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新NISAの「成長投資枠」で日本株式の「個別株」投資! 配当金・売却益とも無税で受け取れるメリットあり

Finasee / 2024年8月19日 19時0分

新NISAの「成長投資枠」で日本株式の「個別株」投資! 配当金・売却益とも無税で受け取れるメリットあり

Finasee(フィナシー)

選択肢が豊富にあり、値上がり益や配当金が非課税扱いになる

「個別株(日本株)」とは、日本の証券取引所に上場している株式のことです。国内には東京・名古屋・札幌・福岡と4つの証券取引所がありますが、なかでも東京証券取引所(東証)は、上場会社数が3956社(2024年8月13日現在)と最大規模を誇ります。さらに東証には「プライム市場・スタンダード市場・グロース市場」の3つの市場区分にわかれます。

・プライム市場:グローバルな投資家との建設的な対話を中心に据えた企業向けの市場
・スタンダード市場:公開された市場における投資対象として十分な流動性とガバナンス水準を備えた企業向けの市場
・グロース市場:高い成長可能性を有する企業向けの市場
出所:日本取引所グループ「市場構造の見直し」 

各市場にはコンセプトがあり、上場基準・上場維持基準も明確にされています。投資家からすると、自身の投資戦略に合わせた銘柄選択がしやすくなったといえるでしょう。

例えば、プライム銘柄にはグローバルを意識した高いガバナンス水準が求められ、具体的には「英語での情報開示(企業概要や決算情報)」「独立社外取締役3分の1以上の選任」「TCFD(機構関連財務情報開示タスクフォース)開示義務化」に応じないといけません。

こういった銘柄は日本の投資家だけではなく外国人投資家からも注目されるようになり、結果として株価を押し上げる可能性があります。財務が安定し持続可能性が高いことから、長期保有に向くと判断できるかもしれません。

【個別株のメリット】なじみのある企業に投資ができ、情報収集もしやすい

東証だけでも4000近い企業が上場しており、選択肢が広いのがメリットの一つです。自身の詳しい業界・業種、普段から接している企業もあることでしょうし、インターネットなどで情報をすぐに調べられます。コーポレートサイトや証券会社・株式情報サイトで決算をはじめとする業績もチェックできるので、リスク評価は海外株式などより比較的容易です。

株主還元を重視する風潮から、配当利回りが高い銘柄も増えています。値上がり益だけではなく、安定したインカムゲインを得ながら長期保有できる、かつ日本株独自の株主優待制度も魅力的です。

円建てで取引するので、外国株式のように為替レートを気にしないで済むのも安心でしょう。成長性に対して株価が安く放置されている「バリュー株」も多いとされています。

【個別株のデメリット】多額の初期投資が必要な銘柄も。業績悪化で減配も…

日本株の購入単位(単元)は100株なので、株価の高い値がさ株を購入するには、多額の資金が必要です。例えば、ユニクロなどを展開するファーストリテイリングの株価は約4万円なので、最低購入代金は400万円前後となります。現在は1株などから購入できる「単元未満株」のサービスを提供する証券会社もありますが、基本的にはリアルタイムで取引ができない、手数料が割高といったケースもあり、注意しないといけません。

なお、東証では1日の売買における値動きの幅を価格水準に応じて一定に制限する「制限値幅」のルールを設けています。例えば株価が1万以上~1万5000円未満の銘柄の場合は上下3000円で、これを超えると「ストップ高(安)」となり、取引は停止されます。従来の目的は投資家保護ですが、制限値幅により、1日で狙える利幅には限界があるということです。

また、外国株式に比べると国内個別株の上昇・下落の振れ幅は少なく、キャピタルゲインが得にくいという見方もあります。配当を重視する企業が増えた一方で、業績が悪化すると減配・無配になるケースもみられます。

何より、日本は少子高齢化が進展し、内需は縮小傾向。地震や台風、豪雨など自然災害が多いことでも知られています。地政学リスクが比較的高いことはデメリットに映るかもしれません。

【新NISAで個別株投資】成長投資枠を使って投資できる

新NISAのつみたて投資枠で購入できるのは「長期・積立・分散」に適した投資信託のみですが、成長投資枠では年間240万円を上限とし、投資信託だけでなく上場株式にも投資することができます。そして、新NISAでは成長投資枠で取引した個別株から得た運用益や配当金も非課税扱いです。

なお、証券会社によっては個別株の単元株や単元未満株の売買手数料を無料にするサービスも実施しています。個別株を低コストで売買できる環境が整いつつあり、これを活用しない手はありません。高配当銘柄を長期保有し、配当金を無税で受け取るというのは、新NISAを活用した個別株投資の代表的な手法といえるでしょう。

注意すべき点は、成長投資枠の年間投資枠は240万円が上限だということです。枠を超える金額の投資はできませんし、個別株を売却しても、空いた分の枠を同じ年に再利用することはできません(翌年には可能)。頻繁に個別株を売買すると、あっという間に投資上限に達するので、新NISAは短期~中期の取引には向いていません。

また、新NISAで購入した金融商品で損失が生じても、課税口座などとの損益通算(損失と利益を相殺すること)や繰越控除(損失を翌年に繰り越すこと)はできません。そう考えると、成長投資枠で値動きの激しい個別株を買うのはリスクが高く、むしろ中長期で値上がりが期待できたり、業績が安定している高配当銘柄を保有し続けるのがよさそうです。

大正谷 成晴/編集者/ライター

2001年5月よりフリーライターとして活動を開始。資産運用、税制、キャッシュレス・ポイント、医療・介護、ビジネス全般、まちづくり・地方創生などのジャンルで取材・執筆を行っている。著書『決定版 1万円からはじめるFX超入門』(かんき出版)

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