1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

常陽銀と足利銀の「めぶきFG」今期は経常益が発足以来の最高益に 配当は方針通りに上方修正される?

Finasee / 2024年7月29日 11時0分

常陽銀と足利銀の「めぶきFG」今期は経常益が発足以来の最高益に 配当は方針通りに上方修正される?

Finasee(フィナシー)

銀行業績の改善が進んでいます。金利上昇の初期は保有債券の値下がりなどから苦戦しましたが、損切りが進んだことから利益を増やす銀行が増えてきています。

めぶきフィナンシャルグループもその一つです。2023年3月期は債券の売却損で減益となりました。しかし翌期は増益となり、今期の2025年3月期は経常利益ベースで発足以来の最高益を計画しています。

保有ポートフォリオの再構築にも積極的で、今期は国内債へ7000億円~8000億円を投資する予定です(出所:めぶきFG 2023 年度決算説明会(ラージミーティング)における主なご質問とご回答(2024年5月24日開催))

出所:めぶきFG 決算短信より著者作成

今回は北関東の金融グループ、めぶきFGに焦点を当ててみましょう。同社の概要と足元の業績、また新しい株主還元方針を紹介します。

常陽銀行・足利銀行の2ブランド体制 茨城・群馬で高シェア

めぶきFGは茨城県と栃木県を地盤に持つ地方銀行グループです。足利銀行を傘下に持つ足利ホールディングスと常陽銀行が経営統合し、2016年に発足しました。足利HDはめぶきFGへ社名を変更し、常陽銀行と足利銀行はめぶきFGの子会社としてグループを構成しています。

首都圏に近い茨城県と栃木県は高いポテンシャルを持つ地域です。高速道路や空港といった交通インフラが充実しており、産業の集積も進んでいます。2013年~2022年の工場立地面積は茨城県が全国首位、栃木県は同4位となりました(出典:めぶきFG 個人投資家向け会社説明会資料)

めぶきFGは、このような恵まれた地域で高いシェアを持つ強みがあります。茨城県および栃木県において、貸出金は50%、預金は40%のシェアを握っています。

強固な営業基盤を持つめぶきFGは規模が大きく、総資産は地方銀行グループで3位です。

【地方銀行グループの総資産 上位5社(連結、2024年3月期)】
・ふくおかFG(福岡銀、十八親和銀など):32兆6497億円
・コンコルディアFG(横浜銀、東日本銀など):24兆3817億円
・めぶきFG(足利銀、常陽銀):21兆7861億円
・しずおかFG(静岡銀):16兆1415億円
・関西みらいFG(関西みらい銀、みなと銀):13兆4903億円

出所:全国地方銀行協会 地方銀行の決算

損失を乗り越え利益拡大期に ポートフォリオ再構築で収益拡大

次に直近の業績を紹介します。

めぶきFGの2024年3月期は減収増益でした。外貨調達コストの増加から有価証券収支は悪化しましたが、債券の売却損益が前期から大きく改善したため、経常利益および純利益は3割を超える増益となっています。

【めぶきFGの業績(2024年3月期)】
・経常収益:3100億円(-5.8%)
・経常利益:630億円(+35.1%)
・純利益:433億円(+34.7%)
※()は前期比
※(銀行単体合算):業務粗利益1479億円(+31.0%)、コア業務純益819億円(-15.3%)

出所:めぶきFG 決算短信

保有ポートフォリオは前期比で4700億円拡大しました。内訳は外国証券で2100億円、国内債券で1500億円です。

一方、デュレーション(※)は円債と外債ともに短期化しました。デュレーションが短くなったことで、円債は残高を積み増しながらもリスク量が減少しています。金利が0.1%ポイント上昇したときの想定減価額は、円債で95億円(前期は114億円)、外債で24億円(同19億円)です(出所:めぶきFG 決算概要)

※デュレーション:元本の平均回収期間のこと。債券は一般にデュレーションが長いほど金利上昇時の値下がりが大きくなる。

今期(2025年3月期)の見通しは以下の通りです。先述の通り、めぶきFGは今期に国内債への投資を拡大します。有価証券は平残で5500億円増加、収支は26億円の改善、売却損は167億円の改善を想定します。これらの影響から、経常利益と純利益はともにおよそ2割の増益を見込みます(出所:めぶきFG 決算説明会資料)

【めぶきFGの業績予想(2025年3月期)】
・経常収益:非開示
・経常利益:750億円(+18.9%)
・純利益:520億円(+19.9%)
※()は前期比
※(銀行単体合算):コア業務粗利益1775億円(-5.1%)、コア業務純益700億円(-3.7%)

出所:めぶきFG 決算短信

配当性向は目標未達、配当金の上方修正はある?新設の株主優待もチェック

最後に新しい還元方針を紹介します。

めぶきFGは2023年11月、総還元性向の目標を40%以上に引き上げました(従来は30%)。また2023年度決算説明会の質疑応答では、株主還元について「配当性向のみで40%以上」を目指す方針が示されています(出所:めぶきFG 2023 年度決算説明会(ラージミーティング)における主なご質問とご回答(2024年5月24日開催))

今期(2025年3月期)の期首時点での計画では、総還元性向は46%に達しています。しかし配当性向は26%台にとどまります。配当は前期比で増やす予定ですが、増益を見込む影響から配当性向が低下する構図となっています。

出所:めぶきFG 決算説明会資料より著者作成

今期の純利益は520億円の計画です。配当性向40%を目指すなら、総額ベースで208億円の配当金を出す必要があります。還元方針に従うなら、配当金は前期(配当総額123億円)からおよそ70%の増加、期首計画(同139億円)からおよそ50%増加する計算です。

先述の説明会では今期は「年度途中においても機動的に株主還元を検討・実施する」方針も明かされました。進捗が好調なら、期中で配当の上方修正に踏み切るかもしれません。

還元に関連し、新設された株主優待にも紹介します。

めぶきFGの株主優待は、カタログから地元の特産品などを選んで受け取れるものです。その株主優待に、2024年3月期から「地元プロスポーツチーム応援コース」が新設されました。茨城県および栃木県に本拠地を置く下記7チームについて、公式グッズや観戦チケットなどが進呈される内容です。

【「地元プロスポーツチーム応援コース」の対象プロスポーツチーム】
・鹿島アントラーズ(サッカー)
・水戸ホーリーホック(サッカー)
・栃木サッカークラブ(サッカー)
・茨城ロボッツ(バスケットボール)
・H.C.栃木日光アイスバックス(アイスホッケー)
・栃木ゴールデンブレーブス(野球)
・宇都宮ブリッツェン(サイクルロードレース)

出所:めぶきFG 株主優待について

めぶきFGの株主優待は1000株以上の保有が対象です。1000株以上で2500円相当、5,000株以上で4000円相当、1万株以上で6000円相当の優待品を受け取れます。ただし継続して1年以上の保有が条件です。

株価は605.2円(2024年7月19日終値)ですから、1000株買ったときの優待利回りは0.4%、配当金(1株あたり14円、2025年3月期通期)を含めた利回りは2.7%となります。 

文/若山卓也(わかやまFPサービス)

若山 卓也/金融ライター/証券外務員1種

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください