株価下落で流入減も「オルカン」「S&P500」「米国株式」のトップ3揺るがず! 一方、インド株ファンドに異変!? 8月のTOP20
Finasee / 2024年9月18日 7時0分
Finasee(フィナシー)
三菱アセット・ブレインズがまとめる2024年8月の公募投信(ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信除く)の資金流入額ランキングでトップ4は前月と変わらず「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(流入額:1520億円、前月2239億円)、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」(同:1181億円、前月1999億円)、「アライアンスB・米国成長株投信 D」(同:795億円、前月1675億円)、「インベスコ世界厳選株式オープン(ヘッジなし・毎月決算型)」(同:482億円、前月589億円)だったが、資金流入額が大きく減少した。外国株式ファンドへの資金流入額が細る中、「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」、「日経225ノーロードオープン」、「SBI日本株4.3ブル」など国内株式ファンドが流入額上位にランクアップした。
以下、ログイン後に表示されます一方、前月は第5位に「HSBCインド・インフラ株式オープン」、第16位に「ダイワ・ダイナミック・インド株ファンド」など、インド株式ファンドがトップ20に入っていたが、今月はインド株式ファンドはトップ20に1本も残らなかった。8月上旬に国内株式が急落するなど、世界の株式市場が不安定になった。インド株式をはじめとしたエマージング株式は、市場に脆弱性があり世界経済の変動に過敏に反応する傾向が強い。エマージング株式全体で8月5日の週は、約1年10カ月ぶりに週次で資金流出になるなど、エマージング株式市場への見方が厳しくなったようだ。
◆国内株式はランクアップも流入額は横ばい8月の資金流入額でランクアップが目立った国会株式ファンドだが、個々のファンドの流入額では横ばいだった。外国株式ファンドの流入額が減少したため、相対的に流入額ランクが上がったという傾向が強い。「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」の流入額154億円は、前月の155億円とほぼ同額、「日経225ノーロードオープン」の148億円は前月の162億円よりも減額、「SBI日本株4.3ブル」の146億円だけは前月は国内株ファンドの流入額上位15ファンド圏外(第15位の流入額が44億円)から大幅に流入額が増えた。
国内株式ファンドへの資金流入が増えたのは、8月5日に日経平均株価が過去最大の4451円安と大幅下落した後のことで、株価急落からの戻りを期待した押し目買いが増えた影響と考えられる。特に、「SBI日本株4.3ブル」のようなレバレッジ型は短期の株価急落からの戻りを期待する資金に狙い撃ちされやすい。ただ、米国株価などは、8月の急落からNYダウが史上最高値を奪還するほどに急落からの回復が見られたが、それに対して日本の株価の戻りは鈍い。株価の戻りを期待した押し目買いを裏切って、株価が2番底と言われる再度の下落を懸念する向きもあり、しばらくは株価の動向から目が離せないところだ。
◆企業の「格差」を利用したアクティブファンド人気が盛り上がる?9月18日の米FOMC(連邦公開市場委員会)で米国は政策金利の引き下げに動くと目されている。インフレ(物価上昇)退治を目的に年5.25%~5.50%という高い短期金利を2023年7月から維持してきたが、その高金利の影響もあって経済活動が鈍化してきたため、強く踏み込んだブレーキを少し緩めて景気悪化が急激に進まないように金利水準の調整を始める見通しだ。景気の減速は、米国企業の企業業績に当然、影響を与える。多少の物価上昇でも消費の勢いが衰えないほど、国内景気が活発な間は多くの企業が好景気の恩恵を受けられたが、景気が鈍化すると競争力のある商品・サービスを提供できていない企業は、好景気時の売り上げを維持できなくなる。今後、大手、中小を問わず、企業業績に格差が広がっていくと予想されている。
企業業績に格差が広がるようになると、「S&P500」に採用される500社もの企業には、業績を維持・向上できるところと、業績が悪化する企業が出てくる。500社の株価の塊としてのインデックスの動きは鈍くなると考えられる。一方、その500社の中から業績が維持・向上されると期待される企業のみをピックアップして投資するアクティブファンドは、インデックスファンドよりもより高いパフォーマンスを残すことが期待されるようになる。インデックスファンド優位だった資金流入ランキングに、アクティブファンドが目立ってくるか注目される。
◆8月新設ファンドは「グローバル債券」と「中小型株」に注目8月に新規設定されたファンドは13本で設定額は合計約310億円だった。前月と比較して設定本数(前月は16本)、設定額(同約570億円)ともに減少した。
新規設定額で最も大きかったのは、「HSBCグローバル・ターゲット利回り債券F2024-08」の約150億円だった。同ファンドは、信託期間が5年間で5年以内に償還を迎える債券に投資する。投資債券は償還まで持ち切る運用をし、為替ヘッジもして為替リスクも回避するため、ポートフォリオ構築時に償還までの運用利回りが計算できるファンドだ。募集開始前の2024年5月22日時点で実現可能なポートフォリオで償還までの持ち切り運用をした場合、為替ヘッジコストや信託報酬等の運用コスト控除後で平均最終利回りは円ベースで年2.00%になっていた。国内では依然としてゼロ金利の時代であり、年2%の利回りが獲得できる商品の魅力は小さくない。
次に新規設定額が大きかったのは「TTI・グローバル中小型厳選株式ファンド」の約66億円だった。月次で約137億円の資金流入になった。同ファンドは新興国を含む世界の取引所に上場している中小型株式に厳選して投資する。実質的な運用は、英ロンドンと香港に拠点を置くTTインターナショナル・アセットマネジメント・リミテッドが担当する。2020年3月のコロナ・パンデミックによるショックの後は、主に米国の大型ハイテク株式が世界の株式市場をリードしてきたが、その結果、米大型ハイテク株式には割高感が指摘されるようになっており、相対的に中小型株式は割安として注目されるようになっている。
執筆/ライター・記者 徳永 浩
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。
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