式オープン」は6.61%で「エマージング株式型」収益率ランキングの第3位、「イーストスプリング・ベトナム株式ファンド」は5.14%で第6位、「イスラエル株式ファンド」が4.73%で第9位などだ。とはいえ、1カ月間だけの収益率のみを取り上げて、有望な投資先と判断するわけにはいかないのも確か。インド株ファンドに人気が高いのは、過去3年、5年という中長期にわたって優れた成績を残してきたためだ。その点では、目先のパフォーマンスが鈍化しても資金流入が続くインド株ファンドは、しっかり人気が定着したといえそうだ。
一方、資金流出額の大きなファンドは、「日経225ノーロードオープン」(流出額:292億円)、「楽天日本株4.3倍ブル」(同168億円)の「国内株式型」がトップ2となった。また、前月に続いて「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(ヘッジなし)」(約135億円)、「ピクテ・グローバル・インカム株式F(毎月分配型)」(流出額:約119億円)という大型ファンドからの資金流出が目立っている。「ピクテ・グローバル・インカム株式F(毎月分配型)」は3カ月で496億円の資金流出、「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(ヘッジなし)」も374億円の資金流出と資金流出規模が大きい。
資産別で流出額が大きかった「不動産投信型」は、「ダイワJ-REITオープン(毎月分配型)」(約106億円)、「新光US-REITオープン」(約104億円)など、引き続き内外問わずに「不動産投信型」から資金が流出している。
執筆/ライター・記者 徳永 浩
Finasee編集部
「インベストメント・チェーンの高度化を促し、Financial Well-Beingの実現に貢献」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAやiDeCo、企業型DCといった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。
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