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「オルカン」「S&P500」「米国成長株」のトップ3は好調も、円高・株安で米国株ファンド人気の行方は?

Finasee / 2024年8月19日 7時0分

「オルカン」「S&P500」「米国成長株」のトップ3は好調も、円高・株安で米国株ファンド人気の行方は?

Finasee(フィナシー)

三菱アセット・ブレインズがまとめる2024年7月の公募投信(ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信除く)の資金流入額ランキングのトップ3は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(流入額:2239億円、前月1962億円)、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」(同:1999億円、前月1682億円)、「アライアンスB・米国成長株投信 D」(同:1675億円、前月1299億円)で、前月と同じだったが、流入額は一段と拡大し、この3銘柄への資金集中が際立っている。

 

一方、前月は第4位に「HSBCインド・インフラ株式オープン」、第8位に「ダイワ・ダイナミック・インド株ファンド」、20位に「新光ピュア・インド株式ファンド」など、インド株ファンドがランキングを大きく上げたが、今月は「HSBCインド・インフラ株式オープン」が第5位、「ダイワ・ダイナミック・インド株ファンド」は16位、「新光ピュア・インド株式ファンド」は圏外へと順位を大きく落とした。代わって、圏外から「グローバル・ロボティクス株式ファンド(年2回)」が第8位に躍進し、「iFreeNEXT FANG+インデックス」が前月の15位から9位にランクアップするなど、テクノロジー株を投資対象にしたファンドのランクアップが目立った。

◆AI人気の恩恵が波及する「グローバル・ロボティクス」

「グローバル・ロボティクス株式ファンド(年2回)」は、直近の月報で「生成AIを活用した技術が多様な産業の生産性向上や先進国の人手不足解消に有効な技術となり、ソフトウェア技術と既存の産業ロボットや物流自動化機器のようなハードウェア技術との融合を通じて、中長期的に自動化領域が拡大していく方向性にますます注目」とレポートしているように、昨年来の市場をリードしている「AI」、および、「半導体」関連産業の成長の延長線上に広がるロボットの活用拡大をテーマとしているようだ。組み入れ銘柄のトップにはエヌビディアがあり、先行した半導体関連株ファンドなどと比較して出遅れていた分、人気が回っていったものと考えられる。

一方、インド株ファンドについては、7月を通じてインド株インデックスは、ゆるやかな右肩上がりの展開を続けていたため、特に資金流入を妨げるような材料もなかった。ただ、ここ数年来はインド株の上昇が続いており、一部の銘柄には割高な水準にあるという指摘がでている。上昇の勢いが鈍ると様子見や利益確定等の売り(解約)も出やすいということだろう。「HSBC インド・インフラ株式オープン」や「ダイワ・ダイナミック・インド株ファンド」などの人気が高かったインド株ファンドが、流入額ランキングの順位を揃って落としたのはそのためだ。

◆国内株下落は海外ファンドにどれだけ影響する?

7月の資金流入額ランキングでは、米S&P500インデックスや「FANG+インデックス」など、米国株インデックスファンドの流入額ランキングが上昇した。米国株は7月10日まではS&P500とNASDAQ総合が連日の史上最高値更新となり、7月15日から17日まではNYダウが史上最高値を更新するなど、7月中旬までは順調に株価が上値老いを続けていた。この当時の株価の勢いは、米国の株価上昇に期待した投資を促す要因だったと考えられる。ただ、7月後半には米国株価に調整機運が高まり、8月になると、日本の利上げをきっかけにした日本株安が波及する形で、米国株も大きな下落局面に入った。

そして、今回の株安は、7月末に1ドル=152円台だったドル円が8月5日には142円台という急激な円高にもなった急速な円高を伴っているだけに、米国株ファンドには株安に加えて円高に伴う為替評価安というダブルダメージとなり、基準価額の大きな下落につながっている。たとえば、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の基準価額は7月末2万9851円が、8月6日には2万7091円と、わずか4営業日で9.25%下落した。同じ期間に「iFreeNEXT FANG+インデックス」は5万5710円が4万9755円に10.69%下落し、米国株の組み入れ比率が60%を超え、日本株を5%程度組み入れる「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」も2万5027円から2万2688円へと9.35%下落した。

急落の震源地となった国内株では「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均株価)」は、7月末から8月5日まで3営業日で19.58%安という急落になったことを考えると、まだ、海外株ファンドの下落率は抑えられてはいるが、今後の展開いかんでは、一段安ということもあり得る。なにより、1週間足らずで10%程度も資産価値が目減りしたという体験は、投資経験の浅い投資家にとっては大きな痛手と感じられたのではないだろうか? この急落が、株式ファンドの資金流出入にどのような影響を与えることになるのか、8月の結果を待ちたい。

◆7月新設ファンド「あおぞら・新グローバル分散」の危機回避機能

なお、7月に新規設定されたファンドは16本で、設定額は合計約570億円だった。前月と比較して設定本数(前月は13本)、設定額(同約270億円)ともに増額し、5月の実績と並んだ。

新規設定額で最も大きかったのは、「あおぞら・新グローバル分散ファンド(限定追加型)2024-07」だった。同ファンドは世界の株式と債券に分散投資し、1年かけて株式の組入比率を6割まで段階的に引き上げるファンドである。一般の公募投信ながら、積立投資の機能を備えているユニークなファンドだ。2014年から定期的に設定されているシリーズファンドだが、今回の設定分が最も多くの資金を集めた。

7月は前半に世界の株価が大幅に上昇し、日米ともに主要株価指数が史上最高値を更新している。当ファンドの人気は、この上昇した株価の反落を警戒して時間分散や資産分散を望む投資家が増えていることの兆候といえるのかもしれない。8月に入って世界の株価が急落したことを考えれば、この投資家の危機回避行動は的確であったといえる。

  

執筆/ライター・記者 徳永 浩 

Finasee編集部

「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。

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