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【8050問題予備軍?】「親亡き後この子はどうなるのか」引きこもりの娘のために、老後の楽しみもあきらめた60歳男性の決意

Finasee / 2024年10月1日 17時0分

【8050問題予備軍?】「親亡き後この子はどうなるのか」引きこもりの娘のために、老後の楽しみもあきらめた60歳男性の決意

Finasee(フィナシー)

小林義和さん(仮名、以下同)は、都内の大手企業に勤める年収1300万円の55歳男性です。彼には専業主婦の妻と、新卒からずっと引きこもっている30歳の和美さんがいました。

「“女の子”だし、いざとなれば結婚させればいい」とのん気にかまえていましたが、自身の定年が見えてきたことでいよいよ娘への心配が募ります。

心配が募るなか、和美さんをなかば強引に結婚相談所に入れました。しかし結局、5年が経って和美さんは35歳になりましたが、未婚のまま。ちょうど義和さんも60歳で長年勤めた会社の定年になりました。

5年経っても成果が出ないということで、怒り交じりに押しかけた結婚相談所で、令和の常識と自分たちの“ギャップ”を教えられ、夫婦そろって途方に暮れてしまいました……。

●前編:「いざとなったら結婚させればいい」とたかをくくり、“引きこもり”の娘を放置…50代両親に待ち受けてた「悲惨な現実」

娘は結婚も仕事もできない…お金を残せるように老後の楽しみを捨てることに

夫婦で何度も話し合ったものの妙案は出ず、出てくるのは後悔ばかりだったといいます。和美さんとも話したものの、彼女はバイトさえ拒否するありさまです。長年の無職に加えて、「遅刻やミスをしたくらいで注意されるのは耐えられない」といいます。そんな当たり前のことさえ対処できない娘の状況を今ごろになって知って、余計に自分たちを責めるばかりだったとのことでした。

「自分たちの老後は大丈夫。でも自分たちが死んだ後の娘はどうなる? 今から娘が大きく変わるとは思えないし、結婚もできないし仕事もダメ。年金も微々たるものだし生活保護も働けと言われるだけだろう。仮にもらえても世間体が……どうしたらいいんだ」

結局、夫婦は少しでも多くのお金を娘に残すことにしました。そのために、彼は体が動く限り働くことを決意しつつ、今後の旅行や老人ホームなどの予定をすべてとり止めたといいます。また少しでも残すお金を増やすため、老後資金の一部で資産運用も始めたとのことでした。

「私はいつの間に、間違ってしまったんでしょうか。ただ、一生懸命家族のために働いているつもりでした。まさか最後の最後でこんなことになるとは、思いもしませんでした。娘には『情けない』と思う一方で、そんな風に育ててしまったのは自分たちだと考えると、安易に娘を責めることもできません。せめていつの日か、娘が少しは働く気になってくれることを願うばかりです」

いつか、そうなることを願っております。

今や引きこもりは全国で140万人超…日本の課題になりつつある

和美さんはいわゆる広義での「引きこもり」といえますが、けっしてレアケースではない日本の現実があります。

令和4年度の内閣府調査「こども・若者の意識と生活に関する調査」によると、広義の意味で、引きこもりの方は全国に約146万人いると推計されています。また今回の調査では、中高年齢(40歳~64歳)においては、男性に比べて女性のほうが多い(52.3%)という結果もあります。本編そのままに、特に娘さんを持つ親御さんは注意が必要かもしれません。

「“女の子”は結婚して養ってもらえばいい」だから「学歴も仕事も関係ないし、今は晩婚の時代だから年齢面も問題ない……」実際に筆者との相談でも、いまだにこのような考えの親御さんは珍しくないのが実情です。そして、その時代の変化に対応できていない考えや姿勢が娘さんにも伝わり、まさに本編のような悲劇的な結末を迎えることもよくあります。

今は共働きが主流です。多くの男性は一人で家計を支えるのは避ける傾向にあり、女性にも一定程度の年収を求める傾向にあります。そのため、無職や家事手伝い、アルバイト等では結婚相手候補とはなかなか見なされません。また晩婚化とは、昔は平均初婚年齢が25歳だったのが、今では29歳になっただけです。少なくとも、30歳を超えた無職女性が、専業主婦になるのはかなり困難だと考えたほうがよいでしょう。

余談ですが、昔と比べて最近では「離婚」も珍しくありません。容姿や若さなど、何らかの理由で結婚できていたとしても、本編の和美さんのような女性は離婚される可能性もあります。つまり、親御さんの立場なら、「実家に帰ってくる」可能性を見据えることも時に必要です。厳しい話ですが、今や結婚は逃げ道にならないということを親子そろって肝に銘じましょう。

たいていの場合、「打つ手ナシ」が現実。そうなる前の対処が命

先ほどの統計結果の通り、現在の日本には多くの引きこもり状態の方がおり、女性のほうが若干ではありますが、引きこもりがちな傾向にあります。この状態は、いわば「8050問題予備軍」です。そして実際の8050問題と同じく、解決はかなり困難といえますし、中でも本編の和美さんのようなケースが、筆者としては特に問題だと感じています。

あくまで筆者の経験則ですが、和美さんのような方は学生時代に苦労や努力をあまり経験していません。基本的に甘やかされ、都合の良いことだけを聞き入れ、一切の苦労や努力、“都合の悪いこと”から逃げてきたのです。この姿勢のまま厳しい社会に出れば、対応できなくて当然であり、今までと同じく逃げた結果が引きこもり状態といえます。つまり、社会に出るための基本ができていないわけですから、仮に社会復帰できても、心を入れ替えない限りはまた逃げるだけ……でしょう。

では、どうすればいいのか。

本人は、そもそも働くのが困難ですから、日常の生活費さえ稼ぐのは困難です。結婚も厳しいですし、年金や生活保護を期待するのも危険といえるでしょう。たいていの親は自分たちの老後で手一杯で、とても子供の何十年と続く生涯など支えきれません。十分な資産を築けた親なら、たとえば何らかの資産運用などで対処できる可能性がありますが、そのような方はごく一部しか当てはまりません。

厳しい話ですが、ここまでくると「打つ手ナシ」が現実といえます。

それどころか、義和さんのように相応の余裕がある方でなければ、自身の老後生活の途中で共倒れする可能性さえあるのが現実です。仮に子供が再就職できても、当人の年齢によっては、すでに時間が足りず本人の老後資金が足りない可能性が高いといえます。

だからこそ、「このような状態になる前の対処」が重要です。世間体を気にする親御さんも多いですし、子供の精神状態などへの見極めも大事です。ですが、子供が引きこもったと思ったら、早めに役所などに相談するなど、早め早めに対処していきましょう。

 

婚活FP山本(山本 昌義)/ファイナンシャルプランナー

商品先物会社、税理士事務所、生命保険会社を経て、2008年に「山本FPオフィス」を東京・赤坂にて開業し、独立。2020年にオフィスを滋賀県栗東市に移転。現在は日本初の「婚活FP®(商標番号:6652878号)」として、婚活パーティ開催や結婚相談所との提携を元に、主に婚活中の方や新婚夫婦などから相談を受けている。「マネー現代」にて不定期連載中、レインボータウンFMにて「子育てとお金」をテーマに不定期出演中、結婚相談所や行政での婚活セミナーも随時活動中。マイアドバイザー®、CFP®、一級FP技能士。

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