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日本最大級の企業型確定拠出年金(企業型DC)導入企業のナレッジ共有「第13回日本DCフォーラム」開催

Finasee / 2024年7月23日 19時0分

日本最大級の企業型確定拠出年金(企業型DC)導入企業のナレッジ共有「第13回日本DCフォーラム」開催<br />

Finasee(フィナシー)

厚生労働省課長による講演「DC制度の見える化」に聞き入る受講者

日本DCフォーラムは企業型DCを導入する事業会社の担当者を中心に制度運営や商品動向、従業員への継続教育などについて学び合う場として2010年から実施されている。

13回目となる今年は定員の150人を上回る約180人が参加。後援は厚生労働省、企業年金連合会、株式会社東京証券取引所(株式会社日本取引所グループ)、一般社団法人 投資信託協会。

開会に先立ち、主催のNPO法人確定拠出年金教育協会・齋藤順子代表が挨拶。「資産運用を取り巻く環境が急速に整備されている昨今、運用が他人事から“自分ごと”になる意識の広がりを、新NISAだけでなく確定拠出年金にも向けてほしい。本日はネットワーキングの時間も設けており、多くの方々との情報交換を通じて自社のDC活性化につなげていただければ」と来場者に呼び掛けた。

セミナーは厚生労働省年金局企業年金・個人年金課の海老敬子課長を迎えた講演「DC制度の現状と課題」から開始。拡充されてきたこれまでのDC制度改正を振り返りつつ、資産形成を促進する環境整備として制度加入者のための「見える化」がキーになると指摘。

DCの見える化については、加入時は商品選択、加入期間中は運用実績や給付、退職時は公的年金についてなど、分かりやすい情報提供のあり方を目指すとし、他社と比較できる見える化を進めるため、具体的な情報の開示項目を検討しているとした。

図表 DCの見える化(加入時)ー運用の方法の公表例ー 

出典:運営管理機関による公表サイトを基に厚生労働省作成 (注)特定の運営管理機関を想定して記載したものではなく、各運営管理機関の公表事例を一般化してまとめたものであることに留意

現場に負担がかからずにできる方法として、毎年の事業主報告書や運営管理機関の報告書をベースに厚生労働省が集約する仕組みを検討するなど、議論の途上にあることを説明。「今がまさに加入者のための制度運営が大事なフェーズであり、事業主の役割が論点となる」と海老課長。現場の声、取り組みを参考により良い制度になるよう議論を進めたいと締めくくった。

「2024年度DCエクセレントカンパニー」は9社が受賞

午後からはメインイベントである「2024年度DCエクセレントカンパニー」表彰式が執り行われた。賞はDC制度運営に優れた企業に授与されるガバナンス部門、従業員への投資継続教育に成果を挙げた企業に贈られる継続教育部門の2部門。

ガバナンス部門はアズビル、伊藤忠商事、沖電気工業、オムロンの4社、継続教育部門は伊藤園、コカ・コーラ ボトラーズジャパン、日本メドトロニック、富士フイルム、登利平(特別賞)の5社が受賞。厚生労働省・海老課長から盾が授与された。

出典:特定非営利活動法人 確定拠出年金教育協会

日本DCフォーラムの大きな特徴の1つが「事業会社の取り組みに学ぶ」こと。毎年、「他社はどのようにしているのか知りたい」と寄せられる多くの声に応えるために、事業会社の取り組みを直接語りかけてもらうプログラムを設けている。今回はガバナンス部門受賞企業からアズビル・グループ経営管理本部グループ財務部長吉原卓志氏、継続教育部門受賞企業から富士フイルム人事部労政処遇福利厚生グループ篠原知希氏が自社の取り組み事例を紹介。

アズビル・吉原氏は同社グループのDC運営における核となるDC運営委員会の設置経緯を端緒に、運営方針、実効性を重視するための運営体制づくりから、現在取り組んでいる真に必要な運用商品提供のための追加・除外などについて具体例を熱弁。その原点である「すべては加入者等の利益のために」と結んだ。

富士フイルム篠原氏はDC投資継続教育における企業としての個人に刺激や気づきを与える仕掛けについて自社の取り組みを説明。商品見直しを切り口に継続教育の強化につなげるとともに、グループ会社の経営を巻き込み、教育体制を粘り強く整備。DC加入者サイトへのWEBアクセス率の向上や元本確保型のみの商品保有者比率の改善などの成果に結びついたポイントを具体的に来場者に共有した。 

両社を含む受賞9社の詳細は、「2024年度DCエクセレントカンパニー表彰~優れた企業型確定拠出年金を運営する9社の取り組みとは 」にて紹介する。

過去のDCエクセレントカンパニー表彰事例

セミナーでは、特別講演としてパパラカ研究所・代表取締役山根承子氏が「個人の性格特性を考慮した投資促進アプローチ」と題してBig Fiveという測定方法を使用した性格によって異なる投資の傾向を解説。各タイプに即した効果的な声掛け例を示すことで投資を促進する可能性を示唆した。

ネットワーキングで企業を超えた横のつながりを結ぶ

協賛企業のプレゼン等も含め、約5時間におよぶ豊富なプログラムで幕を閉じた第13回日本DCフォーラム。終了後にはネットワーキングの場が設けられ、受賞企業と参加企業とが交流を図った。担当者同士だからこそ分かる現状や課題についてのざっくばらんな意見や熱心な質問が飛び交い、笑顔で名刺交換をする姿からは来場者の充実した様子が伺えた。

来年度の第14回日本DCフォーラムは2025年夏に開催予定。参加費は無料(事前登録制)。申し込みは例年、6月に開始される予定だ。

<第13回日本DCフォーラム概要>
日時:2024年7月19日
主催:特定非営利活動法人 確定拠出年金教育協会
後援:厚生労働省、企業年金連合会、株式会社東京証券取引所(株式会社日本取引所グループ)、一般社団法人 投資信託協会
協賛:ティー・ロウ・プライス・ジャパン株式会社、ラッセル・インベストメント株式会社、キャピタル・インターナショナル株式会社、三菱UFJアセットマネジメント株式会社、一般社団法人 不動産証券化協会、ブラックロック・ジャパン株式会社

Finasee編集部

「インベストメント・チェーンの高度化を促し、Financial Well-Beingの実現に貢献」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAやiDeCo、企業型DCといった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。

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