キャリア断絶、孤独、自己嫌悪…夫の転勤で “居場所”を作れなかった女性が見つけた「1つの希望」
Finasee / 2024年8月2日 11時30分
Finasee(フィナシー)
ファイナンシャルプランナーである筆者のもとに、50代の女性が相談に訪れました。20年もの単身赴任を終えた夫と再び一緒に暮らし始めて2カ月。会話もなく重苦しい日々が続いているとのこと。「このまま何十年も一緒に過ごすなんて耐えられない」と離婚が頭をよぎるものの、経済的な不安が大きな壁となっています。
【相談者プロフィール】
相談者 吉武満子さん(53歳・仮名)事務職
夫 吉武充彦さん(55歳・仮名)金融機関勤務
満子さんが同期入社の充彦さんと結婚したのは28年前。当時は、25歳までに結婚しないと「行き遅れ」と言われた時代です。満子さんも仕事に未練があったものの、親や世間の目が気になって結婚退職を選択しました。
結婚後、充彦さんの転勤に伴い満子さんも各地を転々とする生活が始まります。これまで旅行をしてこなかった満子さんにとって、転勤は旅気分。ガイドブックを購入して観光地を巡ったり、地元で人気のお店を食べ歩きしたりと転勤生活を満喫しました。でも、半年も過ぎれば、その土地の主要な場所はほとんど行きつくしてしまいました。
「あー、今日は何して過ごそう……」
朝からため息をつく日が増えていきます。そこで思いついたのが仕事をすることでした。
「まだ20代。事務職なら就職できるはず」
そう考えていた満子さんでしたが、履歴書は通っても2次面接でお断りが続きます。
「次の転勤はいつですか?」
夫が転勤族と分かると必ずされる質問がお断りの理由だと気づくのに、それほど時間はかかりませんでした。たしかに、いつまた転勤になるか分かりません。ハローワークに相談したところ、転勤に対応しやすいパート勤務を勧められました。
仕事を始めても消えないモヤモヤと孤独感パートの仕事はすぐに決まり、働き始めた満子さん。けれども次第に孤独を感じるようになります。つらかったのはお昼休み。子どもの話題で盛り上がる中、子どもがいない満子さんには苦痛でしかありません。
別の話題を振ってみてもすぐに話が元に戻ってしまう状況に、「家にいても、仕事をしても心が休まらない」。自分の居場所がなく、モヤモヤを夫にぶつけてしまう毎日。
「充彦さんが悪いわけじゃないのに」
分かっていてもつい相手を責めてしまう自分のことを嫌いになっていきました。
母親が倒れたことで夫婦の生活が変化していくそんな状況は満子さんの母が脳梗塞で倒れたことで一変します。
父を早くに亡くした母は一人暮らし。治療とリハビリを終えて自宅で生活するには、支えがないと難しい状況でした。満子さんは「母のそばで暮らしたい」と考え、京都の実家近くに家を購入し母を支えることを決意します。
「満子がそばにいてくれたら安心だわ」。心細さを感じていた母から資金援助の申し出もあり、物件探しがどんどん進んでいきます。満子さんにとっても、これまでの孤独な生活から解放される新たな希望が見え始めたのです。
一方、充彦さんは当時東北で勤務中。京都の自宅から通うことは不可能です。夫婦で話し合った結果、別居生活が始まりました。当初は頻繁に連絡を取り合い、離れていても心のつながりを保っていたふたり。しかし、時間がたつにつれてその頻度は減り、連絡も少なくなっていきます。
満子さんの母が亡くなった後も、別居生活が続きました。疎遠になっていく夫婦関係。気にはなりつつも、再び夫の転勤について行くことは「もう懲り懲り」。
そんな中、役職定年になった充彦さんが20年ぶりに戻ってくることになりました。うれしい反面、ひとりで自由に過ごしていた時間が一変する不安が頭をよぎります。
●満子さんの不安は的中。20年ぶりに一緒に暮らし始めた夫婦はある難しい問題に直面しました。後編【「こんにちは」単身赴任帰りの夫のよそよそしさに妻あ然…20年ぶりに同居する夫婦が絆を取り戻した方法】で詳説します。
※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。
辻本 由香/つじもとFP事務所代表・一般社団法人WINK理事
ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、相続手続カウンセラー、50代からのくらし(医・職・住)と資産を守るファイナンシャルプランナー。おひとりさま・おふたりさま×特有の課題・お金の問題の事例などが得意分野。企業の会計や大手金融機関での営業を経て、2015年に、保険や金融商品を販売しないFP事務所を開業。個別相談の他、企業・病院・大学などでの講演も行っている。
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