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自営業・フリーランスの国民年金+国民年金基金+iDeCo、老後資金はどう受け取る?

Finasee / 2024年9月9日 19時0分

自営業・フリーランスの国民年金+国民年金基金+iDeCo、老後資金はどう受け取る?

Finasee(フィナシー)

不安定な年収、一人の老後に悩み

フリーランスのフラワーアレンジメント講師として働いている60歳の渡辺さん(仮名)は、このまま一人で老後を迎えて生活していくことに不安を抱いており、年金の受け取りや今後の仕事の仕方についていろいろ悩んでいるそうです。

年収は安定しておらず、おおむね300万円~500万円。現在は87歳の父親とともに父親名義の家(ローンなし)で暮らしています。渡辺さん自身の金融資産は400万円のみ。一人っ子とのことで、父親は「将来のことは心配するな」と言ってはくれるものの、ご自身の資産が少ないこともあって、将来のことを考えると不安が募る日々だと言います。

渡辺さんは大学生のときに始めた生花店でのアルバイト時代に、常連客として店に出入りしていたテレビ局関係者からアレンジメントの腕を見込まれるようになりました。以来、番組で必要な花束などの手配の際に指名されるほどの信頼を獲得。

大学卒業後もそのままアルバイトとして仕事を続けていた数年後、生花店のオーナーが郷里の北海道に戻ることになり店を畳むことに。渡辺さんはなりゆきでフリーランスとして独立、以来、腕一本でこの仕事に邁進してきました。

そのため一般企業で働いた経験はなく、加入しているのは国民年金のみでした。友人に老後の不安を口にしたところ、国民年金基金の存在を教えてもらい、45歳のときに1口のみ保証期間15年のA型(月額1万円上乗せ)に加入したそうで、以降15年が経ちます。その後、55歳のときにiDeCoにも加入し、毎月3万円を5年間支払っています。

「仕事は少なくとも65歳までは続けるつもりでいますが、今準備している年金だけで老後資金が賄えるのか不安です」と渡辺さん。iDeCoは60歳で一時金として受け取ることを考えていますが、65歳を過ぎても働いた方が良いのか、流行りのNISA(少額投資非課税制度)などを使って他にも運用をした方が良いのか、悩みは尽きないと言います。

65歳から受け取れる国民年金額を確認

確認すべきは「65歳からいくら受け取れるのか」ということです。

まずは年金のベースとなる国民年金(老齢基礎年金)を確認しましょう。令和6年度の国民年金は満額で年間81万6000円です※。

※出所:日本年金機構 

さらに国民年金基金ではAタイプの月額1万円上乗せのコースに加入しているとのことですので、1万円×12カ月で年間12万円です。Aタイプは15年間保証つきの終身年金となりますので、一生涯、国民年金基金も受け取ることが可能です。つまり、国民年金81万6000円+国民年金基金12万円となるため、65歳からは年間で93万6000円という計算になります。

iDeCoの受取額はいくらになるのか確認

続いて、iDeCoから受け取れる金額はいくらになるのかも確認してみましょう。渡辺さんはiDeCoに毎月3万円を拠出しており、5年間で積立元本は180万円です。運用利回りはおおよそ3.0%だとのことでしたので、運用益は約14万円、元本と併せた運用結果は約194万円です。

60歳のときに一時金として受け取る場合は約194万円。ちなみに年金として受け取る場合には、5年間なら毎年約39万円、10年間なら同約19万円、15年間なら同約13万円、20年間なら同約10万円です。iDeCoを一時金として受け取るとすると、預貯金の400万円と併せて60歳時点の手持ち資金は約600万円になります。

これからの働き方や相続について親子で話す決心を

フリーランスとして働いているとのことですが、いつまでも今と同じように収入が得られるかは分かりません。

60歳から64歳までの5年間を預貯金とiDeCoの一時金を切り崩していくと毎年120万円弱、使えることになります。ただ、フリーランスという不安定な仕事のため、60歳から切り崩すことは避けた方が良いでしょう。

65歳から国民年金と国民年金基金のみの収入になる場合、毎月に使えるお金は約8万円です。住む家があり、食費だけと考えれば何とかなるかもしれませんが、預貯金と併せて約600万円ということを考えるとさらに不安になってしまうのではないでしょうか。

お父様は将来のことは心配しなくて良いとおっしゃってくださっているようですが、実際にどれくらいの資産があるのかは分からないのですよね。お父様にストレートに話を聞くことは難しいでしょうから、「自分の将来をどのようにすれば良いのか悩んでいる」などと切り出し、お父様がどのように考えているのかを一度、確認してみることは避けて通れない大事なことではないでしょうか。

お父様のお金をあてにしているようで気が進まないかもしれませんが、仮にお父様に介護が必要になった等、万一のことがあったときに、どのような施設に入所できるのか、どのような介護を受けさせることができるのかを知る手掛かりにもなります。

また、今までiDeCoに拠出してきた3万円は浮きますので、この額を預貯金として預けることも検討してはいかがでしょうか。5年間で約180万円貯めることができますので、65歳時点の預貯金は約774万円となります。

この額を65歳から20年間で切り崩していけば、年間約39万円となりますので、国民年金と国民年金基金と併せて年間約132万円になります。つまり65歳から毎月10万円強のお金を生活費として使うことが可能となります。これらのデータを参考に、お父様とも話し合いながら今後のご自身の働き方、生き方を考える一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

飯田 道子/ファイナンシャルプランナー

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト。金融機関勤務を経て1996年FP資格を取得。現在は各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などを行っている。海外移住にも対応しており、特にカナダや韓国への移住相談や金融・保険情報を得意としている。数秘&カラーの上級トレーナーとしての顔を持ち、セッション等も行っている。

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