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お手本は“投資の神様”バフェット? インフレ時代は短期トレードより長期投資が有利といえるワケ

Finasee / 2024年8月7日 18時0分

お手本は“投資の神様”バフェット? インフレ時代は短期トレードより長期投資が有利といえるワケ

Finasee(フィナシー)

今、日本経済は大きな転換期にいます。

長年悩まされてきたデフレを脱却し、インフレに突入しました。そしてマイナス金利解除、急変する為替、海外投資家の増加など、新しい流れのなかでこれまでの投資戦略が通じにくくなっています。

伊藤忠を経て、国内外の金融機関を渡り歩いてきた金融ストラテジスト・エコノミストの岡崎良介さんは、これからの時代は「短期トレードよりも長期ポートフォリオ」「すべての〝資産〟の価値が上昇」と言います。豊富なデータを基に、インフレ経済の投資戦略を紹介してもらいます。(4回目の3回目)

●2回目:「日本株投資のロードマップ」3度目の大規模な外国人の日本株買いが意味するものは?

※本稿は、岡崎良介『野生の経済学で読み解く 投資の最適解』(日本実業出版社)の一部を抜粋・再編集したものです。本記事の情報は、書籍発売日(2024年1月)に基づきます。

インフレ時代の投資戦略① アルファだけでなくベータも取りにいく

大枠が決まったところで、次は何に投資していくかです。もちろん、これはここからの世界の景気動向や、投資家を取り巻く環境によって揺さぶられることは必定ですから、骨格となる基本戦略として理解しておいてください。

最初に押さえておかなければならないことは、デフレからインフレへと時代が変わったのですから、投資もまたスタイルの変更を余儀なくされるという点です。何せデフレの時代は物価が上がらないのですから、企業にしてみれば経営課題の中心はもっぱらコスト削減にありました。家計もまた安くて質の良いものを選り好みするのが基本姿勢ですから、これではなかなか皆が儲かる時代にはなりません。皆が儲かる時代ではないのですから、世界の投資家が日本株に向ける目も、どちらかといえば冷ややかで、ごく限られた銘柄に時々お金が注ぎ込まれる程度の話です。国中の歯車が噛み合わず、なかなか前に進まない状態(名目成長が伸びてこない)だったのですから仕方のない話です。

ところがインフレの時代が始まると、投資家のスタンスががらりと変わります。これはすでに2023年の4月から6月にかけて見られた現象ですが、個々の銘柄を細かく分析して選び抜かれた企業に投資するというよりも、まずは前に進み始めた〝日本〟を買う行為が先に立ちます。この場合、〝日本〟とは日本を代表する大型優良株のことを指すのですが、現代の市場における具体例としてはTOPIXや日経平均株価などの大型株指数が挙げられます。

この動きを、運用の専門家の世界では〝ベータ〟を取りにいくと呼んでいます。反対に、全体の相場が停滞しているなかで、個別銘柄を選別してそれに投資することでリターンを上げていこうとする行為を〝アルファ〟を取りにいくと呼びます。デフレの時代にはこの〝アルファ〟を取りにいくことが日本株投資の主流だったのですが、インフレの時代に入ったことで〝アルファ〟だけでなく〝ベータ〟も取りにいく時代が始まりました。

インフレ時代の投資戦略② 短期トレードではなく長期ポートフォリオの構築

さらにこれも2023年の相場が教えてくれるところなのですが、いったん上昇トレンドに入った日本株は、かつてのように簡単には下がりません。もちろん、いつでも上がり続けるというわけではないのですが、かつてのように10%や20 %といった大きな下落を待って短期トレードで儲けてきた人々には、チャンスの絶対量が減ってしまう可能性があります。

悲しいことに、多くの日本人はここで重要な鍵を持つ〝長期ポートフォリオ〟(本来は資産の組み合わせを意味しますが、ここでは複数の銘柄の組み合わせと理解してください)というものを実際に構築したことがありません。デフレの時代が続くなかで、ほとんどの企業が長期的な成長の絵を描けなかったのですから仕方のない話です。

経験のないことは、先輩たちに倣うのが手っ取り早いやり方です。おこがましい話かもしれませんが、投資の神様と呼ばれる〝ウォーレン・バフェット〟が率いるバークシャー・ハサウェイという保険会社などは、毎四半期ごとに保有する銘柄を公開してくれます。それを真似して買うのも悪くはないのですが、ここで注目してもらいたいのは、いったん投資した企業をどれも、彼は長く保有している点です。

ポートフォリオ戦略の基本は、〝持ち続ける〟ということにありますから、デフレの時代のように短期間で保有銘柄をぐるぐると回転させることはポートフォリオ戦略としては得策ではありません(もちろん、回転させることでリスク管理をしている人も実際にいますから、そのやり方を否定するわけではありません)。インフレの時代に入り、名目価値が右肩上がりで上がっていくトレンドに入ったのですから、売ったり買ったりを繰り返すよりも、持ち続けたほうが原理的には有利のはずです(さりとて何があっても持ち続けるというのも理不尽な話なので、常識的には年間に50%程度までの回転が平均的なポートフォリオといわれています)。

●第4回は【投資家から脚光を浴びる尺度は“資産”。見つかりやすくなったイノベーション銘柄の選び方】です。(8月8日に配信予定)。

野生の経済学で読み解く 投資の最適解
 

著書 岡崎良介
出版社 日本実業出版社
定価 1,870円(税込)

岡崎 良介/金融ストラテジスト

1983年慶応義塾大学経済学部卒、伊藤忠商事に入社後、米国勤務を経て87年野村投信(現・野村アセットマネジメント)入社、ファンドマネジャーとなる。93年バンカーストラスト信託銀行(現・ドイチェ・アセット・マネジメント)入社、運用担当常務として年金・投信・ヘッジファンドなどの運用に長く携わる。2004年フィスコ・アセットマネジメント(現・PayPayアセットマネジメント)の設立に運用担当最高責任者(CIO)として参画。2012年、独立。2013年IFA法人GAIAの投資政策委員会メンバー就任2021年ピクテ投信投資顧問(現・ピクテ・ジャパン)客員フェロー就任。

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