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高年収の代名詞、医師が取り組む節税対策とは?プライベートカンパニー、不動産投資を抑え人気は手堅いあの手法

Finasee / 2024年10月2日 17時0分

高年収の代名詞、医師が取り組む節税対策とは?プライベートカンパニー、不動産投資を抑え人気は手堅いあの手法

Finasee(フィナシー)

「所得税が高すぎて苦しい」 医師のリアルな声とは

日本の所得税は所得水準が上がるほど税率が高くなる、累進課税を採用しています。そのため、例えば所得1800万円以上の世帯では、所得に対し一律10%かかる住民税も加味すると、所得のおよそ半分が税金で持っていかれてしまうのです。

医師は所得税の負担をどう感じているのでしょうか。今回の調査は医師向けのキャリア支援サービスなどを提供する株式会社メディウェルが医師会員1913人を対象に実施。

調査に寄せられた声を拾ってみると、「沢山働いても税金でとられてしまう」(50代女性、皮膚科)、「いかに税金を安くするかにかかっていると思う。稼いでも税金で取られると思ったら労力と時間の無駄」(50代女性、眼科)、など所得税の高さが働くモチベーションを阻害していると感じる人もいるようです。また「重い税金がとられるにも関わらず各種手当はもらえない」(30代男性、精神科)、「高額納税者にも何かリターンがほしい」(30代男性、一般内科)、など重い税負担に対して恩恵が少ないという声。


さらに開業医に比べて節税対策が限られる勤務医からは、「学会参加、年会費などが勤務医でも税控除できてほしい」(40代男性、小児外科)、「勤務医は節税に限界がある」(50代男性、泌尿器科)といった声がありました。

医師に人気の節税対策1位は「ふるさと納税」、実に 85.8%が実施

それでは具体的な節税対策を挙げていきましょう。まずは「ふるさと納税」から。納税という言葉がついていますが、実態は自治体への寄付。自己負担額の2000円を除いた寄付金全額が所得税や住民税から引かれることで税負担が軽減されます。これだけだと税金が寄付金に変わっただけですが、実際は寄付金の3割以内で返礼品をもらえるケースがほとんどで、そこが実質的な節税となるようです。

例えば年収1500万円の30代男性勤務医(※)というモデルケースの場合、ふるさと納税額の年間上限は約39万円です。このうち自己負担額である2000円除いた約38万8000円が控除され、最大で約11万7000円の返礼品がもらえる計算です。

※配偶者(給与収入201万円超)、子ども2人(小学生以下)

一般の人でも比較的なじみがありそうな節税対策ですが、医師の取り組み状況はどうでしょうか。調査結果では、ふるさと納税を「実施している」と回答した人は実に85.8%。最近はスマホのアプリで自治体への手続きが完結するなど、後述する節税対策に比べると手間や専門知識が不要なことから、取り組みやすいのかもしれません。

 出所:株式会社メディウェル 「医師の節税」に関するアンケート調査 (https://www.dr-10.com/lab/doctors-tax-savings/医師に人気の節税対策2位は「NISA」で64.6%が実施

続いての節税対策は「NISA」。通常、株や投資信託などの投資では、配当金や売却益に20.315%の税金がかかります。しかしNISAの非課税口座で投資を行う場合、そうした税金はかかりません。

例えばNISAのつみたて投資枠を使って、年間投資額の上限まで投資信託への積立を行った場合、トータルで1800万円まで積立が可能。仮に運用利回りが年率3%として、積立が全て完了した後も15年間継続保有した場合、運用損益は約1736万円。課税口座ならかかる約347万円の税金がNISA口座ならかかりません。

2024年から新NISAが開始し、利用が拡大しているとの報道もありますが、医師の取り組み状況はどうでしょうか。調査結果では、NISAを「実施している」と回答した人が64.6%。また「実施していないが興味はある」と回答した人も18.0%と、今後も拡大の余地がありそうです。

 出所:株式会社メディウェル 「医師の節税」に関するアンケート調査 (https://www.dr-10.com/lab/doctors-tax-savings/医師に人気の節税対策第3位は「iDeCo」、49.6%が実施

投資関連の節税対策としてはNISAと並んでポピュラーだと思われるのがiDeCo。自分で掛金を支払い、自分で運用し、資産形成を行う年金制度で、基本的に65歳未満の国民年金加入者ならば加入可能。掛金を拠出する時、運用する時、給付を受け取る時、3つのタイミングで節税メリットを享受できます。

掛金を拠出する時だけで見ても、先ほどのモデルケースだと、仮に35歳から65歳まで年間掛金の上限まで積立を行った場合、約356万円分の所得税が軽減される計算です。

iDeCoに取り組んでいる医師はどの程度いるのでしょうか。調査結果では、iDeCoを「実施している」と回答した人が49.6%。また「実施していないが興味はある」と回答した人が21.3%と、NISA同様、今後も拡大の余地がありそうです。

出所:株式会社メディウェル 「医師の節税」に関するアンケート調査 (https://www.dr-10.com/lab/doctors-tax-savings/特定支出控除を利用する医師は15.3%

ここからは医師はあまり取り組んでいない節税対策についても見ていきましょう。1つ目に紹介するのが「特定支出控除」です。通勤費、転居費、研修費、資格取得費、帰宅旅費、職務に必要な書籍、衣服等の購入費(勤務必要経費)などの特定の支出が一定額を超えた場合に、所得から引かれることで税負担を軽減できる仕組み。

一般の方でも利用できる制度です。特に勤務医は地域の関連病院への転勤などによる転居費や帰宅旅費、あるいは学会活動などによる研修費や資格取得費などがかさみがちという声もあり、利用する機会が少なくないのかもしれません。

調査結果では、特定支出控除の利用を「実施している」と回答した人は15.3%と限定的。また、21.7%は「実施しておらず、興味もない」と回答しました。確定申告の手続きなどが手間ということもあってか、制度を知っていても、利用しない医師も多々いるようです。また「よくわからない」と回答した人は40.2%に上り、制度自体を知らない医師が多い可能性を示唆する結果となりました。

出所:株式会社メディウェル 「医師の節税」に関するアンケート調査 (https://www.dr-10.com/lab/doctors-tax-savings/約15%は「不動産投資」を実施

続いては「不動産投資」。物件購入にかかった費用が一定期間にわたり所得から引かれることで、税負担を軽減できるようです。

調査結果では、不動産投資を「実施している」と回答した人は14.5%と限定的。「実施しておらず、興味もない」と回答した人が55.9%と半数超に。「勧誘がしつこい」といった声も寄せられており、不動産投資の営業にうんざりしている可能性も。

また節税ができても、不動産投資自体が失敗しては元も子もありません。よりよい物件を見極めるためには専門的な知識が必要。しかし勉強するための時間を確保しようにも、「現職が忙しくて過労死しそう。投資に割ける時間はなくじっと手を見る」(30代男性、呼吸器内科)といった声も。

出所:株式会社メディウェル 「医師の節税」に関するアンケート調査 (https://www.dr-10.com/lab/doctors-tax-savings/

最後は「プライベートカンパニーの設立」。副業などで得た収入を本業の所得と合算せずに、プライベートカンパニーの収益とした場合、適用されるのは所得税ではなく法人税。法人税率が所得税率よりも低ければ、その分だけ税負担が軽減されるようです。また経費として使える範囲も増えるので、その点でも節税メリットを享受できる可能性が。

調査結果では、プライベートカンパニーの設立を「実施している」と回答した人は5.7%。「実施しておらず、興味もない」「よくわからない」と回答した人がそれぞれ45.9%、27.7%にのぼりました。正確な経費計上が必要で手間がかかることから、副業の収入がある程度ないと割にあわないのかも。

出所:株式会社メディウェル 「医師の節税」に関するアンケート調査 (https://www.dr-10.com/lab/doctors-tax-savings/

調査概要 調査名:「医師の節税」に関するアンケート調査 調査期間:2024年6月20日~2024年6月28日 調査主体:株式会社メディウェル 調査対象:株式会社メディウェル医師会員 有効回答数:1,913人

Finasee編集部

「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。

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