「共働き夫婦は遺族年金をもらえない」は誤解? 70代女性が夫を亡くして知った「予想外の事実」
Finasee / 2024年9月26日 12時0分
Finasee(フィナシー)
夫婦ともに高齢期を迎えて年金暮らしをしている場合、会社員だった夫を亡くして1人になった妻に対し、遺族年金制度からの遺族厚生年金があります。遺族年金制度は「夫が会社員、妻が専業主婦」という世帯を想定しているところがありますが、夫婦共働きだと全く支給されないのでしょうか。
共働き夫婦の年金医療法人や診療所などで長らく看護師をしていた佳子さん(仮名・70歳)。子育てに専念した一時期を除けば、時に交代勤務の夜勤も繰り返しながら勤務を続け、70歳になって退職しました。同じ職場の医師や他のスタッフが圧倒されるほどパワフルだった佳子さんも、退職後の年金は老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計で210万円が支給されています。
既に退職していた夫の一文さん(仮名・75歳)は、現役時代は40年会社員、まさに夫婦共働きでした。一文さんは老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計240万円の年金を受け取っていました。夫婦で合わせて450万円の年金が支給されていた生活にはそれほど困ってもいませんでした。佳子さんは「共働きだからよかったのね、頑張って働いて厚生年金に入った甲斐があった」と思っています。
遺族年金は出そうにない…佳子さんの同級生の友人は2年前に会社員だった夫を亡くして遺族年金を受けていました。支給された遺族年金は遺族厚生年金。その友人は専業主婦で、学校卒業後すぐに結婚したため、厚生年金の加入がなく、自身の老齢年金も老齢基礎年金だけで老齢厚生年金がありませんでした。
その友人は「会社員の夫が亡くなってから、自分の年金が少なくても遺族年金があるから助かっている」と言います。佳子さんは「遺族年金は夫が会社員、妻が専業主婦の家庭を想定した制度」だと知り、「夫婦共働きだと遺族年金は支給されない」ということも耳にしました。
一文さんは佳子さんについて「家事、子育て、仕事と頑張っていたし、佳子には頭が上がらない。年齢的見て先に死ぬのは自分、自分が死んだら遺してあげたいな」と思っています。しかし「どうも俺が死んでも遺族年金はなさそうなんだよな」と言います。
“共働きだと遺族年金はない”というのが佳子さんと一文さんの共通の認識でした。
年金事務所へ行くと予想外の事実が判明!そんな中で、一文さんが亡くなりました。元気だった夫の死はなかなか受け入れられない佳子さんでしたが、ふと「現実問題、これからの生活はどうなるんだろう。夫の年金はなくなって私の年金だけになってしまうのね」「やっぱり遺族年金はないのかな」と思います。
遺族年金について「夫の老齢厚生年金の4分の3」「自分の厚生年金を差し引いて差額分を支給」と聞いていたことから、一文さんの老齢厚生年金(報酬比例部分)は160万円だということを確認しました。その4分の3の金額と言えば、120万円くらいです。
佳子さんは「私の老齢厚生年金は130万円……じゃあ、やっぱり遺族年金はなさそう」「専業主婦だったら受け取れるけど共働きだと受け取れないそうね」「その分自分の老齢年金があるからいいんだけど」と考えていました。
佳子さんは他に亡くなった夫の年金の手続きがあるかと思い、年金事務所へ行きます。そこで「共働きだったら、やっぱり遺族年金はないですよね?」と窓口の職員に尋ねます。すると、確認した職員から「少しですが、遺族年金出そうですよ」と告げられました。
遺族年金はないものと諦めていましたが、予想外の回答が来ました。何故遺族年金は支給されるのでしょうか。そして、どれくらい支給されるのでしょう。
●共働き夫婦必読! 佳子さんが遺族年金を受け取れる理由と支給される金額については、後編【遺族年金のおかげで“おひとりさま老後”にも安心感…亡き夫が妻に「生活の支え」を遺せたワケ】で詳説します。
※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。
五十嵐 義典/ファイナンシャルプランナー
よこはまライフプランニング代表取締役、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、特定社会保険労務士、日本年金学会会員、服部年金企画講師。専門分野は公的年金で、これまで5500件を超える年金相談業務を経験。また、年金事務担当者・社労士・FP向けの教育研修や、ウェブメディア・専門誌での記事執筆を行い、新聞、雑誌への取材協力も多数ある。横浜市を中心に首都圏で活動中。※2024年7月までは井内義典(いのうち よしのり)名義で活動。
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