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企業が力を入れる人的資本投資。いま就活生が注目すべき「キャリア支援」「待遇面」のポイントとは?

Finasee / 2024年9月20日 12時0分

企業が力を入れる人的資本投資。いま就活生が注目すべき「キャリア支援」「待遇面」のポイントとは?

Finasee(フィナシー)

金融商品取引法の改正に伴い2023年度より一定の要件を満たす企業の間で義務化された「人的資本」の開示。その背景には、国内外での「人的資本」重視の姿勢が現れている。

国内では「人材版伊藤レポート2.0」や「人的資本可視化指針」が策定された。また国外でも欧州委員会(EC)やアメリカ証券取引委員会(SEC)が企業に対して非財務情報の開示を求めている。加えて、世界経済フォーラム(WEF)や国際統合報告評議会(IIRC)、ISO 30414 などの団体も、企業の非財務情報開示に関するフレームワークや開示項目を提示している。

こうした変化は投資家のみならず、就活を行う学生にも大きな影響を与えるだろう。

人的資本投資とは何なのか

学生の中には「人的資本」と言われてもピンと来ない人もいるだろう。

EY新日本有限責任監査法人の「令和3年度産業経済研究委託事業 (人的資本投資の実態把握等に関する調査)報告書」(2022年3月)では、企業の人的資本投資の項目別の認識を以下のように記載している。

①人材獲得(採用広告等)
②人材育成(教育訓練費等)
③人材保持・活用(給与等)
④人的資本基盤(HR システム費用等)
※①〜④に該当しないエンゲージメントスコアを採用している企業もある

昨今の学生はインフレによる実質賃金の減少や終身雇用崩壊により将来への不安を強く感じている。それゆえ上記の中でも特に注目する項目は「②人材育成(教育訓練費等)」「③人材保持・活用(給与等)」になるだろう。

本稿では学生・就活生が人的資本投資を自分ごととして捉えられるよう、前述した2つの項目に焦点を当てて説明していく。

人材育成の見方  

「人材育成」と言われてもその内容は多岐にわたる。指標としては、研修参加率、研修参加時間、有資格者数の増加数などが挙げられるが、今回は有資格者数の増加数に関わる「資格手当」について注目したい。

今年5月、出版大手KADOKAWAが公表した「資格取得支援制度」がネットをにぎわせていた。社員の自律的なキャリア形成を支援する趣旨で、対象資格を取得した社員に対する支援金の上限を100万円から1000万円まで大幅に引き上げたのである。

崩壊元年とも言われる2019年、当時のトヨタの豊田章男社長や日本経済団体連合会(経団連)の中西宏明会長が終身雇用の限界を語って以降、雇用形態は「終身雇用」と「年功序列」から「メンバーシップ型雇用」と「成果主義」に変わっていくと言われた。また、2024年9月時点で行われている自民党総裁選挙でも雇用流動性を高めるための規制緩和を公約にする候補もいる。これから就活を行う学生にとって、将来的なキャリア形成はこれまで以上に重視したい項目となる。

実際、20卒から24卒の学生が就職先を選ぶポイントについても、「育成」や「キャリア支援」に関連する項目を選ぶ就活生が増加している。学生にとっても「資格」という存在は、キャリア形成を行う上でもイメージしやすい。企業の提供する資格取得支援制度は、学生が人材育成の観点から参考にできる指標の1つと言えるだろう。

人材保持・活用の見方 

「人材保持・活用」を一言で表すならば「待遇」である。給与や賞与はもちろんのこと、福利厚生もこれに該当する。就活生向けの多くの調査では「働きやすさ・やりがい」と並んで上位にくる項目ではあるが、「待遇」に対する注目点も変化しつつある。

毎年、春闘の季節になると注目されるのが初任給とベアの値である。学生に注目されるのは「初任給」であるが、最近では「中堅層の平均給与」にも注目が集まっている。

厚生労働省が発表した2023年の「賃金構造基本統計調査」によると、中堅層の賃金が減少傾向にある。育休後の職場復帰や会社のポストによる賃金格差が発生するタイミングのため必ず該当するわけではないものの、ライフステージ的に金銭負担が多くなる中堅社員時代に賃金が上がるかどうかは学生の関心事であり、就活時にも確認しておきたい情報と言えよう。

***
 

今回は、学生・就活生向けの目線から「人的資本投資」の見方を考察した。持続的な経済成長が続くアメリカでは、企業価値に占める無形資産の割合は日本を大きく引き離している。

長い経済停滞から抜け出す光明が見え始めた今、日本の労働市場は終身雇用や厳しい雇用規制からの変革を迫られつつあり、会社によるキャリア形成から自律的なキャリア形成が求められる社会となっている。

学生・就活生は関心事が時代にあわせて変化する中で、企業・学生の双方のミスマッチ招かないための参考として「人的資本投資」への視点を生かしていくべきではないだろうか。

学生投資連合USIC

全国33大学1100人以上で構成される日本最大の金融系学生団体。2008年の創設以来、「日本を学生から金融大国に」というビジョンのもと、学生の金融リテラシー向上に取り組んでいる。主な活動内容は、国内外の金融関係企業と合同で開催する勉強会・セミナーの運営、学生向け金融・投資のフリーペーパー「SPOCK」(累計発行部数24万部)の発行、全国の上場企業・大学生を巻き込んで行う「IRプレゼンコンテスト」の主催。近年は、メディアでの発信に注力するほか、制度面への働きかけを通じて、若年層の投資のしやすい環境づくりにも取り組んでいる。2024年現在、全国 33大学のサークル・約1100 名が加盟し、北は北海道、南は九州までのネットワークを有する、日本最大規模の金融系学生団体となっている。Xアカウントは@usic_spock。

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