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群馬銀行が8期ぶり最高益、非金利業務利益が好調 27年度に純利益500億円へ

Finasee / 2024年9月5日 11時0分

群馬銀行が8期ぶり最高益、非金利業務利益が好調 27年度に純利益500億円へ

Finasee(フィナシー)

ストラクチャードファイナンス(仕組み金融)へ注力する銀行が増えています。企業へ融資する手法の一つで、借り手の信用力ではなく特定の資産や事業を評価して貸し出す特徴があります。

ストラクチャードファイナンスへ積極的に取り組む銀行の一つが群馬銀行です。2022年4月に専門部署を設立し、複数の部署に分散していた機能を一元化。人員も強化してきました。これらの取り組みでストラクチャードファイナンスの残高は2022年3月期比で4.3倍に増加しています。

出所:群馬銀行 IR説明会資料より著者作成

ストラクチャードファイナンスは一般的な融資より収益性に優れる傾向にあります。群馬銀行はストラクチャードファイナンスを成長領域と位置づけ、さらなる積み上げを目指します。

全体の業績も好調です。直近の2024年3月期は純利益が8年ぶりに過去最高を更新しました。今期も最終増益を計画しています。

なにが群馬銀行の業績を押し上げたのでしょうか。理由を探ってみましょう。

群馬県でシェア圧倒 全国でも規模トップクラス

群馬銀行は、複数の銀行を統合し1932年に設立された地方銀行です。統合の中核となった第三十九国立銀行の歴史は1878年までさかのぼります。群馬県を中心に関東地域へ広く展開するほか、長野県と大阪府にも店舗を持ちます。

さらに群馬銀行はニューヨークにも拠点を持っています。県内の自動車関連企業の進出を支援する目的で1988年に開設しました。なお、群馬銀行は自己資本比率規制上の国際統一基準行を採用しています。

群馬県におけるシェアは圧倒的です。県内には信用金庫や信用組合を含め13の地域金融機関が本店を置きますが、地域の貸出金の3割超を群馬銀行が握っています。

【群馬県の地域金融機関 貸出金の上位5社(2023年3月末)】
・群馬銀行:6兆0497億円
・東和銀行:1兆5648億円
・しののめ信用金庫:4374億円
・桐生信用金庫:3202億円
・高崎信用金庫:2233億円

出所:金融庁 都道府県別の中小・地域金融機関情報一覧

全国的にも群馬銀行の規模は上位です。総資産は地方銀行62行中で11位、北関東では2位に位置しています。

【北関東4県に本店を持つ地方銀行の総資産(単体、2024年3月期)】
・常陽銀行:13兆1153億円
・群馬銀行:10兆7635億円
・足利銀行:8兆6787億円
・武蔵野銀行:5兆3753億円
・筑波銀行:2兆8511億円
※北関東4県:群馬県、栃木県、茨城県、埼玉県

出所:全国銀行協会 地方銀行の決算

純利益8期ぶり最高益 金利に依存しない収益づくりが奏功

次に足元の業績を紹介します。

直近の2024年3月期は快走でした。経常利益と純利益はいずれも前期比で1割超の増益です。純利益は8期ぶりに過去最高を更新し、2025年3月期を最終とする中期経営計画の目標値(300億円)を1年前倒しで達成しました。

【群馬銀行の業績(連結、2024年3月期)】
・経常収益:2003億円(+13.5%)
・経常利益:437億円(+14.3%)
・純利益:311億円(+11.4%)
※()は前期比
※参考(連結):コア業務粗利益902億円(-2.3%)、コア業務純益380億円(-5.4%)、投資信託解約損益除くコア業務純益454億円(+13.7%)

出所:群馬銀行 決算短信

増益の要因の一つが非金利業務利益です。非金利業務利益は法人役務や預かり資産から生じる手数料などで構成されます。

非金利業務利益は連結で31億円増加しました。これは投信解約損益を除いた資金利益の増加分23億円を上回る水準です。特に法人役務収入が好調で、販売用不動産融資やシンジゲートローンに関連する業務が利益を押し上げました。

群馬銀行は長く続いたマイナス金利政策の下、非金利業務益の増強に努めてきました。非金利業務利益は5期連続で過去最高を更新しています。好調な業績は金利に依存しない体制づくりが奏功した結果といえるでしょう。なお、増益は有価証券関係損益や与信費用の改善も影響しています。

今期の2025年3月期も増益の計画です。非金利業務利益も増加を見込みますが、今期は資金利益の方が伸びる予想で、増加幅はそれぞれ18億円と80億円です。投信解約損益除く資金利益は46億円の増加を予想します。

【群馬銀行の業績予想(連結、2025年3月期)】
・経常収益:非開示
・経常利益:515億円(+17.6%)
・純利益:350億円(+12.4%)
※()は前期比
※参考(連結):コア業務粗利益1000億円(+10.8%)、コア業務純益460億円(+21.0%)、投資信託解約損益除くコア業務純益500億円(+10.1%)

出所:群馬銀行 決算短信

また、群馬銀行は2028年3月期を最終とする次期中期経営計画も公表しています。純利益500億円を目指す計画で、貸出金および有価証券を平均年率3%台半ばで積み上げます。特に冒頭に紹介したストラクチャードファイナンスは重点領域で、平均年率40%の増加を目指します。

【次期中期経営計画の主な財務目標(連結、~2028年3月期)】
・コア業務純益:700億円(380億円)
・資金利益:935億円(734億円)
・非金利業務利益:320億円(242億円)
・純利益:500億円(311億円)
・ROE:8.0%(5.7%)
※()は2024年3月期実績

出所:群馬銀行 IR説明会資料より著者作成

4つの地銀連携を締結 アライアンス戦略で成長を目指す

群馬銀行の特徴の一つに外部連携の多さがあります。

地銀同士で協業するケースは少なくありません。群馬銀行は特に積極的で、4つの連携を結んでいます。

【群馬銀行の主な外部連携】
・TSUBASAアライアンス:千葉銀行、中国銀行など9行
・群馬・第四北越アライアンス:第四北越銀行
・りょうもう地域活性化パートナーシップ:足利銀行
・フィンクロス・パートナーシップ:池田泉州銀行、きらぼし銀行など7行

出所:群馬銀行 アライアンスの取組み

TSUBASAアライアンスは千葉銀行と中国銀行、第四北越銀行(当時は第四銀行)が2015年に発足させた広域連携です。全10行が参加しており、群馬銀行は2020年に参加しました。協調融資や相続関連業務で協業しており、累計の収益効果は2024年3月期で71億円とみられています。収益効果は2026年3月期までに105億円へ拡大する見込みです。

第四北越銀行とは2行間でも連携協定を結んでいます(群馬・第四北越アライアンス)。2021年に締結し、店舗の共同運営や取引先交流会の開催などで関係を深めてきました。両行合算の累計収益効果は2024年3月期で80億円、2027年3月期までに131億円を見込みます。

2行間の連携協定は足利銀行とも結んでいます(りょうもう地域活性化パートナーシップ)。群馬県と栃木県にまたがる両毛地区での協業を目的に2022年に締結しました。連携における融資等の累計額は2024年3月期までに905億円まで積み上がっています。

フィンクロス・パートナーシップはデジタル化を推進する連携協定です。池田泉州銀行や筑波銀行ら7行で2018年に発足させました。2019年にはきらぼし銀行が参加し、加盟行は全8行となっています。デジタル化に必要なコストを分け合い、各行の負担を抑制する狙いがあります。

外部連携は収益力の強化やコストの削減といったシナジー効果に期待できます。群馬銀行は外部の力を活用し、持続的な成長を目指します。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)

若山 卓也/金融ライター/証券外務員1種

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。

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