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「推し」の存在は私たちを幸せにしてくれる。かさむ“推し活出費”で幸福度を下げないために考えたいこと

Finasee / 2024年8月2日 11時0分

「推し」の存在は私たちを幸せにしてくれる。かさむ“推し活出費”で幸福度を下げないために考えたいこと

Finasee(フィナシー)

なぜ、「推し」がある人は楽しそうな表情をしているのか

あなたが幸せを感じることができ、精神・肉体ともによい状態であることはとても大切です。近年、ウェルビーイングについて考えるとき、「推し活」との関係を抜きにすることはできません。

「推し」を持っている人はあなたの周囲にもいると思います。アイドル、アニメ、ミュージシャン、スポーツなど、「推し」は人それぞれですが、その話題を向けるとイキイキと推しへの愛を話してくれると思います。

メンタルが落ち込んでいた人がペットとの出会いで、いきなり元気を取り戻したという話はよく聞きます。たまたまつけたテレビでおもしろい連続ドラマと素敵な俳優に出会って、毎日が楽しくてしかたないという人もいます。

もしかすると、あなたも「推し」があるのではないでしょうか。だとすると、あなたのウェルビーイングが高いことを実感できてはいないでしょうか?

推し活のテーマがある人ほど幸せになれる?

推し活がどれくらい私たちを幸せにしてくれるのか、野村総合研究所未来創発センターの「データで見る日本人の幸福なライフスタイル」(外部サイト)が明らかにしてくれています。

まず、幸福度を「10点満点中8点以上」とした人を抽出し、これを幸福度が高い人とします。そして「推し」がある人とそうでない人を比較してみます。すると、

推しがない人 幸福度が高い人は20.9%
推しが1つある人 幸福度が高い人は31.8%
推しが3つ以上ある人 幸福度が高い人は42.2%

と、推し活をしている人ほど幸福度の高い人が多いことが分かりました。20%と42%ですから、幸福度の高い人の割合は2倍ということです。やっぱり、「推し」の存在は私たちを幸せにしてくれるようです。

家族で共通の楽しみがあることも幸福度を左右します。家族共有の「推し」がない場合、幸福度が高い人の割合は20.9%ですが、共通の推し活があると幸福度の高い人の割合はほぼ半数にあたる48.8%まで高まります。こちらも大きな違いです。

(なお、本調査では旅行や読書、ガーデニング、ゴルフなど「趣味」があることを推しがあると広く捉えており、オタク趣味には限らないことを補足しておきます。家族共有の推し活といっても、アイドルのコンサートに行く必要はなく、旅行やグルメを一緒に楽しむケースでもOKです)

推し活で3倍幸せになろう

さて、自分なりの「推し」を持っている人はウェルビーイングの高いことが分かりましたが、これを上手に意識してみると、もっと幸せになれるかもしれません。具体的には「3倍幸せになる」を考えてみます。

まず「イベント前」に幸せを意識します。例えばライブのチケットを取ったら当日までの高まる期待、ワクワク感を楽しみます。おそらく仕事のやる気も出てくることでしょう。旅行も、家族で計画の段階から話し合って期待感を高めていくことがウェルビーイングを高めるポイントです。ぜひ、イベント前の幸福度をアップさせることをねらってみてください。

次に「イベント当日」を存分に楽しみます。旅行でも数日、ライブなどなら数時間の楽しみですが、そこは十二分に楽しんでください。同じ趣味を持つ友人がいて、一緒に参戦できると、当日のウェルビーイングがさらに増します。

東京ドームの近くの喫茶店は会場前、どこも満席ですが、数時間後のライブのことを話し合う人たちの笑顔であふれています。そして、終了後は近くのお店でご飯を食べて、これまた笑顔の時間を過ごします。間違っても、不機嫌を持ち込まないこと。よく家族旅行で不満を述べて雰囲気を悪くする人がいますが、これは本当にもったいないことです。

そして「イベント後」も幸せの余韻を楽しみます。ミュージシャンであれば、音楽を聞き返すたびに当日の興奮がよみがえりますし、ライブのディスクが発売されればまた当日の感動を思い出せます。家族旅行でも、何度か食事の話題に取り上げて(できるならスライドショーをテレビに投影して)、「あの水族館はよかったねえ」とか「海は冷たかったけど、楽しかったねえ」と振り返ってみるといいでしょう。特に小学生までの子どもは経験と感動が長く記憶に残るので、「イベント後」の幸せも意識してみましょう。

推し活出費の「コントロール」がカギ

とはいえ、推し活がいいことばかりではありません。ファイナンシャル・ウェルビーイングの視点から考えるとやはりお金と感動のバランスも考えなくてはいけません。

ここでコスパというと「推しへの支出をコスパというな!」と怒られてしまいますが、「お給料の全額を突っ込んで推しを支えます!」みたいなのは困ります。

株式会社博報堂、博報堂DYグループの株式会社SIGNINGによる「オシノミクス レポート」(外部サイト)では、推し活予算として手取りの37.4%をつぎ込んでいると紹介されており、10代女性はなんと52.8%となっています。

被服費や食費などを削ってバランスを取っている人もいるでしょうが、4~5割の出費はちょっとやりすぎです。目の前の生活も苦しくなりますし、将来的なお金の備えをすることもままなりません。もちろん、借金をして推し活予算と生活費をやりくりするのは論外です。

推し活については、別の調査では月数万円程度の予算にとどめている人も相当の割合があって、どうやら「無制限にお金をつぎ込んじゃうタイプ」と「日常生活はしっかり守って無理なく推し活するタイプ」があるようです。

後者は計画的にお金を貯めて準備したりもするでしょう。「月1万円ずつ貯金して1年後に旅行」のような感じです。こういう性格の人はあまり心配ありません。推し活を上手に楽しみウェルビーイングを高めていきましょう。

そうすると、注意が必要なのは、お金をどんどんつぎ込んでしまう性格の人です。まずは貯金できるくらいの出費に抑えることを意識してみましょう。「愛が強いので減額なんて無理です!」という人もいますが、あなたの「推し」だって、あなたが経済的に破たんすることは望んでいないはず。

これからもずっと、長く、推し活を続けていくために家計をコントロールするのだと考えてみましょう。まずは毎月の家計の黒字化が成立するようにします(ボーナスから取り崩してしのぐことはしない)。できれば手取りの10~15%くらいを貯金できるところまで改善できると理想的ですが、少なくとも月5000~10000円の貯金はしたいものです。

ミュージシャンのファンなどで、年に数回ライブがあるような人は、その分も貯金してみるといいでしょう。「月2万円を貯めて、ツアー初日とファイナルは行く!」のような感じです。

日々のお金の不安を抱えていては、どんなに推しからエネルギーをもらってもウェルビーイングは高まりません。上手に推し活予算を管理し、推しからエネルギーをもらいたいものです。

山崎 俊輔/ファイナンシャルプランナー

1972年生まれ。フィナンシャル・ウィズダム代表。1995年中央大学法学部法律学科卒業後、企業年金研究所、FP総研を経て独立。確定拠出年金を中心とした企業年金制度と投資教育が専門。著書『普通の会社員でもできる 日本版FIRE超入門』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『共働き夫婦 お金の教科書』(プレジデント社)、『ファイナンシャル・ウェルビーイング』(青春出版社)など多数。

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