Z世代が選ぶのは「資産形成の研修」がある会社! 国が資産形成をすすめる意外な理由とは?
Finasee / 2024年7月26日 13時0分
Finasee(フィナシー)
Z世代は保守的? コロナ禍を経て「やりたいこと」より「安定」を求める
Z世代(1990年代後半〜2010年頃に生まれた世代)の学生は「安定」を求める傾向にある――金融庁の金融審議会が2024年1月に行った合同会合※で明らかにされた見解です。
※金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第26回)・「顧客本位タスクフォース」(第6回)合同会合(2024年1月26日)
出所:HUMAN CAPITAL サポネット powered by マイナビ 「2023年卒学生に調査!企業選びの本音に迫る|学生にとっての「安心・安定」「成長環境」とは?」(金融審議会 第26回 市場制度ワーキング・グループ・ 第6回 顧客本位タスクフォース合同会合 事務局説明資料)さらに、Z世代の学生が企業に安定性を感じるポイントとして、「福利厚生が充実している」 に次いで「安心して働ける環境である」を挙げる意見が多いということも分かりました。
出所:マイナビ2023年卒大学生活動実態調査(3月)より金融庁作成売上高や今後の成長業界・企業であるなどの対外的な指標よりも、福利厚生の充実や安心して働ける環境であるかなど、会社選びの際に「自分にとってどうなのか」というパーソナルな観点を重視していることが見て取れます。学生が企業選択のポイントとするこれらの項目に続いて、どのような研修を望むかについても挙げられています。
Z世代が望むのはコミュ力やITスキルよりも「資産形成研修」Z世代の学生が企業や職場を選ぶ際に「用意してくれたら良いと思う研修」として最も多く選ばれたのは、「資産形成・金融リテラシー研修」でした。ビジネスコミュニケーションやITスキル、メンタルヘルスなどの研修よりも望まれているというのは意外な結果といえそうです。
出所:2023年11月~12月に金融庁が行った大学生向け授業でのアンケ―ト結果及び2023年9月~2024年1月に金融経済教育推進会議が行った大学連携講座でのアンケートより金融庁作成
それを裏付けるように、続いての質問への回答では、「資産形成・金融リテラシー研修を積極的に導入している企業は学生の志望度が高まると見込まれる」という結果も出ています。
その上で、従業員向けの資産形成・金融リテラシー研修の実施といったいわゆる職域教育を積極的に行うことで、「新規採用やリテンション(人材確保)の強化に寄与し得ると考えられる」とも説いています。
国により掲げられている資産所得倍増プランでも「企業による雇用者の資産形成の強化」として、支援のための取り組みを積極的に情報開示するよう企業に促すことが明記されています。
では実際に、Z世代が企業に入社した後にはどのような資産形成制度があるのでしょうか。詳細はこちらの記事、「【新入社員必読!】持株会、企業型確定拠出年金、NISA。資産を増やすため“最優先”で利用すべき制度は…」 でも紹介していますが、特に注目される制度が企業型確定拠出年金(企業型DC)です。
企業型DCとは、簡単にいうと退職金制度の一種です。企業が掛金を毎月積み立て、その掛金で運用する商品を従業員が自分で選んで資産形成を行います。現在、退職金制度を導入している企業は約75%、実に4社に3社となっています※。なお退職金制度には幾つか種類があり、この数字には企業型DCのほか確定給付企業年金(DB)なども含まれています。
※出所:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査概況 」
従業員の資産形成に積極的な企業が選ばれる時代に企業型DCがある企業では、従業員が適切に資産運用できるように投資教育を継続して行うことが努力義務として課されています。ただし調査からは、8割の企業がその教育を行っているものの、従業員の側で受けたことがあると回答したのはわずか1割と、双方の認識に大きな隔たりがあることが明らかになっています。
出典:企業年金連合会「2021(令和3)年度 確定拠出年金実態調査結果(概要)(2023年3月公表)」、年金シニアプラン総合研究機構「厚生年金の加入者における企業型確定拠出年金とiDeCoに関する調査(2021年5月調査)(2022年2月公表)」、確定拠出年金教育協会「企業型確定拠出年金(DC)担当者の意識調査2022全体報告書(2023年1月公表)」、確定拠出年金・調査広報研究所「第19回企業型確定拠出年金制度に関する調査(2022年8月公表)」より金融庁作成このギャップを埋めていくことが喫緊の課題であることは明白です。企業型DCがある企業の中でも意欲的に継続投資教育を実施しているところでは、従業員が企業型DC加入者ウェブサイトへアクセスしたり、マッチング拠出(会社による掛金にプラスして従業員自身が掛金を上乗せすること)が増えているといった、従業員の資産形成への前向きな行動が見られます。
日々の仕事に忙しい中でも、自らの資産形成に積極的に動くか否かは企業による継続教育の有無によるところが大きいことの証左といえそうです。
今年4月に金融リテラシーの向上に向けて金融経済教育推進機構(J-FLEC)が設立されました。機構の目的は「国民一人ひとりが描くファイナンシャル・ウェルビーイングを実現し、自立的で持続可能な生活を送ることのできる社会づくりに貢献していく」ことであると同3月の閣議決定 で示されています。
すでに2023年3月期から有価証券報告書への人的資本に関する開示が義務付けられています。資産形成支援をはじめとするファイナンシャル・ウェルビーイングに関する取り組みについて、その積極的な開示は内外から望まれる最重点課題の一つといっても過言ではないでしょう。
国を挙げての取り組みは着実に進んでいます。選ばれる企業の条件としてファイナンシャル・ウェルビーイングがスタンダードとなる時代は、そう遠くないのかもしれません。
ファイナンシャル・ウェルビーイング編集部
『ファイナンシャル・ウェルビーイング』編集部は、職域を通じた従業員への金融知識普及を目的とした、ファイナンシャル・ウェルビーイングに関する情報をお伝えします。人事部門で「福利厚生・報酬・企業年金」等の実務に携わる方々の声を元に、従業員エンゲージメントの向上に繋がる「実用性の高い記事」を作成、掲載していきます。
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