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いくら家族でも“してはいけない”ことがある―温厚な姉がズボラな妹との絶縁を決めた「決定的な出来事」

Finasee / 2024年8月9日 11時0分

いくら家族でも“してはいけない”ことがある―温厚な姉がズボラな妹との絶縁を決めた「決定的な出来事」

Finasee(フィナシー)

<前編のあらすじ>

似ても似つかない姉妹の芳香さんと紗矢さん。姉の芳香さんは学生時代からまじめで文武両道。大学を卒業後は大手企業で働き仕事に打ち込んできた。実家にもある程度のお金を入れつつ、毎月何万円もの貯金をしていた。

一方、妹の紗矢さんは自由奔放で学業も不振。高校をなんとか卒業するものの定職に就けずフリーターの道へ。そのうえ情報商材やネットワークビジネスに手を出しては失敗し、気づけば借金200万円を抱えていた。

ある時「人生をやり直したい」と考えた紗矢さんは家族に大学進学の希望を伝える。芳香さんは妹の夢を応援するため140万円を貸した。

それから7年。大学を卒業後に就職してからも、紗矢さんには一向に借金を返す気配がなかった。ついに堪忍袋の緒が切れた芳香さんは事前に作成していた契約書を突き付けた。

●前編:【「なんで私が悪者なの?」他責志向でお金にだらしない妹…大迷惑を被った姉が突き付けた「1枚の紙」】

かつて作成した契約書の存在

実のところ紗矢さんと芳香さんはお金の貸し借りをする際に契約書を結んでいた。さすが芳香さん、抜かりない。有名大学の法学部で学んだ知識をしっかり社会人になっても維持している。「契約は口約束として有効だが、それだけでは強制執行はできない」ということをしっかり覚えていたのだ。

契約自体は有効だが、書面として契約書を残していないばかりに言い争いが収まらず、言った言わないの押し問答が続いて泣き寝入り。特にお金の貸し借りではこういったトラブルは少なくない。

抜かりのない芳香さんはこの点をしっかり覚えており、紗矢さんと契約書を結んでいたのだ。だが、ここですんなりと芳香さんが紗矢さんの預金口座を差し押さえて問題解決、とならないのが現実だ。

差し押さえはそう簡単にはできない

ではなぜ契約書があるのに解決といかないのだろうか。それは契約書の効力の強さにある。

たしかに契約書があることによって契約の条件が明確になっている。だがしかし、一般的な契約書の効力はそれだけにとどまるというのが現実だ。お金の貸し借りという契約の成立はすでに達成されている。契約書の有無はその証拠に過ぎない。

現実的にその契約書をもとにして強制執行するのであれば、裁判所で訴訟を行い、そこで勝利し、最終的にお金が入っている銀行口座を具体的に特定し、差し押さえの手続きを実行しなければならない。

この手続きは家族とはいえ非常に難しい。契約書があれば裁判で勝つことは可能であるとしても、その後相手にお金があるか、お金があっても具体的な口座まで特定できるのかが問題となる。

裁判に勝って差し押さえができたとしても、どこに強制執行できる財産があるのか具体的に特定できないと意味がない。もし差し押さえを実行した銀行口座にお金が入っていなければその差し押さえは空振りに終わる。

家族間であればどこの銀行口座にどれくらいお金があるか大体想像がつくと思う方もいるだろう。だがライフステージが変わったり、銀行を変えたり、別の資産に変換してるなどとなれば皆目見当がつかないこともある。そもそも訴訟を含む裁判上の手続きは非常に時間も労力もかかる。そしてある程度の知識も必要となる。

結局のところ体調も鑑み、芳香さんは泣き寝入りとなった。

芳香さんと紗矢さんの現在

では、今回の事例を踏まえ芳香さんはどうするべきであったのだろうか。結論は簡単だ。そもそもお金を貸さないか、贈与すればいい。そうすればお金の貸し借りに基づくトラブルは発生しない。身も蓋もない話だが、親族間、それも近しい姉妹だからこそ甘えが生じる。お金の貸し借りなどよほどでなければするべきではない。額が100万円単位となればなおさらだ。

また、もし貸し借りをしたとしても公正証書を作成して絶対に逃げられないようにしておくべきだ。公正証書は一般的な契約書と異なり、裁判で勝たなくとも差し押さえができるためより確実にかつ簡易的にお金の取り立てが実現できる。

大きなデメリットとして公正証書は原則として当事者が公証役場と呼ばれる場所に出向く必要があるため作成に時間と手間、そして内容に応じた手数料がかかるといったものがある。

時にそれらを理由に公正証書を作成することへの抵抗を示す者もいる。だが、その程度の手間すら惜しむ相手であれば、まずお金を貸すべきではない。お金の重みをよく理解していないからだ。

現在、芳香さんと紗矢さんは絶縁状態。紗矢さんに至っては実家に全く寄り付かないようになった。

繰り返しになるがお金の貸し借りは家族、それも仲のいい姉妹の関係も簡単に壊す。それが100万円や200万円と現実的な金額的であってもだ。お金の貸し借りは家族間でも簡単にはしないことが理想だ。もし、するのであれば公正証書でガッチリと地盤を固めてからにするべきだろう。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。
※登場人物はすべて仮名です。

柘植 輝/行政書士・FP

行政書士とFPをメインに企業の経営改善など幅広く活動を行う。得意分野は相続や契約といった民亊法務関連。20歳で行政書士に合格し、若干30代の若さながら10年以上のキャリアがあり、若い感性と十分な経験からくるアドバイスは多方面から支持を集めている。

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