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S&P500、オール・カントリー、NSADAQ100…3種のインデックスファンドを持っても分散にはならない!? 理由は…

Finasee / 2024年8月29日 17時0分

S&P500、オール・カントリー、NSADAQ100…3種のインデックスファンドを持っても分散にはならない!? 理由は…

Finasee(フィナシー)

セゾン投信社長の園部鷹博氏は1975年生まれの49歳。いわゆる“団塊ジュニア”で、就職氷河期世代にもあたります。厳しい雇用状況のなか、希望する職に就けずに、不安定な仕事に従事せざるをえなかった人も少なからずいます。そして、こうした背景から老後に向けた資産形成が十分にできていない人も……。

園部氏は50代に差しかかる同世代に、これから資産形成を始めても遅くないと伝えるため、書籍『50歳・資金ゼロから始める老後を幸せにする資産運用』を執筆。今回は本書から特別に、50歳から資産を増やすための知っておきたい公的年金の仕組みや具体的な投資手法をお届けします。(全4回の4回目)

●第3回:株価の大暴落時こそ見直される公的年金の安心感…「ねんきん定期便」のチェックすべきポイントを解説

※本稿は、園部鷹博著『50歳・資金ゼロから始める老後を幸せにする資産運用』(ビジネス社)の一部を抜粋・再編集したものです。

成長投資枠とつみたて投資枠をどう使い分けるか

NISAには2つの投資枠があります。「成長投資枠」と「つみたて投資枠」です。

投資額の上限は、成長投資枠が年間240万円まで、つみたて投資枠が年間120万円です。それぞれをフルに活用すれば、年間360万円まで投資でき、同じ金額を毎年積み上げていくと、5年後には1800万円の非課税保有限度額(総枠)いっぱいまで投資できます。

ある程度、投資のキャリアを持っていて、投資信託以外の商品にも分散したいという人は、成長投資枠とつみたて投資枠を使い分けてもいいでしょう。

つみたて投資枠は、購入できる商品が投資信託のみです。しかも、その投資信託も現在、運用されているすべてのものが買えるわけではありません。購入できるのは指定インデックス投資信託が227本、アクティブ運用投資信託等(指定インデックス投資信託以外の投資信託)が47本、そしてETFが8本の計282本(2024年2月29日時点)だけです。

これに対して成長投資枠は、投資信託だけでなく上場株式や上場不動産投資信託、そしてもちろんETFにも投資できます。投資信託も何でも買えるわけではありませんが、それでもつみたて投資枠を通じて買える投資信託の本数をはるかに上回る2000本程度の投資信託を買うことができます。

もし使い分けるのであれば、成長投資枠で株式を買い付けるのと同時に、つみたて投資枠で世界中の株式や債券に分散投資するタイプの投資信託を積立購入していくという手法があります。特に成長投資枠で日本株のポートフォリオを持つのであれば、そのリスクを軽減させるという狙いから、つみたて投資枠で世界中の株式や債券に分散投資するタイプの投資信託を買っていくのです。

ただし、投資する商品が増えれば増えるほど、管理は大変になります。個別銘柄にも投資するとなると、日々株価の値動きをチェックする必要があります。また株価が急騰、急落した時などは、なぜそのような値動きになったのかを自分が納得できるところまで調べる必要があります。これまで資産運用の経験がない人にとって、ハードルが高すぎるでしょう。

それならば、つみたて投資枠をフル活用して、1800万円の限度額いっぱいまで積み立てていくという手法もあります。

成長投資枠は、NISAの限度額である1800万円のうち、1200万円までしか使えません。しかし、つみたて投資枠は特に制限が設けられていないため、1800万円までつみたて投資枠で購入できる投資信託を積み立てていけるのです。

前述したように、成長投資枠は現物株式のほかに、投資信託も2000本近く対象になっています。ところが、つみたて投資枠は282本の投資信託のみです。「選択肢が少ないじゃないか」と言う人もいるでしょう。でも、どうやって2000本もの投資信託から、自分が投資したいものを選べるでしょうか。正直、これは無理だと思います。恐らく対象となっている282本から選ぶのも一苦労ではないでしょうか。

実は、選択肢の数が増えれば増えるほど、選ぶ側は選べなくなるというジレンマがあります。それなら、ある程度、対象が絞り込まれている282本の投資信託から選んだほうが、特に資産運用の初心者にとっては選びやすいと思います。

たくさんの投資信託を買う必要はない

資産運用をする時には、ポートフォリオを組むようにしましょうなどと、資産運用の初心者向けの本などに必ず書かれています。それは株式や債券などの個別銘柄で運用する場合の話です。投資信託の場合、複数の投資信託でポートフォリオを組もうとすると、かえって話がややこしくなります。

たとえば以前、このような人がいました。その人はインデックスファンドでポートフォリオを組んでいて、何を組み合わせているのかというと、米国のS&P500、オール・カントリー、そしてNSADAQ100の3つの指数に連動するインデックスファンドに均等投資していました。

確かに3つの投資信託に分散されているので、ポートフォリオ運用しているような気にはなると思うのですが、よく考えてみると、米国の株式市場への投資比率が異様に高くなります。

そもそもS&P500とNASDAQ100は米国の株価インデックスです。オール・カントリーは確かに世界中の株式市場に分散投資するポートフォリオを前提に運用されています。これは世界の株式市場の時価総額ベースで組入比率を決めているため、オール・カントリーと言いつつも、組入比率の60%は米国株で占められています。これでは分散が効いたポートフォリオとは言えません。

極端な話ですが、私は投資信託なら1本で十分だと考えています。ただし、世界中の株式市場や債券市場に分散したポートフォリオを持っている投資信託であることが条件です。そうすれば時々、運用成績をチェックするにしても、1本の投資信託だけを見ればいいので手間がかかりません。損をしているのか利益が生じているのか、利益が生じているとしたら、購入してからどのくらいの利益が得られているのかなどが、簡単にわかります。

要するに、自分が持っている資産の管理がしやすくなるのです。ただし、1本の投資信託だけで運用する場合、注意しなければならない点があります。

それは運用の継続性です。投資信託は「繰り上げ償還」といって、資金流出に歯止めが掛からず、純資産総額が極端に小さくなると、これ以上の運用継続は困難とみなされて、償還されてしまうケースがあるのです。

特にアクティブ運用をする投資信託で長期積立投資をする場合、この点が重要になってきます。インデックス運用の投資信託は、同じ株価インデックスに連動する投資信託が複数、運用されています。自分が積み立てている投資信託が繰り上げ償還になったとしても、同じ株価インデックスに連動する、他のインデックス運用投資信託で引き続き積立購入していけばいいのです。ところがアクティブ運用投資信託の場合、繰り上げ償還されてしまうと、まったく同じ運用を行っている投資信託が基本的に存在しません。結果、運用の継続性が断たれてしまうのです。

つみたて投資枠の対象になっている47本のアクティブ運用投資信託は、対象に入れられる際に、運用が開始されてから5年以上が経過していることに加え、これまでの運用期間中、資金流入超の回数が3分の2以上であることといった条件が課せられています。基本的に資金流出の著しい投資信託は、そもそも対象に含まれていませんが、将来的にどうなるかは誰にもわかりません。

したがってアクティブ運用投資信託を用いて、つみたて投資枠の運用を行う際には、しっかり資金流入の続いているものを選ぶようにしてください。

50歳・資金ゼロから始める老後を幸せにする資産運用
 

著書 園部鷹博

出版社 ビジネス社

定価 1,650円(税込)

園部 鷹博/セゾン投信 代表取締役社長

1975年生まれ。兵庫県出身。神戸大学卒業。P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)などを経て、2007年さわかみ投信へ入社。2013年ドイツ銀行グループの資産運用会社であるドイチェ・アセット・マネジメント入社。2015年同社クライアントサービス部ヴァイスプレジデント。2016年同社大阪営業所長に就任。2018年セゾン投信入社。同社事業推進部長として販売会社経由での長期積立投資の拡大に従事。2019年同社取締役兼事業本部長。2020年 6 月同社代表取締役社長 COO に就任。

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