自営業・フリーランスの国民年金+個人年金保険+iDeCo、老後資金はどう受け取る?
Finasee / 2024年9月17日 19時0分
Finasee(フィナシー)
今は何とか生活できてはいるものの…
雑貨店を経営している川口さん(仮名)は60歳。奥さまと二人暮らしです。お店の経営はお世辞にもうまくいっているとは言えないものの、何とか生活できるレベルで年収は250万~300万円だそう。2人の子どもは独立しており、それぞれ家庭を持ち、同居はしていません。
ただ、大きな出費があるときには子どもたちからの援助を受けて過ごしているようです。「今は何とか生活はできていますが、貯金はまったくなく、このまま年齢を重ねていくと収入が年金だけになってしまうので心配です」と川口さん。
雑貨店は住まい兼住宅で、住宅ローンを組んで購入しており、ローンの残りは100万円。できるだけ早く完済したいと思っているとのことです。住宅ローンは何とかなるレベルだとは思うものの、心配なのは老後のこと。60歳を機に、老後資金をどのように受け取れば良いのか悩んでいるそうです。
川口さん夫婦は国民年金のほか、奥さまは個人年金保険、具体的には65歳から月々2万円を一生涯受け取れる終身年金に加入しています。一方で川口さん自身は、「個人年金保険だけでは生活は厳しいかも? と思い、自分は50歳からiDeCoに加入しました。毎月の拠出金は3万円です」
川口さんとしては、60歳を迎えたおりにiDeCoをどのように受け取れば良いのか、年金を含めたライフプランについて知りたいとお考えのようです。
iDeCoの運用状況を確認することから始めよう国民年金と個人年金保険の受取額は明確になっていますので、まずはiDeCoがいくら受け取れるのか、運用状況を確認することから始めてみましょう。
川口さんは、iDeCoに毎月3万円を拠出しており、トータルで10年間積み立ててきた元本は360万円です。運用利回りはおおよそ3.5%とのことでしたので、運用益は約70万円、トータルの運用結果は約430万円と予想されます。
川口さんが60歳のときに一時金として受け取る場合は約425万円。ちなみに年金として受け取る場合には、5年間で毎年約83万円、10年間で約43万円、15年間で約29万円、20年間で約21万円です。
65歳から受け取れる国民年金と個人年金保険はいくらになる?先述どおり、国民年金と、奥様が加入している個人年金保険は金額が確定されていますのでそれぞれいくらになるのか改めて確認しておくと安心です。
2024年度の国民年金(老齢基礎年金)は満額で年間81万6000円ですので、夫婦二人の国民年金額は合計すると年間163万2000円。月ごとに割り振ると、1カ月あたり13万6000円です。
また、奥さまが加入している個人年金保険は月額2万円を受け取ることができますので、国民年金と個人年金保険をあわせると、65歳からは月額15万6000円になります。
この額で日々の生活を送ることができるのか、今の支出と照らし合わせて考えてみてください。
住宅ローンについても考えてみよう現在、住宅ローンの残債は100万円あります。毎月支払い続けることはできるかもしれませんが、負債はできるだけ早い段階で片付けておいた方が精神的にも安心ではないでしょうか。
川口さんには預貯金はありませんので、60歳時点での住宅ローンを一括返済するときの返済の原資となるのはiDeCoです。iDeCoを一時金として受け取った場合は約425万円ですので、100万円分を返済に回すと、残りは約325万円になる計算です。
もちろん、iDeCoを年金として受け取ることもできるのですが、その場合は毎月の収入から住宅ローンを返済し続けなければなりません。
川口さんはできるだけ早く完済したいと考えているとのことですから、iDeCoは一時金として受け取ることが、最も負担が少なく済む受け取り方法と言えるのではないでしょうか。
国民年金の受け取り方を検討しよう国民年金は65歳から受け取れますが、川口さんは自営業のため、65歳以降も働き続けることが可能です。アーリーリタイアメントを考えていないなら、年金の受け取り時期を先送りする、「繰下げ受給」を検討しても良いかもしれません。
繰下げ受給は、最大で75歳まで受け取り開始時期を先送りすることができ、先送りするほど、年金額が増額されます。具体的には、70歳で受け取る場合は42.0%増、75歳で受け取る場合は84.0%増になります。
繰下げ受給を選択した場合、1人当たりの金額は70歳では年間約115万8000円。75歳では年間約150万1000円です。
夫婦それぞれに国民年金が支給されますので、どちらか1人の国民年金のみ繰下げ受給を選んでも良いでしょう。
飯田 道子/ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト。金融機関勤務を経て1996年FP資格を取得。現在は各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などを行っている。海外移住にも対応しており、特にカナダや韓国への移住相談や金融・保険情報を得意としている。数秘&カラーの上級トレーナーとしての顔を持ち、セッション等も行っている。
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