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千葉銀行が投資家に人気の理由とは? 株価が5年で2.7倍、PBRは1倍目前に

Finasee / 2024年8月1日 11時0分

千葉銀行が投資家に人気の理由とは? 株価が5年で2.7倍、PBRは1倍目前に

Finasee(フィナシー)

千葉銀行の改革が進んでいます。仕組債の販売を巡る行政指導をきっかけに、同行はガバナンスの強化に乗り出しました。内部および証券子会社の管理を強化し、販売体制の改善に着手しています。

改革は経営陣にも及びます。頭取を監査部門および経営改善室の担当役員とし関与を深めたほか、取締役会の議長を社外取締役へ変更しました。また取締役の任期は2年から1年へ短縮されています。代表取締役には、同行として初めて女性が選任されたことも話題です。

販売方針を転換する千葉銀行ですが、収益力は健在です。銀行本来の業務の利益を示す業務純益は、2023年度も全国の地銀で首位となりました。首位は2023年度で3期連続です。

【地方銀行の業務純益 上位3行(単体、2023年度)】
・千葉銀行:831億円
・横浜銀行:738億円
・福岡銀行:681億円

出所:全国地方銀行協会 地方銀行の決算

千葉銀行は株式市場でも人気です。時価総額は地銀トップクラス、PBRも銀行株としては高水準です。

なぜ千葉銀行は投資家に人気があるのでしょうか。理由を探ってみましょう。

千葉県でシェア圧倒的 規模は地銀で首位級

まずは千葉銀行の概要を紹介します。

千葉銀行は1943年に設立された地方銀行です。店舗は千葉県が中心ですが、東京都に15店舗を持つほか、埼玉県や茨城県、また大阪府にも店舗を構えます。海外の支店および駐在員事務所は香港やニューヨークなど6拠点を持ちます(2024年3月)

千葉銀行の強みは、地盤である千葉県の良好な経済状況にあります。

千葉県の人口は全国6位の628万人(2022年10月)、県内総生産は全国7位の21兆円(2020年、名目)です。県内総生産は、産業項目別のすべてで全国10位以内にランクインしています。多くの製造業が拠点を持つ工業地帯であり、農業や水産業も盛んです(出所:千葉県 千葉県の財政状況と県債について)

そんな千葉県において、千葉銀行のシェアは圧倒的です。預金は28%、貸出金は40%のシェアを握っています。近年は他行が法人融資も扱う総合店舗を減少させた影響から、千葉県における総合店舗シェアは6割に高まりました(出所:千葉銀行 決算説明会資料)

強固な営業基盤を持つ千葉銀行は、地方銀行の中でトップクラスの規模を持っています。

【千葉銀行のバランスシート(単体、2024年3月期)】
・総資産:21兆2272億円(地銀2位)
・貸出金:12兆7680億円(同2位)
・有価証券:2兆8768億円(同7位)
・預金:15兆9516億円(同2位)

出所:全国地方銀行協会 地方銀行の決算

粗利益16年ぶり過去最高、預貸金利回りがプラス転換 今期も増益計画

直近の業績も確認しておきましょう。

千葉銀行の2024年3月期は増収増益でした。役務取引等利益や債券の売却損の改善などから、単体で業務粗利益(※)は2008年3月期以来16期ぶりに過去最高を更新し、純利益は2期連続の最高益となっています。

※業務粗利益:銀行本来の業務による収支。業務粗利益から経費を差し引くと業務純益となる。

【千葉銀行の業績(連結、2024年3月期)】
・経常収益:3107億円(+11.6%)
・経常利益:902億円(+3.7%)
・純利益:624億円(+3.5%)
※()は前期比
※参考(単体):業務粗利益1682億円(+8.1%)、業務純益831億円(+13.6%)

出所:千葉銀行 決算短信

資金利益は、投信解約益の減少を主因に37億円減少しました。内訳は国内が7億円の増加、海外が44億円の減少です。

国内資金利益は預貸金利息の改善が見られました。マイナスだった利回りがプラスに転じたことが主な原因です。海外資金利益は、ポートフォリオ入れ替えに伴う損失が大きく、全体で減少となりました。

今期(2025年3月期)も増益の計画です。

前期に減少した資金利益は国内預貸金利息を中心に増加、その他業務利益のうち債券関係損益は2020年3月期以来5期ぶりの黒字を見込みます。これらから業務粗利益を構成する4つの利益区分はすべて改善する見込みで、連結の経常利益および純利益も増益を予想します。

【千葉銀行の業績予想(連結、2025年3月期)】
・経常収益:非開示
・経常利益:979億円(+8.4%)
・純利益:680億円(+8.9%)
※()は前期比
※参考(単体):業務粗利益1830億円(+8.7%)、業務純益935億円(+12.5%)

出所:千葉銀行 決算短信

投資家に人気の理由とは?低い経費率で利益残りやすい

冒頭の通り、千葉銀行は投資家に買われやすい銘柄といえます。時価総額は地銀トップクラス、PBRも比較的高い水準です。

2024年3月期の実績で計算すると、千葉銀行のPBRは0.86倍となります(2024年7月23日終値)。これはプライム市場に上場する銀行株の平均0.4倍を大きく上回ります(2024年6月 出所:日本取引所グループ その他統計資料 規模別・業種別PER・PBR)

PBRが高いということは、それだけ投資家の評価が高いといえます。なぜ千葉銀行は投資家に選ばれているのでしょうか。

千葉銀行のPBRが比較的高い理由は、コスト効率の高さが一因だと考えられます。

千葉銀行のOHR(経費率)は競合と比べ低水準です。地銀(第二地銀含む)では圧倒的に低く、メガバンクをも下回ります。冒頭で千葉銀行の業務純益の高さを紹介しましたが、それには低い経費率も貢献しています。

【OHRの比較(2023年3月期基準)】
・千葉銀行:47.0%
・メガバンク3行:49.4%
・地銀、第二地銀:68.1%

出所:千葉銀行 決算説明会資料

資本コストの考え方から、株主は企業に対しリスクに見合った利益を求めます。そして経費率が低いということは、株主の利益も残りやすいということです。コスト効率の高い千葉銀行は他行より利益が残りやすく、株主にも選好されやすいと考えられます。

なお、千葉銀行は2026年3月期時点の連結OHR目標を45%程度としています(出所:千葉銀行 パーパス・ビジョン・中期経営計画)

千葉銀行はPBR 1倍の達成を目指しています。千葉銀行の純資産は1株あたり1651円(2024年3月期実績)、対して株価は1423円(2024年7月23日終値)です。つまり株価が約16%上昇すれば、PBR 1倍が達成されることとなります。

金利上昇を受け、銀行株の多くは上昇しています。千葉銀行株式も5年で約2.7倍に値上がりしました。金利の上昇が続くなら、PBR 1倍を達成する可能性は高まりそうです。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)

若山 卓也/金融ライター/証券外務員1種

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。

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