手続きしないとiDeCoの掛金が引き落とされない人も? 2024年10月から変わる社会保険適用拡大の注意点
Finasee / 2024年10月1日 12時0分
Finasee(フィナシー)
8月末のiDeCo新規加入者数は昨対7割台、累計加入者数は約1割増
iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の最新概況が2024年10月1日に国民年金基金連合会より発表され、2024年8月の新規加入者数は3万119人(前年同月比79.2%)、加入者総数は342万3476人(同111.9%)となりました。
新規加入者数の内訳は、第1号加入者が4258人(同94.4%)、第2号加入者が2万4374人(同77.1%)、第3号加入者が1130人(同71.2%)。第1号、第2号、第3号とも昨対で7割台となりました。
また、iDeCoの平均掛金額は1万6035円。内訳は第1号加入者が2万7982円、第2号加入者が1万4494円、第3号加入者1万4644円となっています。拠出限度額が高い第1号加入者が最も多くなっています。
なお、従業員のiDeCoに企業が掛金を上乗せ拠出するiDeCo+(イデコプラス、中小事業主掛金納付制度)は8137事業所(同124.2.%)で実施、対象者数は5万1684人(同123.1%)となりました(2024年8月末)。
iDeCo新規加入者数の推移(2024年8月)、出所:iDeCo公式サイト「加入等の状況」iDeCoに加入しているパート・アルバイトの方は再確認を
これまでパート・アルバイトの方が一定の要件を満たすことで社会保険(健康保険・厚生年金保険)の被保険者(第2号被保険者)となる法律の改正が段階的に進んできました。2024年10月からその対象範囲がさらに拡大されます。具体的には、被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時50人を超える事業所にお勤めの方が該当します。
この中でiDeCoに加入しており、今回の改正で今までの国民年金第1号被保険者、第3号被保険者から第2号被保険者となる方は、iDeCoの種別変更という手続きが必要になります。手続きをしないと、iDeCoの掛金引き落としが止まってしまうので要注意です。手続きはご自身のiDeCoの運営管理機関のウェブサイトなどから行う必要があります。
10月から適用拡大に当てはまり、健康保険・厚生年金保険の加入対象となる方は以下のとおりです。
(1)週の勤務時間が20時間以上
(2)給与が月額8.8万円以上
(3)2カ月を超えて働く予定がある
(4)学生でない
※2024年10月から従業員数(厚生年金保険の被保険者数)51人以上の企業が対象となります
社会保険に加入すると保険料の支払が必要になりますが、その分医療や年金の保障が充実するというメリットがあります。
医療の充実&将来の年金が増えるメリット社会保険加入のメリットは医療と年金の主に2つです。
<社会保険加入で得られる医療メリット>
・疾病手当金…病気やけがで働けなくなった場合に会社を休んだ4日目から支給
・出産手当金…出産前後に休んだ一定の期間に支給(出産前42日、出産後56日)
疾病手当金も出産手当金も非課税で給与の約3分の2が支給されます。なお疾病手当金は最長1年6カ月まで受給でき、一定の条件を満たせば会社を退職した後も受給可能です。
<社会保険加入で得られる年金メリット>
・厚生年金…基礎年金に上乗せして支給
社会保険に加入していると、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金の3つの基礎年金にそれぞれ厚生年金がプラスされます(老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金)。年金額は加入年数と年収に応じて変わります。社会保険への加入は、長い目で見たときの老後の保障だけでなく、病気やけがなどの突発的な出来事への備えが充実するというメリットがあります。
一方で、社会保険に加入すると今までと比べて手取りが減少してしまうことに躊躇(ちゅうちょ)する方も多いかもしれません。そのため、こうした「年収の壁」を意識した働き控えを避けるべく、すでに年収の壁・支援強化パッケージという助成金支給の仕組みが開始されています。新たに社会保険適用となった従業員の収入をアップする取り組みを行った事業主に各種助成金が支給されるなどの支援です。助成金は事業主への支給ですが、社会保険適用促進手当として従業員に手当等を支給すること、労働時間を延長することなどが想定されています。
10月からあらたに社会保険に加入する方の中で、iDeCoにも加入している方はiDeCoの種別変更を行い、掛金の引き落としに備えてください。また、国民年金にさらに上乗せしたいと考えている方でまだiDeCoに加入していない方は、iDeCoについてまずは知ることから始めてみませんか。
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。
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