「会って話をする必要があるんじゃないですか」事実婚の夫を亡くした40代女性が本妻との“直接対決”を決めたワケ
Finasee / 2024年7月25日 12時0分
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Finasee(フィナシー)
長居恵さん(仮名)は小学5年生の息子を持つ41歳のシングルマザー。この7年間は仕事先で知り合った18歳年上の男性と内縁関係にありましたが、4カ月ほど前に男性が急死してしまいます。男性は長居さんの精神的、経済的な支柱となっていただけでなく、実父の記憶がない息子にとっても「頼りがいのあるかっこいいお父さん」でした。
とはいえ、男性の死後、その亡きがらは戸籍上の本妻に引き取られ、長居さん母子は葬儀、埋葬、相続でも完全に“蚊帳の外”でした。男性が長居さんや息子のために貯めておいた預貯金の通帳まで持っていかれ、やり場のない怒りを感じた長居さんは本妻に面会を求めます。しかし、会いに行った先で、長居さんは本妻による実に恐ろしいたくらみを知らされることになったのです。
〈長居恵さんプロフィール〉
東京都在住
41歳
女性
パートタイマー
小学生の息子と2人暮らし
金融資産150万円
シングルマザーの私は、7年ほど前から仕事先で知り合った18歳年上の男性と同居していました。私自身はバツイチですが、彼には戸籍上の家族がいました。奥さんが頑として首を縦に振らず、離婚したくてもできない状態だったのです。
男性は本妻と離婚しないまま帰らぬ人に奥さんは都内の彼名義のマンションに社会人の娘さんと一緒に暮らしていました。家を出た時点でマンションの住宅ローンは完済していて、まとまったお金を渡した上で生活費として毎月30万円を振り込んでいると聞きました。
専業主婦の奥さんが働きに出た様子はなく、娘さんの学費や短期留学の費用も全額彼が負担していました。彼は来春定年を迎える予定で、それを機に奥さんに離婚と生活費の減額を迫るつもりだと話していたのです。
そんな矢先、彼が突然体調を崩し、救急車で運ばれた病院で息を引き取りました。急性心疾患でした。
高血圧の持病があり、減塩食やウォーキングなどを心がけ健康には留意していたつもりだったので、まさかこんなに早く逝ってしまうとは想像もしませんでした。彼のことは思春期の私の息子も慕っていて、突然の死に大きなショックを受けたようでした。
しかし、悪夢のような日々が始まったのはそれからです。
戸籍上の妻子に知らせないわけにはいきませんから病院から連絡を入れると、奥さんは涙で声を詰まらせた私に「葬儀や埋葬はこちらでやりますから」と冷たく言い放ちました。
彼の亡きがらは奥さんが手配した葬儀社に持っていかれ、その後は葬儀場さえ教えてもらえませんでした。息子も「どうして僕たちはお父さんのお葬式に行けないの」と納得できないそぶりでした。
そして、彼の相続の手続きも私たちの手の届かないところで粛々と進められていたようです。
いまさらですが、それは分かりきっていたことでした。彼自身が生前、「妻と離婚できないと、僕に何かあった時には財産の一切合切を妻と娘に持っていかれることになる」という不安を口にしていたからです。
仕事柄相続の知識を多少持っていた彼は、将来的には遺言書を作成することで私にいくばくかのお金を残すことを考えていたようです。しかし、まさか自分がこんなに早く亡くなるとは考えてもいなかったのでしょう。
奥さんの弁護士から突きつけられた厳しい現実彼が亡くなって2カ月ほどして、奥さんの依頼を受けたという弁護士事務所から連絡が入り、彼の財産について話があると言われました。
数日後、わが家にやってきた若い弁護士から聞かされたのは、次のような話でした。
まず、彼の場合は遺言書がないので、戸籍上の妻子が法定相続分通りに遺産を折半する形になること。彼が私や息子のためにしていた預貯金があれば、それも実質的な所有者である彼の相続財産に含まれるので速やかに通帳を渡してほしいとも言われました。
また、私と彼は「重婚的内縁関係」となるため、私が彼の遺族年金を受け取るには彼の婚姻関係が破綻していることを証明する必要があるという指摘も受けました。現実問題、それを証明するのはかなり難しいだろうとのことでした。
奥さんは私たち母子にこうした厳しい現実を突きつけることで、自分たちの立場を思い知らせたいんだろうなと感じました。あまりに露骨な“正妻マウント”ですが、それが奥さんなりの彼や私への意趣返しなのでしょう。
でも、私もマウントを取られっぱなしのまま引き下がるつもりはありませんでした。ですから、弁護士の方にこう食い下がったのです。
「相続云々の話をする前に、奥さんに会わせてください。いや、奥さんにこう伝えてください。『戸籍に記載がないだけで私や息子も彼の身内です。私たちは会って話をする必要があるんじゃないですか』って」
私の怒りが届いたのか、弁護士事務所を通して奥さんから会ってもいいという返事がありました。そして2週間後、私たちは初めて顔を合わせることになりました。
●大胆にも男性の奥さんとの面会を求めた長居さん。初めて対面した相手は、想像していた人物像とは全く違うタイプでした。後編【心を殺して15年…夫の浮気に長年悩まされた“サレ妻” がついにやり遂げた「壮大な復讐計画」】で詳説します
※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。
森田 聡子/金融ライター/編集者
日経ホーム出版社、日経BP社にて『日経おとなのOFF』編集長、『日経マネー』副編集長、『日経ビジネス』副編集長などを歴任。2019年に独立後は雑誌やウェブサイトなどで、幅広い年代層のマネー初心者に、投資・税金・保険などの話をやさしく、分かりやすく伝えることをモットーに活動している。
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