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大手銀ランキングで上昇中!「S&P500」下落時にも2ケタのリターンをあげていた意外なファンドとは?

Finasee / 2024年7月22日 7時0分

大手銀ランキングで上昇中!「S&P500」下落時にも2ケタのリターンをあげていた意外なファンドとは?<br />

Finasee(フィナシー)

メガバンク3行の6月の売れ筋は、上位銘柄に前月と大きな変動はなかったが、各行のランキング下位には債券を主な投資対象とするファンドがランクインしてきている。6月は、米国の「S&P500」や「NASDAQ総合」が史上最高値を更新し、国内株も上昇したが、この株高にリスクを感じる投資家も一定数は存在することが感じられる。

2024年6月の売れ筋のトップは三菱UFJ銀行が前月と同様にバランス型の「MUFG ウェルス・インサイト・ファンド(標準型)」、みずほ銀行も前月同様にバランス型の「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」だった。三井住友銀行は5月に限定追加型の債券ファンド「三井住友DS ワールド・ボンド・フォーカス2024-05(限定追加型)」がトップだったが、その募集期間が終わったため、2位以下の3銘柄が繰り上がった。

 

メガバンク3行の売れ筋ランキングは、三菱UFJ銀行と三井住友銀行が「総合」ランキング、みずほ銀行は「みずほインターネット投信除く、積立契約も除く」としている。

◆異彩を放つ「ピクテ・ゴールド」のトップ10入り

6月のメガバンクの売れ筋ランキングで目を引くのは、三井住友銀行のランキング第7位に入った「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」の存在だ。前月はトップ10にも入っていなかった。このファンドは、金地金(きんじがね)に投資する投資信託を投資対象とするファンドで、実質的に金地金と同じパフォーマンスをめざすファンドだ。金(ゴールド)は実物資産といわれ、株式等の有価証券とは異なって、そのものが希少性という価値を持っている。投資資産としては配当や利子などはなく、ただ価格変動のみがあるのだが、株式や債券といった有価証券の市場が下落するような局面で、価格が上昇するという特徴がある。

「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」のパフォーマンスを年次で振り返ると、米国株式市場が崩れた2022年にプラス16.1%という2ケタのリターンをあげているところが目立つ。2022年は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」はマイナス6.1%だった。2023年は株価が反発し、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は34.6%のプラスリターンだったが、「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」はプラス20.1%と、2020年以来、安定的にプラスリターンを重ねている。

2024年になっても米国株式は史上最高値を更新し、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は半年で30%を超えるリターンを記録している。年率換算で60%を超えるパフォーマンスは、過去5年間の年平均リターンが24.5%という実績と比較すると過剰に上昇しているように感じられる。株価下落時に活躍する「ゴールド」が選ばれる理由と考えられる。

◆株高リスクに備え「債券ファンド」の組み入れ広がる

このような株高のリスクに備える動きは、他のメガバンクのランキングにも見える。三菱UFJ銀行もみずほ銀行もランキングのトップはバランス型ファンドであり、株式100%のファンドが一番人気ではない。加えて、トップ10の下位ながら、債券を主たる投資対象にしたファンドがランクアップしている。三菱UFJ銀行で第8位にランクアップした「三菱UFJ/マッコーリー グローバル・インフラ債券ファンド<為替ヘッジなし>(毎月決算型)(愛称:世界のいしずえ)」は、インフラ事業を行う企業が発行する社債を主な投資対象にするファンドだ。

また、みずほ銀行の第10位にランクアップした「NWQグローバル厳選証券ファンド(為替ヘッジなし/隔月分配型)(愛称:選択の達人)」は、世界の米ドル建て資産(株式、債券、優先証券など)に投資するファンドだが、有望企業を選定の後に、その企業が社債等を発行している場合は、株式と比較して優位と判断される証券に投資する仕組みになっている。5月末時点のポートフォリオの中身は、投資適格社債が30.3%、ハイイールド債券が25.7%、優先証券が21.7%など債券中心のポートフォリオになっている。三井住友銀行でも、第8位にランクインした「GSグローバル・パーシャルヘッジ社債ファンド」は、ハイイールド債券を含む社債を主たる投資対象としたファンドだ。

一方で、依然メガバンクの売れ筋の上位は、株式を主たる投資対象にしたファンド、または、株式を対象としたインデックスファンドが多い。インデックスファンドでは、三菱UFJ銀行と三井住友銀行で、ともに第2位に米国「S&P500」に連動したインデックスファンド、第3位が国内の「日経平均株価(日経225)」に連動したインデックスファンドになっている。日米ともに7月になって史上最高値を更新する上昇を見せており、多くの投資家が株式市場については強気の見方をしているということだろう。

◆メインシナリオの「米国成長株」はどこまで続くのか?

売れ筋の上位に「米国成長株」を主たる投資対象にしたファンドがランキングされているのは、現在の世界の株式市場をリードしているのは、「マグニフィセント・セブン=M7(アップル、アマゾン、アルファベット、メタ、マイクロソフト、エヌビディア、テスラ)」というハイテク巨大企業だからだ。2023年の市場をけん引し、株価が割高な水準にまで上昇したと懸念されつつ、2024年になっても依然として市場の中心であり続けている。これら「M7」の株価が崩れない限り、「米国成長株」やその影響が大きい「S&P500」や「NASDAQ総合」などの上昇も続くことになる。

メガバンクの売れ筋からうかがえるのは、メインシナリオとして現在のハイテク株高の継続を置きつつも、その株高の継続性にはやや慎重になってきたということだろう。そのため、バランス感覚が感じられる売れ筋となっている。7月になって日米の株価は史上最高値を連続して更新している。この株高に対して、メガバンクの売れ筋はどのように変化していくのか? 引き続き動向をチェックしていきたい。

執筆/ライター・記者 徳永 浩

Finasee編集部

「インベストメント・チェーンの高度化を促し、Financial Well-Beingの実現に貢献」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAやiDeCo、企業型DCといった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。

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