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想定より少ない「将来の年金額」にがくぜん…50代主婦が受給額を増やすためにとった「決意の行動」とは

Finasee / 2024年9月11日 11時0分

想定より少ない「将来の年金額」にがくぜん…50代主婦が受給額を増やすためにとった「決意の行動」とは

Finasee(フィナシー)

<前編のあらすじ>

相談者の三森まち子さんは50代の専業主婦。夫の孝太郎さんは65歳定年の会社に勤めており、職場からの提案で70歳まで再雇用で働くことが決まりました。再雇用で働くことで最長70歳まで厚生年金へ加入でき、それによって将来の年金額も増やせるため、夫婦で一安心。余裕をもって老後を迎えられる予定でした。

ところが、再雇用が決まって安心したのもつかの間。孝太郎さんに思わぬアクシデントが発生します。67歳になった頃、体調の都合で当初の70歳の予定より早く会社を退職することになったのです。

この孝太郎さんの退職によって今後5年間にわたって国民年金保険料を支払う必要が出てきたまち子さん。老後のことが気になって将来の年金額をチェックしてみると、イメージしていたより金額も年金加入期間もわずかに足りないことに気付き、将来への不安が大きくなりました。

●前編:【「何かの間違いかも」余裕ある老後を迎えるはずが…50代主婦が衝撃を受けた「将来の年金額」】

まち子さんの思い違いで「2年間の未納」が発生していた

筆者がねんきん定期便を拝見したところ、思いもよらない事実が明らかになりました。将来の受給見込額や年金加入期間が想定より足りていない原因は、過去2年間年金が未納の状態だったからでした。

まち子さんは孝太郎さんが再雇用となった後も、自分が国民年金第3号被保険者として扱われていると思い込んでいました。ところが、厚生年金加入中の夫が65歳になると夫の扶養から外れる仕組みのため、国民年金保険料をまち子さん自身で支払う義務が生じていたのです。

「再雇用が終わってからじゃなかったんだ」。実は、孝太郎さんの再雇用時に勤務先から注意事項として説明書類を受け取っていたのに、他の資料に紛れ込んでいたことも後から判明しがくぜんとしたふたり。こんな重大なことに気づかなかったことに、ため息が止まりません。そこで、不安を解消するためにできることを、3つお伝えしました。

年金の未納期間、どう取り戻す?

年金に関する不安や疑問があるとき、最初に考えたいのが年金事務所に相談に行くことです。年金事務所では、これまでの年金加入履歴や現状を確認しながら、専門の職員が丁寧に説明してくれます。

どんな対処法があるのかを具体的に教えてもらえるところも魅力の1つ。例えば、国民年金保険料の未納期間分は、納付期限から2年以内であれば納めることができ、国民年金の任意加入制度を利用して60歳以降も国民年金保険料を支払うことで年金受給額を増やす効果も期待できます。

「孝太郎さんの年金収入で、私の年金保険料を払うって不思議な感覚」。それでも、「未納になっている分は急いで払わないと……」とつぶやきながら、早速年金事務所に行く日取りを考え始めました。

また、国民年金保険料は、一定期間分をまとめて前払い(前納)すると、割引が適用されてお得です。前納する期間や支払方法によって割引額が変わるので、ぜひチェックしてみてください。年の差のある夫婦としては、万が一のときに備えて、遺族年金についても確認しておくと安心でしょう。

もう1つ大切なことは、家計の見直しです。孝太郎さんの退職により、収入が大きく減ることは避けられません。だからこそ、これからの生活費や支出をどのように抑えていくかを慎重に考える必要があります。さらに、孝太郎さんの体調を考えると、介護や医療費など急な支出に備えて、必要な資金を確保しておくことも大切です。

そこでまず、収入と支出のバランスを確認し、無駄な支出や見直せる固定費がないか検討することを提案しました。ポイントは、家計の状況を「見える化」すること。100歳までのライフプランシミュレーションを行うと、これまで一切家計に口出ししてこなかった孝太郎さんも「年金収入が増えたり支出を減らしたりすると、どう変わるんだろう?」と興味津々。夫婦で協力しながら老後の家計を考える、良いきっかけになったようです。

しばらくしてまち子さんから、「パートで働き始めました」と連絡がありました。3つめの提案として、「厚生年金に加入できそうなパートを探してみては?」と促したことで、考え方に変化があったそうです。未納分の年金はしっかりと支払い、これからは厚生年金に加入して少しでも年金を増やしたいという思いでの決断でした。

さらに予想外の出来事として、孝太郎さんが家事を手伝うようになったとのこと。「不安って、努力次第で変えられるんですね!」というまち子さんの言葉には、明るい未来への期待と力強い決意が込められていました。

定年後は人生の第二章。これからの2人の生活が、さらに穏やかで充実したものになることを願っています。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。

辻本 由香/つじもとFP事務所代表・一般社団法人WINK理事

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、相続手続カウンセラー、50代からのくらし(医・職・住)と資産を守るファイナンシャルプランナー。おひとりさま・おふたりさま×特有の課題・お金の問題の事例などが得意分野。企業の会計や大手金融機関での営業を経て、2015年に、保険や金融商品を販売しないFP事務所を開業。個別相談の他、企業・病院・大学などでの講演も行っている。

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