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「オルカンは損切り」「国にだまされた」株価急落にネットは悲鳴…! そんな波乱相場の中で絶対にしてはいけない“ただ1つのこと”

Finasee / 2024年8月10日 11時0分

「オルカンは損切り」「国にだまされた」株価急落にネットは悲鳴…! そんな波乱相場の中で絶対にしてはいけない“ただ1つのこと”

Finasee(フィナシー)

7月11日に過去最高値の4万2426円をつけた日経平均株価は、7月後半にやや下げ止まる気配を見せたものの、8月に入ってから急落しました。終値ベースで前日比の下落幅は、

8月1日・・・・・・975円安
8月2日・・・・・・2217円安
8月5日・・・・・・4451円安

となったのです。特に株価が過去最大の下げ幅となった8月5日は一時、3万1156円まで下落しました。7月11日につけた高値から見ると、実に1万1270円もの値下がりです。

この暴落を見て、メディアは脊髄反射であるかのごとく、一斉に「新NISAはどうなる?」的な話を伝えました。

新NISAに対して「手を出していないです。国が推しているじゃないですか。国が推しているものにいいものがあるのかなって。何か裏があるんじゃないか」と言っていた女性タレントの言葉が引用され……。

「『貯蓄から投資へ、新NISAをやりましょう』と、国民全体で10兆円もやっちゃった。岸田さんに乗っかった人がいっぱいいるわけです。(中略)今は撤退する一手です」と言う経済評論家も。

運用会社の経営者であるにもかかわらず、「暴落だ」と叫び、結論としては「自分たちのような、本格的な長期投資ファンドを買えば大丈夫」的なコメントを言う、我田引水的な人物もいます。

マーケットなんてものは、上がれば下がります。

1990年のバブル崩壊のように、日本要因で下げるパターンもありますし、米国など海外要因で下げるパターンもあります。

過去の暴落をおさらいすると、

1987年10月・・・・・・ブラックマンデー
1990年1月・・・・・・日本のバブル崩壊
2000年4月・・・・・・ITバブル崩壊
2008年9月・・・・・・リーマンショック
2013年5月・・・・・・日銀金融緩和による5.23ショック
2015年8月・・・・・・チャイナショック
2020年3月・・・・・・コロナショック
2024年8月・・・・・・今回の株価急落

程度の差こそあれ、この37年間を振り返るだけでも、これだけの数の株価急落が起こっています。確かに、1日で4451円も下げた今回の暴落は、なかなか見ごたえのあるものでしたが、投資をし続けている以上、株価暴落は誰もが直面せざるを得ません。投資家である以上、これは受け入れるしかないのです。

ただ、ひとつだけ絶対にやってはいけないことがあります。それは、「マーケットから撤退すること」です。

冒頭でも触れましたが、「今は撤退の一手です」などと言う経済評論家の口車に乗ってはいけません。そもそも投資は、未来を信じるからできることです。未来を信じられるのであれば、株価が暴落したとしてもマーケットから撤退する必要はありません。なぜなら、「経済は今よりもっと成長して、株価は上がる」という未来を信じていることになるからです。

どうしても未来を信じられないのであれば、投資をするべきではありません。預金かタンス預金にでもしておけばよいでしょう。

この急落は積立投資に影響を及ぼすものなのか

では、今回の暴落を挟んで、新NISAで運用していた投資家は、どう動いたのでしょうか。実は案外、冷静だったのではないかというのが、いくつかのデータを見ての、私の感想です。

新NISAがスタートした年初から、話題は三菱UFJアセットマネジメントが設定・運用している「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」と、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」でした。年明けから多額の資金を集め、新NISAといえばこの両ファンドで運用するというイメージが定着していました。

この時点で「ん?」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。「オルカンは損切りだ!」といった冷静さを失った声もSNSなどで流れていたようですが、よく考えてみてください。

まずS&P500は米国の株価指数なので、日本株の暴落とは関係ありませんし、オール・カントリーには確かに日本株も含まれてはいますが、国別の投資比率で言うと、5%ほどに過ぎません。新NISAを、オール・カントリーやS&P500のインデックスファンドで積立投資しているような人にとって、今回の日本株暴落は、あまり関係のない話ではないかと思うのです。

投資信託協会が発表しているデータのうち、投資信託のタイプ別の資金流出入を計算してみました。これは「国内株式」、「国内債券」、「国内REIT」、「海外株式」といったように、投資信託のタイプ別に設定額から、解約額と償還額の合計額を差し引いて求めています。

それによると、新NISAがスタートした1月から6月までの資金流出入額(合計額)は、以下のようになりました。

国内株式・・・・・・1兆594億3000万円
国内債券・・・・・・1314億9800万円
国内REIT・・・・・・1296億2800万円
海外株式・・・・・・5兆45億3200万円
海外債券・・・・・・4404億4700万円
海外REIT・・・・・・▲336億2100万円
インデックスその他・・・・・・5兆8908億5000万円

▲印は資金が純流出だったことを意味します。オール・カントリーやS&P500などのインデックスファンドは、「海外株式」「インデックスその他」にカウントされています。こうして見たところ、新NISAがスタートした1月から6月に至るまで、資金が流入しているのは「海外株式」と「インデックスその他」であり、「国内株式」はそれほどでもないことがお分かりいただけるでしょう。

しかも「国内株式」の場合、5月は1兆1730億4600万円、6月は801億700万円の資金純流出でした。あくまでも推測に過ぎませんが、おそらく株価が最高値に向けて上昇するなか、利益を確定させるための解約が、5、6月にかけて大量に生じたと思われます。

この数字から察するに、新NISAで投資を始めた人で、今回の日本株の暴落による影響を受けた人は案外少ないのではないか、と思うのです。なぜなら「国内株式」は利食いで解約されて資金流入額が少なく抑えられる反面、「海外株式」と「インデックスその他」に多額の資金が流れ込んでいるからです。

もちろん、「インデックスその他」には国内株インデックスも含まれますが、これまでの流れからすると、資金流入は国内株インデックスよりも海外株インデックスが優勢であると思われます。

オール・カントリーもS&P500も7月からは大幅に下落しているが…

確かにオール・カントリーもS&P500も、それなりに基準価額は下げました。直近最高値から8月7日までの基準価格額の下落率を計算すると、

オール・カントリー・・・・・・▲15.0%
S&P500・・・・・・▲15.5%

ちなみに最高値を付けたのが、オール・カントリー、S&P500の両者とも7月11日です。短期間で15%超の下落率ですから、これはこれで確かに驚きですが、この間に米ドルは円に対して、10%ほど下落しました。両者とも為替リスクをヘッジしていないことを考えると、15%超に達した基準価額の下落の大半は、為替要因であることが分かります。

そう考えると、確かに今回の日本株の暴落は、下げ幅の大きさが衝撃的でしたが、おそらく新NISAで今年から投資を始めた人は、少なくとも日本株暴落の影響は、それほど受けていないと推察されます。

「株価暴落で高級車1台分を損した」などという話ももれ伝わってきますが、これは株式投資をしている人です。特に信用取引を用いて日本株に投資していた個人投資家のなかには、株価急落によって億単位の損失を被った人もいたと聞きます。

でも、それは新NISAでコツコツ資産形成をしている人たちとは、別世界の話です。今一度、自分が何に投資していて、今回の日本株暴落の影響をどの程度受けているのかを、冷静に分析してみてください。

確かに直近、急激な円高で基準価額は下げていますが、基本的に為替レートは一定のレンジで推移します。

そして長期的に見れば、多少円高が進んだとしても、為替差損をカバーしてあまりあるリターンを実現してきたのが、株式市場です。オール・カントリーやS&P500といった海外のインデックスファンドで積立投資をしているのであれば、今回の日本株の暴落について、それほど気に病む必要はありません。

この点、実は両ファンドの保有者は冷静だった可能性があります。オール・カントリーの日々の資金流出入状況を、受益権口数の前日比増減数で見ると、基準価額が下落した8月6日にかけて、

8月2日・・・・・・14億39万口
8月5日・・・・・・202億8351万口
8月6日・・・・・・13億3564万口

というように、受益権口数の前日比は増加しています。

同じくS&P500についても見てみると、

8月2日・・・・・・10億3436万口
8月5日・・・・・・125億4285万口
8月6日・・・・・・▲6億1536万口

となりました。受益権口数の前日比増減数から見ると、7月からの下落、そして日本株の暴落に関係なく、資金が継続的に入っています。

米国経済は今、景気後退局面入りするかどうかの瀬戸際です。その意味では今後、株価が調整することも十分に考えられるでしょう。

でも、その時に大事なのは、マーケットが下げた時でも淡々と買い続けることです。そして、少なくとも上記の数字を見る限り、それは実行されています。

前出の経済評論家の「撤退の一手です」などといった“戯言”は気にせず、投資を継続するべきです。

鈴木 雅光/金融ジャーナリスト

有限会社JOYnt代表。1989年、岡三証券に入社後、公社債新聞社の記者に転じ、投資信託業界を中心に取材。1992年に金融データシステムに入社。投資信託のデータベースを駆使し、マネー雑誌などで執筆活動を展開。2004年に独立。出版プロデュースを中心に、映像コンテンツや音声コンテンツの制作に関わる。

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