実感のない「謎の中古マンション高騰」から浮かび上がる意外な事実とは?
Finasee / 2024年7月19日 19時0分
Finasee(フィナシー)
2022年から20%以上も高騰する中古マンション
まずは本当に中古マンション価格が高騰しているのでしょうか。不動産売却一括査定サイトを運営するマンションリサーチ株式会社が東日本レインズの不動産取引データを用いて実施した調査から確認してみましょう。
結果は2022年1月に1平方メートル当たり65万円弱だった成約価格が、2024年4月には80万円弱まで高騰。特に2024年3月から4月の伸びがひときわ目立ちます。例えば3LDK(70平方メートルの場合)だと4300万円弱が5600万円弱になった計算なので、かなりのインパクト。なお成約価格とは売り手と買い手が最終的に合意した価格のことです。
図表1 一都三県中古マンションの価格推移
出典:マンションリサーチ株式会社「中古マンションマーケットの急速な二極化の実態とは?」実は普段、目にする売出価格は高騰していない中古マンション価格の高騰は事実のようですが、なぜ実感がわかないのでしょうか。マンションには成約価格以外に在庫価格があります。これはマンションの売り出しを始める時の価格で、「いくらで売りたいか?」という売り手の希望を加味して決めます。私たちがネットやチラシで目にする売出価格は実はこの在庫価格のことです。
結果は在庫価格も成約価格と同様に2022年1月から高騰が始まりますが、2023年2月をピークに下落に転じ、直近は2022年2月の水準まで落ち込んでいます。
実感がわかないのは当然で、高騰しているのは成約価格だったのです。
図表2 一都三県中古マンションの価格推移
出典:マンションリサーチ株式会社「中古マンションマーケットの急速な二極化の実態とは?」中古億ションの成約件数に手がかりも、謎が深まる
成約価格が上昇ということは、平均を押し上げる動きとして高額物件の成約状況に何かあった可能性が。そこで調査は東京23区で1億円以上の中古マンションのみなし成約件数を分析。結果はきれいな右肩上がりで、特に今年3月と4月は断トツの高水準です。しかし図表1だと3月と4月の間でも成約価格が大幅に高騰しましたが、成約件数には大きな差が見られません。謎が深まるばかりです。
図表3 東京都23区10,000万円以上の成約物件数
出典:マンションリサーチ株式会社「中古マンションマーケットの急速な二極化の実態とは?」2024年4月の超高額物件は圧倒的な成約件数だったことが判明中古億ションでも価格帯によって成約状況に違いがあるのでしょうか。そこで調査は前述の成約件数の内訳を分析。結果は1億5000万円以上の中古マンションだと2024年4月の成約件数が圧倒的に高い水準だったことが明らかに。成約価格を押し上げている要因は超高額物件の成約急増にありそうです。
それにしても1400万人都市・東京とはいえ、1億5000万円以上の超高額物件の成約がたった1カ月で90件近くもあるのは驚きですね。
図表4 東京都23区15,000万円以上の成約物件数
出典:マンションリサーチ株式会社「中古マンションマーケットの急速な二極化の実態とは?」残された謎 なぜこのタイミングで富裕層は物件購入?私たちが普段目にする1億円以下の中古マンションだと2024年の高騰は見られないのでしょうか。結果は全価格帯が一貫して高騰しているのに対し、1億円以下は2022年後半まで高騰も、それ以降は伸びが鈍化し、2024年に入ってからは頭打ちです。
このように2024年の中古マンション高騰の背景には、富裕層などによる超高額物件の購入急増があるようです。しかしなぜこのタイミングで物件購入なのでしょうか。1つの可能性として日銀のマイナス金利解除があります。今後住宅ローン金利の上昇が予想されることから、今が低金利で物件を取得できる最後のチャンスだと考えた富裕層がみられたからではないでしょうか。一般層に比べて資金に余裕があることも、駆け込み購入に拍車をかけた可能性があります。
図表5 一都三県の「全価格帯の成約価格」と「1億円以下の物件の成約価格」の推移
出典:マンションリサーチ株式会社「中古マンションマーケットの急速な二極化の実態とは?」《調査概要》
調査名:中古マンションマーケットの急速な二極化の実態とは?
調査主体:マンションリサーチ株式会社
調査公表日:2024年6月28日
調査対象:公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)の不動産取引データ
Finasee編集部
「インベストメント・チェーンの高度化を促し、Financial Well-Beingの実現に貢献」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAやiDeCo、企業型DCといった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。
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