10月から社会保険適用が拡大! 加入が義務の「106万円の壁」を解説
Finasee / 2024年10月14日 13時0分
Finasee(フィナシー)
2024年10月からパートやアルバイトで働く人たちへ社会保険の適用が従業員数51人以上の企業に拡大されます。扶養はとても複雑な制度のため、年収と保障のバランスに悩まれている方も多いでしょう。
この機会に「扶養の壁」の理解を深めるのはいかがでしょうか。ファイナンシャルプランナーの塚越菜々子氏に年収が上がるごとに、どのようなメリットとデメリットがあるのかを解説してもらいます。(全3回の1回目)
※本稿は、塚越菜々子著『「扶養の壁」に悩む人が働き損にならないための38のヒント』(東京ニュース通信社)の一部を抜粋・再編集したものです。
小さい会社でも社会保険が適用されるように「106万円の壁」は、妻自身が勤務先で社会保険に加入することになる壁です。
月額賃金などの一定の条件を満たすと社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入を義務付けられます。妻自身が社会保険に加入する場合は、年収130万円未満でも夫の扶養から外れます。
以前はパートなど短時間で働く人は、勤務先で社会保険に入ることができませんでした。これが2016年に始まった社会保険の適用拡大によって、2022年10月に社員101人以上、2024年10月に社員51人以上の企業へと社会保険の適用拡大が進んでいます。
なぜ、今そうしたことが起きているのでしょうか。
社会保険の適用拡大には、国民年金の第2号被保険者(厚生年金加入者)を増やしたいという国の考えがあります。国民年金は加入者の立場により第1号、第2号、第3号の3つに分けられます。第2号の夫の扶養内で働く女性は第3号に属し、保険料を負担しません。
国としては第3号の人を減らして、企業と折半で保険料を負担する第2号へと移行させ、働き方に応じた社会保障を得られるようにしたいと考えています。
カン違いしやすい条件の「盲点」を理解しよう「106万円の壁」の拡大により社会保険に入れるのはどんな人なのか。下記、図で紹介するのがクリアすべき5つの条件です。すべて満たすと、社会保険に加入できます。
①の「週の労働時間が20時間以上」は契約に基づいた勤務時間を指し、残業などを含む実際の勤務時間ではありません。
②の「月額賃金8万8000円以上」も同様です。契約に基づく賃金(時給×時間数)が前提になります。例えば契約上、時給が高く週18時間勤務で月額賃金8万8000円を超えるケースや、逆に時給が低く週24時間勤務でも月額賃金8万8000円に満たないケースは対象外です。
④の雇用期間は「2カ月以上」と以前より短くなり、条件が緩和されました。
⑤の社会保険が適用される企業の社員数も「501人以上」から「101人以上」と変更され、2024年10月からは社員が「51人以上」となります。ただし、社員数は原則「社会保険に加入しているフルタイムの社員数」で判断されるので注意しましょう。
「106万円の壁」といっても、数字に意味はありません。あくまでも勤務先との勤務時間や賃金等の契約内容が問われます。基準の月8万8000円を年収換算すると約106万円になるため、「106万円の壁」と称されます。
●第2回は【負担だけ増えて働き損⁉ 「106万円の扶養の壁」を超えたらどうなるの?】です。(10月15日に配信予定)
「扶養の壁」に悩む人が働き損にならないための38のヒント著者名 塚越 菜々子
発行 東京ニュース通信社、発売 講談社
価格 1,650円(税込)
塚越 菜々子/ファイナンシャルプランナー
株式会社KANATTA代表。ファイナンシャル・プランナー(CFP)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、公的保険アドバイザー。税理士事務所で10年超勤務。延べ500社以上の決算業務や確定申告に携わる。会社の労務・税務にかかわる中で、一般生活者のマネーリテラシーの底上げの必要性を実感し、2016年にFPとして独立。保険や金融商品を取り扱わない独立系FPとして、主に共働き世帯の女性を中心に年間200件の家計相談を行う傍ら、運用経験の全くない女性向けの確定拠出年金・つみたてNISAセミナーや、公的年金セミナーなど多数開催。YouTubeやSNS等でもわかりやすい情報を積極的に発信している。
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