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もう耐えられない…仕事を引退した夫と熟年離婚へ。年金分割を期待した70代主婦が呆然とした「想定外の事実」

Finasee / 2024年9月17日 11時30分

もう耐えられない…仕事を引退した夫と熟年離婚へ。年金分割を期待した70代主婦が呆然とした「想定外の事実」

Finasee(フィナシー)

夫婦が離婚した場合、年金については離婚時の年金分割制度があります。結婚していた期間中の厚生年金加入記録を分割する制度で、その結果、今後の年金額が変わることになります。分割を受ける側は年金が増えることになりますが、思っていたほど増えないケースもあります。

仕事を辞めた夫との衝突が増え、熟年離婚を考え始める

千里さん(仮名・78歳)は結婚前に7年会社に勤め、結婚してからはずっと専業主婦でした。結婚してからは家事に育児に奔走していました。夫の啓悟さん(仮名)は78歳。28歳で結婚して50年になります。長女(48歳)と長男(44歳)はそれぞれ結婚してから別で暮らしています。

啓悟さんは大学を卒業して23歳から10年会社に勤めた後、結婚してからだと5年後、技術職の個人事業主になりました。長く個人事業主を続け、50歳前に法人化もしました。

そんな啓悟さんも体力的にきつくなったことから75歳で完全に引退しました。啓悟さんはリタイアして、仕事がなくなった喪失感が大きく、毎日家にいて何をして過ごせばいいのか分からなくなりました。

千里さんとしても、啓悟さんが現役だった頃は仕事に没頭してくれていたため、気楽に過ごしている部分もありましたが、啓悟さんの引退後は毎日朝から晩まで顔を合わせます。そのため、ささいなことで衝突してはぎくしゃくするように……。価値観の違いも顕在化し、千里さんは毎日を一緒に過ごすのがだんだん苦痛になってきました。「もう我慢できない。子どもたちもみんな結婚しているし。離婚して1人になって残りの人生を満喫したいな」と思います。

そのことをまず、長女と長男に話してみました。すると「結婚生活は山あり谷ありだよ。ここまでずっと一緒に生活してきたのに今更離婚するの?」「離婚すると損も多いんじゃない? 夫婦でいた方が……よくは分からないけど」と驚きを隠せない様子。

しかし、千里さんは離婚を決意。啓悟さんもこれに同意し、まもなく離婚しました。

年金分割を進めることに

千里さんとしては、気になっていたのが離婚後の年金のこと。これからは、世帯として夫の年金はなく、自身の年金だけで暮らすことになりますが、離婚時の年金分割制度があることを知ります。

年金分割は結婚した月から離婚した月の前月分までの2人の厚生年金加入記録を分割し、分割後の記録で老齢厚生年金を計算します。

結婚後、啓悟さんは33歳までの5年間と50歳前(法人化の時)から70歳になるまで(上限年齢)の約20年間厚生年金に加入し続けたのに対し、千里さんは60歳までの間、国民年金に未加入か、第1号被保険者、あるいは法人化後は第3号被保険者でした。

つまり、結婚後、千里さん自身は厚生年金に未加入でした。年金分割には、離婚すると夫婦の厚生年金加入記録の合計の50%を上限として元夫・元妻の合意で分割する「合意分割」と、2008年4月以降に第3号被保険者期間がある場合に合意なく強制的に分割できる「3号分割」があります。千里さんは結婚期間中、2008年3月以前の第3号被保険者や年金未加入者、第1号被保険者だったため、「合意分割」の対象になりそうです。

「結婚していた期間、私はずっと働いていなかった。だから夫のその期間の50%の分割が受けられることになりそう。それなりに増えるかも」と思います。千里さんは早速、年金分割を行うとどうなるかが表示される情報通知書を入手するため、年金事務所で情報提供請求を行います。

すると、年金分割の説明をする窓口の担当職員から「分割すると、千里さんの老齢厚生年金は確かに増えますが、一方で老齢基礎年金が減りますね……」との説明がありました。婚姻期間中の夫の50%を分割され、その結果、年金が増えると聞かされていたため、減らされる年金については初耳の千里さん。一体どういうことでしょう。

●熟年離婚による年金分割で発覚した想定外の事実に呆然……。千里さんの老齢基礎年金はなぜ減ってしまうのでしょうか? 年金分割で損しないための知識は後編【熟年離婚で「元夫の50%の年金」をもらえるはずが…おひとりさまになった70代主婦の大誤算】で詳説します。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。

五十嵐 義典/ファイナンシャルプランナー

よこはまライフプランニング代表取締役、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、特定社会保険労務士、日本年金学会会員、服部年金企画講師。専門分野は公的年金で、これまで5500件を超える年金相談業務を経験。また、年金事務担当者・社労士・FP向けの教育研修や、ウェブメディア・専門誌での記事執筆を行い、新聞、雑誌への取材協力も多数ある。横浜市を中心に首都圏で活動中。※2024年7月までは井内義典(いのうち よしのり)名義で活動。

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