リスク許容度別「新NISA」おすすめ配分【ポートフォリオのすゝめ】
Finasee / 2024年10月16日 10時0分
Finasee(フィナシー)
ーーそもそもNISAとは? 分かりやすく教えてください。
NISA制度は、少額投資を行う方に向けて2014年1月からはじまりました。
この制度の最大の特長は、一定の投資金額までは投資で得た利益や配当金が非課税になることです。通常、株式や投資信託で得た利益には約20%の税金がかかりますが、NISAを利用すればその税金が免除されます。これにより、手取りのリターンが大きくなり、個人の資産形成がしやすくなりました。
ーーもともとあったNISA制度と新NISA制度とはどのように違うのでしょうか?
「新NISA制度」は、岸田政権が掲げた成長戦略である「資産運用立国」を実現するプランの一環として24年1月から始まりました。これまでのNISA制度と比べると、制度が恒久化されたり、非課税投資枠が拡大されたりしたことによって、より便利な制度になりました。
1つ目は、恒久化です。これまで期限付きだったNISAが恒久的な制度になったほか、非課税保有期間も旧制度では最大で20年間に制限されていたところが、新制度では無期限に延長されました。こうした制度変更によって、長期投資に取り組みやすくなりました。
2つ目は、非課税投資枠の拡大です。年間投資額の上限は、旧NISA制度では一般NISAが120万円、つみたてNISAが40万円となっていましたが、新NISA制度では、360万円(成長投資枠:240万円・つみたて投資枠120万円)に引き上げられました。
生涯非課税限度額も、旧制度では一般NISAが600万円、つみたてNISAにおいては800万円が上限でしたが、新制度では最大1800万円(うち成長投資枠が1200万円)に拡大しています。
ーー新NISAで投資を始めるにあたって重要となる考え方を教えてください。
新NISAに限った話ではないですが、投資を行う上で重要になる考え方として「自分のリスク許容度を把握する」ことが挙げられます。投資を行えば、投資資金が一時的に減る局面に直面するでしょう。リスク許容度とは、「投資対象の価格が下落したときに、どのくらいの下落幅であれば落ち着いて投資を続けることができるのか?」という目安を指します。
資産運用で損をしてしまう方によく当てはまる事例として、投資対象の価格が下落して焦って売却、投資を辞めてしまうことがあります。一方で長期投資を行えば投資の勝率が高まることが知られています。ご自身のリスク許容度に合った投資を行うことで、下落局面でも焦らずに投資を続けることが可能になるのです。
――投資において自分の「リスク許容度」を理解することが大切なのですね。リスク許容度の基準などについて、もう少し詳しく教えてください。
リスク許容度を「高い・普通・低い」3つのレベルに分けてみると分かりやすいでしょう。
<リスク許容度の分け方>
100万円の資金を投資に回したとき、1年後に投資資金が何万円まで減ったら投資をやめてしまうか?を考えてみてください。
① 90万円まで減ったら投資をやめてしまうかもしれない方:リスク許容度が「低い」と言えるでしょう。
② 75万円くらいまでなら大丈夫と思う方:リスク許容度は「普通」だと考えられます。
③ 60万円未満になっても投資を続けるだろうと考える方:リスク許容度は「高い」と言えるでしょう。
――リスク許容度別のおすすめの資産配分などはあるのでしょうか。
投資配分を決める際には、投資を検討している金融商品を大きく2つに分類して考えることをおすすめします。
一つは価格変動が大きい(=リスクが大きい)ことと引き換えに高いリターンが期待できる「攻め」の資産で、もう一つは価格変動が小さく(=リスクが小さい)リターンも小さい「守り」の資産です。
一般に、株式が攻めの資産と言われるのに対して、債券やREIT(不動産)は守りの資産とされています。
リスク許容度が高い方は株式を中心に、リスク許容度がそれほど高くない方は債券やREITを中心に投資先を検討するのが良いでしょう。
リスク許容度が①低い・②普通・③高い方、それぞれにおすすめする資産クラス配分は以下のとおりです。
①リスク許容度が「低い」方におすすめのポートフォリオ:
・国内株式:10%
・米国株式:10%
・国内債券:30%
・先進国債券:30%
・国内REIT:10%
・米国REIT:10%
このポートフォリオでは、債券を中心に組み立てており、価格変動が少なく安定した運用を目指しています。加えて、株式の割合を低く抑えることで、リスクを最小限にしつつ一定のリターンを狙います。リスクを取らずにゆるやかに資産を増やしたい方や資産寿命を延ばしたい方に適しています。
②リスク許容度が「普通」の方に向けたポートフォリオ:
・国内株式:20%
・米国株式:40%
・国内債券:10%
・先進国債券:20%
・国内REIT:10%
このポートフォリオでは、株式を全体の60%と比較的多めに持ちつつも、債券やREITを組み入れることでバランスの取れた運用を目指します。株式のリスクとリターンの特性を活かしながら、債券の安定性やREITによる不動産の収益を取り入れることで、長期的な資産形成を図ります。ある程度のリスクは許容できるものの、安定性も求める方におすすめです。
③リスク許容度が「高い」方におすすめのポートフォリオ
・国内株式:30%
・米国株式:50%
・先進国株式(日本を除く):10%
・新興国株式:10%
このポートフォリオは、すべてを株式で構成し高いリターンを目指しています。国内外の株式に分散投資することで、各市場の成長の恩恵を最大限に受けることを狙います。米国株の割合を高くしつつ、先進国株や新興国株も組み入れることで、世界経済全体のダイナミズムを取り込む設計となっています。リスクを積極的に取って資産を増やしたい方に向いています。
――自分のリスク許容度を正しく理解し、適した投資戦略を立てることが重要なのですね。
新NISAは、これから資産形成を始める方にとって、絶好のチャンスとなる制度です。制度の恒久化や非課税枠の拡大により、より長期的かつ柔軟な投資が可能になりました。しかし、投資にはリスクが伴うため、自分のリスク許容度を正しく理解し、それに適した投資戦略を立てることが重要です。
ご紹介したリスク許容度別の資産配分を参考に、無理のない範囲で投資を始めてみてはいかがでしょうか。長期的な視点で計画的に投資を続けることで、複利の効果を最大限に活用し、資産を着実に増やすことが期待できます。適切な投資を通じて、将来の豊かな生活や夢の実現に向けて、一歩踏み出してみましょう。知識を深め、自分に合った投資方法を見つけることで、資産形成の旅路を安心して進めることができるでしょう。
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。
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